韓国の情報機関・国家情報院は18日、北朝鮮の特殊部隊のおよそ1500人が今月、北朝鮮からロシア極東に移送されたと明らかにし、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの前線に投入されるとの見方を示しました。
これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は21日「北朝鮮との協力は第三国を狙ったものではなく、誰も懸念すべきでない。われわれは協力を発展させるつもりだ」と述べました。
そのうえで、アメリカのオースティン国防長官が北朝鮮からの派兵について「現時点で確認することはできない」と述べたことを念頭に「韓国は一方のことを言い、アメリカ国防総省は確認できないとしている。食い違っている情報が多い」と指摘し、これに関する詳しい言及を避けました。
一方、韓国外務省のキム・ホンギュン(金ホン均)第1次官は21日、ソウルに駐在するロシアのジノビエフ大使を呼び出し、北朝鮮の部隊をウクライナに派遣させないよう強く求めました。
韓国はアメリカとともにロシアと北朝鮮の動向への警戒を続けています。
※「ホン」は火へんに共
ウクライナ 複数メディア「北朝鮮の兵士40人の配置確認」
ウクライナの複数のメディアは21日、ウクライナ国防省の関係者の話として、北朝鮮の兵士、40人がロシア西部のクルスク州の森林に配置されていたのが確認されたと伝えました。
この北朝鮮の兵士たちはロシア軍の兵士に軍事目的の気球の使い方について訓練を行っていたということです。
また、40人は訓練の後、食料も持たず具体的な指示も与えられないまま森林に取り残されたということで、今月4日に一部の兵士が持ち場を離れ、2日後におよそ60キロ離れた場所でロシア軍に見つけられたと報じています。
その後、北朝鮮の兵士たちはウクライナ軍への攻撃に参加するためクルスク州の別の場所に配置されたとしています。
韓国 ユン大統領がNATO事務総長と電話会談
韓国大統領府は21日、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領がNATO=北大西洋条約機構のルッテ事務総長と電話会談したと発表しました。
この中でユン大統領は、情報機関の分析として北朝鮮の特殊部隊およそ1500人がロシアに派兵され訓練を受けていることが確認されたと説明しました。
またユン大統領は、ロシアと北朝鮮の軍事協力が朝鮮半島と世界の平和を脅かしているとしたうえで「韓国政府はこれを決して見過ごさない」と述べました。
そして、ロシアと北朝鮮の軍事協力について、ルッテ事務総長がより詳細に情報を共有するため韓国政府に対してNATOに代表団を送るよう要請し、ユン大統領は代表団を迅速に派遣し安全保障面での協力を強化する考えを示しました。
一方、ルッテ事務総長は北朝鮮が派兵したかどうか慎重な見方を示していて、会談のあとSNSのXに「北朝鮮がロシアとともに戦うためにウクライナに軍隊を派遣することは、重大なエスカレーションを意味する」と投稿しました。