JLPT N2 – Reading Exercise 92
外国語を身につけたい人には、「ひとりのネイティブスピーカーの話し方を徹底的に真似る」という学習法をすすめたい。自分にとって心地よく、聞いていて楽しいと感じる話し手を選ぶことが大切だ。いろいろな人の発音や表現を少しずつ取り入れるよりも、ひとりの話し手の言い回しやイントネーションを集中的に模倣するほうが、自然な言語感覚が身につく。「1」流行の教材を次々と試すのは、あまり効果的ではない。
流行の教材は、多くの人が使っているからこそ人気があるのだが、それを使って学んでいる人がたくさんいるということでもある。みんなと同じ方法で学んでいては、個性ある表現力はなかなか身につかない。
(中略)
ひとりのネイティブスピーカーの話し方を徹底的に真似ることで、その人の「言語運用の感覚」を無意識のうちに吸収できる。この人はこういう場面でこう表現するのか、こういうイントネーションで話すのか、といったことが自然とわかるようになる。
「2」それがわかれば、同じような話し方ができるようになるのもあと一歩だ。意識して真似しようと思わなくても、話す内容や言い回しが自然とその人に近づき、初心者でも驚くほど流暢に話せるようになるだろう。
こう反論する人もいるだろう。外国語を学ぶ目的は、自分の考えや個性を表現することなのに、他人の話し方を真似てばかりでは自分らしさが出せないのではないか、と。
確かに自己表現は大切だ。しかし、焦らず段階を踏むことが重要だ。いきなり自分らしい表現を目指すのではなく、まずは相手に伝わるレベルの言葉遣いを身につける必要がある。
自分の話す内容には価値があるのだから、相手は理解してくれるはずだ、と考えてしまう人もいるが、それではなかなか伝わらない。
だから、まずはうまく話せるようになることが大切だ。
そのための訓練として、ひとりの話し手を徹底的に模倣することは、とても有効なのである。
(注)言い回し:表現の仕方
(注)イントネーション:声の上げ下げ