「コミュニティノート」は、利用者どうしが誤った投稿を指摘しあい情報を補足できる仕組みで、その情報が「役に立つ」と評価を集めることで、一般に公開されます。
IT技術者などで作る一般社団法人「Code for Japan」と法政大学の藤代裕之教授の研究グループは、去年11月に投票が行われた兵庫県知事選挙の期間中に、Xで作成された選挙関連の「コミュニティノート」を抽出して分析しました。
その結果、作成された165件のノートでは、一時的に公開されたものが5件あっただけで、ほとんど一般に公開されていなかったということです。
このうち、候補者の稲村和美氏について「当選したら外国人参政権が成立する」などとする投稿に対しては稲村氏本人が否定していることなどを補足するノートが作成されましたが、公開されないまま、もとの投稿が50万回以上閲覧されていました。
研究グループでは、選挙では主張が対立して誤った情報に対しても評価が分かれやすいため、ノートがほとんど公開されず、機能しなかったと考えられるということです。
藤代教授「コミュニティノートは、選挙時の偽情報・誤情報対策としては、あまり期待できないことが分かった。SNSだけでなく、既存のメディアももっとたくさんの選挙の情報を出していき、相互に補い合う関係が必要だと思う」
「コミュニティノート」とは
誤った情報の拡散を防ぐため、Xでは「コミュニティノート」を2023年7月から日本で導入しています。
事前に登録した協力者がコミュニティノートを作成し、ほかの協力者がその情報を「役に立つ」か「役に立たない」か評価して、一定以上の評価が集まると、すべての利用者に公開される仕組みです。
公開される基準は単純な多数決ではなく、偏りを防ぐために多様な視点を持つ利用者どうしが「役に立つ」と評価しあうことを重視しているとしています。
去年1月の能登半島地震では、発生直後に「人工地震だ」といった根拠のない投稿がありましたが、コミュニティノートが作成され、科学的な根拠をもとに、「人工地震とは考えられない」とする補足情報が一緒に表示されるようになるなど、偽情報・誤情報対策として一定の効果も出ています。
Xの日本支社は「誤解を招く情報への対策としてコミュニティノートが真に重要だと考えています。協力者の数が増える事で機能性も向上するため、日本でも協力者を増やしていきたい」とコメントしています。
コミュニティノートについては、フェイスブックやインスタグラムなどを運営するメタ社も第三者による投稿内容の事実確認、ファクトチェックを廃止する代わりに導入すると発表し、アメリカで3月から試験的な運用が始まっています。