人ひとに従順じゅうじゅんな飼かい犬いぬは、もともとオオカミの仲間なかまを飼かい馴ならしたものである。(中略ちゅうりゃく)ところが、「人間にんげんがオオカミを飼かい馴ならした」という話はなしには謎なぞが多おおい。犬いぬが人間にんげんと暮くらすようになったのは、15000年ねんほど前まえの旧石器時代きゅうせっきじだいのことであると推測すいそくされている。当時とうじの人類じんるいにとって、肉食獣にくしょくじゅうは恐おそるべき敵てきであった。そんな恐おそろしい肉食獣にくしょくじゅうを飼かい馴ならすという発想はっそうを当時とうじの人類じんるいが持もち得えたのだろうか。しかも犬いぬを飼かうということは、犬いぬにエサをやらなければならない。わずかな食糧しょくりょうで暮くらしていた人類じんるいに、犬いぬを飼かうほどの余裕よゆうがあったのだろうか。また当時とうじの人類じんるいは犬いぬがいなくても、狩かりをすることができた。犬いぬを必要ひつようとする理由りゆうはなかったのである。最近さいきんの研究けんきゅうでは、人間にんげんが犬いぬを必要ひつようとしたのではなく、犬いぬの方ほうから人間にんげんを求もとめて寄より添そってきたと考かんがえられている。犬いぬの祖先そせんとなったとされる弱よわいオオカミたちは、群むれの中なかでの順位じゅんいが低ひくく、食たべ物ものも十分じゅうぶんではない。そこで、人間にんげんに近ちかづき、食たべ残のこしをあさるようになったのではないかと考かんがえられているのである。弱よわいオオカミだけでは、狩かりをすることができないが、人間にんげんの手助てだすけをすることはできる。そして、やがて人間にんげんと犬いぬとが共ともに狩かりをするようになったと推察すいさつされている。こう考かんがえると、当時とうじ、自然界しぜんかいの中なかで強つよい存在そんざいとなりつつあった人間にんげんに寄より添そうことは、犬いぬにとって得とくなことが多おおかった。つまり、人間にんげんが犬いぬを利用りようしたのではなく、犬いぬが人間にんげんを利用りようしたかもしれないのである。(稲垣いながき栄洋ひでひろ『弱者じゃくしゃの戦略せんりゃく』による)
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