SWIFTを利用できなくなると、その国の企業は貿易の決済が困難になるため、アメリカはこれまでたびたび経済制裁にSWIFTからの除外を盛り込んできました。
2012年に欧米がイランに対して実施した経済制裁ではイランがSWIFTから除外され、石油の輸出による収入が大幅に落ち込んだとされています。
ロシアに対して同様の制裁が実施された場合、ロシアの主要な輸出品である石油やガスなどの貿易で決済が難しくなり、ロシア経済は大打撃を受けるとみられます。
ただ、ドイツをはじめとするヨーロッパ各国は天然ガスの供給の3割以上をロシアに頼っていて、ロシアが制裁の報復として天然ガスの供給を絞る可能性もあり、ヨーロッパの国々も大きな影響が出るおそれがあります。
このため欧米はロシアに対する経済制裁にSWIFTからの除外を含めるかどうか、慎重に検討してきたものとみられます。
一方で「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」のメガバンクはロシアに現地法人を持っていることからグループ内でロシアの銀行を介さずに行う送金などはできる見込みですが、今後、明らかにされる制裁の内容しだいで、どのような影響が出てくるのか、不透明な部分もあります。 また、今回の制裁を受けて、市場関係者の間では、株式市場をはじめとする金融市場の混乱につながるのではないかという警戒感が強まっています。 制裁を受けて資源国のロシアから、天然ガスや原油の供給が滞れば、すでに高止まりしている価格がさらに上昇するおそれがあり、その結果、欧米で物価が一段と上昇する可能性もあるからです。 すでにインフレ対応で金融引き締めを急いでいる欧米の金融政策に影響を与える可能性も指摘されています。
イギリスは各国が協調して実施する必要があると呼びかけていましたが、天然ガスなどの輸入でロシアに依存する国の中にはエネルギー調達への懸念から慎重な国も少なくありませんでした。 しかし、これまで慎重だったドイツは26日、ベアボック外相とハーベック経済・気候保護相が連名でツイッターに投稿し「ねらいを絞った機能的な制限が必要だ」として各国に歩調を合わせる姿勢を示しました。 またイタリアとハンガリーも賛同する姿勢に転じていました。 ロシアの一方的な軍事侵攻に対し国際社会でより厳しい制裁を求める声が広がる中、ドイツなどの国々が賛同に転じたことで欧米の合意につながったものとみられます。
そして、SWIFTから締め出す対象となる銀行については「欧米がすでに制裁を科している銀行が最初に検討されるだろう」と述べました。 また、今回の措置が、ロシアとエネルギーに関わる取り引きをしている国々に影響を及ぼさないようにする必要があるとして「われわれはどの銀行を通じてエネルギー関連の大部分の取り引きが行われているかを知っており、そうしたところを選ばないこともできる」と述べました。 一方、この高官は、中国がロシアが被る影響を和らげるために支援することは考えにくいとの見方を示しました。
日本の金融機関への影響は
ヨーロッパで慎重姿勢も 厳しい制裁求める声受け
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