ウクライナ
南部ザポリージャ
原子力発電所をめぐり、ウクライナ
側は
原発を
占拠するロシア
側が
爆発物を
設置したと
訴えているの
に対し、ロシア
側は、ウクライナ
側が
攻撃を
計画しているとして、
双方の
主張は
対立しています。
アメリカのシンクタンクは、ロシアが
情報戦を
展開し、ウクライナや
欧米側に対し、
揺さぶりを
強めている
可能性があるという
見方を
示しています。
ザポリージャ原子力発電所をめぐり、ウクライナ軍の参謀本部は4日、「原発の3号機と4号機の建屋の屋根に爆発物のようなものが設置されたという情報がある」と明らかにしました。
ゼレンスキー大統領も動画で、ロシア側が原発に対し何らかの破壊工作を行う可能性があるとして、「ロシアを止めることは世界中のすべての人の責任だ」と強調し、国際社会に対し原発の安全を確保するよう強く求めています。
これに先立ち、ウクライナ国防省の情報機関は、ロシア側が原発から退避する動きがみられると指摘し、従業員に対しても、7月5日までに退避するよう通告したとして、ロシア側が原発へのテロを計画していると主張しています。
一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は5日、ロシアのメディアに対し、「ゼレンスキー大統領がザポリージャ原発に対してテロ攻撃を行うつもりだ」と述べるなど、双方の主張は対立しています。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日、「ロシアは、ウクライナが原発で無責任な行動を行っていると非難することに集中している可能性が高い。現時点で、ロシアが放射線の事故を引き起こす可能性は依然として低い」と指摘しました。
そのうえで、NATO=北大西洋条約機構が7月11日からリトアニアで首脳会議を開くのを前に、ロシアが情報戦を展開し、ウクライナや欧米側に対し揺さぶりを強めている可能性があるという見方を示しています。
専門家「情報戦の一環か」
ロシアの
安全保障に
詳しい防衛省防衛研究所の
長谷川雄之研究員は、ザポリージャ
原発に
爆発物が
設置されたという
情報をめぐり、ロシア、ウクライナ
双方の
主張が
対立していることについて「あくまでも
現段階では、ロシアとウクライナの
間の
情報戦の
一環だと
捉えるのが
妥当ではないか」と
述べ、IAEA
など国際機関の
発表を
待って
判断すべきだと
指摘しています。
そのうえで「ロシアはこれまでも、戦術核の使用といった核をめぐる脅しを、重大局面で行ってきた。今回の件についても、核の脅しとして使っている可能性も含めて、考慮する必要がある」と述べました。
そして「ロシアがザポリージャ原発を占拠した意味は、原発をターゲットとして戦争で使用するという明確な意図があるので、今後もおそらく原発をめぐる駆け引きは想定される」という見方を示しました。
このほか、ロシアが同盟関係にある隣国ベラルーシへの戦術核兵器の配備を表明するなど、核の脅しともとれる動きを見せている背景については「来週に控えているNATOサミットが背景にあると見られる。旧ソ連の構成国であるリトアニアで開催されることも、ロシアが敏感に反応する一因ではないか」と指摘しています。