日本新闻: 徳川家茂・慶喜の印実物見つかる外交文書に使用

徳川とくがわ家茂いえもち・慶喜よしのぶの印しるし実物じつぶつ見みつかる外交がいこう文書ぶんしょに使用しよう

Aug 20, 2018 05:08

Furigana

今いまから150年ねん余あまり前まえ、幕末ばくまつの将軍しょうぐん、徳川とくがわ家茂いえもちと慶喜よしのぶが西洋せいよう諸国しょこくとの間まに取り交とりかわした外交がいこう文書ぶんしょに使用しようした印しるしの実物じつぶつが確認かくにんされました。調査ちょうさにあたった専門せんもん家かは「江戸えど時代じだいに国くにを代表だいひょうして押おされた印しるしが残のこされていたのは非常ひじょうに驚おどろきで、大変たいへん貴重きちょうな発見はっけんだ」と話はなしています。見みつかったのは、「文武ぶんぶ両道りょうどうの政治せいじを行おこなう」という意味いみの「経文きょうもん緯ぬき武ぶ」と彫ほられた縦たて・横よこ9.2センチ、重おもさ2.7キロの銀ぎん印しるしで、徳川とくがわ家かに伝つたわる資料しりょうなどを管理かんりする徳川とくがわ記念きねん財団ざいだんが蔵くらを整理せいりした際さいに、漆うるし塗ぬりの箱はこの中なかに残のこされていました。

東京とうきょう大学だいがく史料しりょう編纂へんさん所しょの保谷ほや徹とおる所長しょちょうなどが調しらべたところ、幕末ばくまつに西洋せいよう諸国しょこくとの外交がいこうが始はじまったあと、14代だい将軍しょうぐんの徳川とくがわ家茂いえもちと15代だい将軍しょうぐんの慶喜よしのぶが国くにの代表だいひょうとして外交がいこう文書ぶんしょなどに使用しようしていた印しるしの実物じつぶつと確認かくにんされました。

この印しるしは安政あんせい５ご年ねん、西暦せいれき1858年ねんに結むすばれた日にち米べい修好しゅうこう通商つうしょう条約じょうやくの批准ひじゅん書しょなどに将軍しょうぐんの署名しょめいとともに押おされたことが、残のこされた書面しょめんから確認かくにんできますが、実物じつぶつがどこにあるのかわかっていませんでした。

保谷ほや所長しょちょうは「今回こんかい見みつかった印しるしは、将軍しょうぐんが当時とうじの日本にっぽんの主権しゅけん者しゃであることを明あきらかにするために使つかわれた。江戸えど時代じだいに国くにを代表だいひょうして押おされた印しるしが残のこされていたのは非常ひじょうに驚おどろきで、大変たいへん貴重きちょうな発見はっけんだ」と話はなしています。

この印しるしは、来月らいげつ15日にちから新潟にいがた県立けんりつ歴史れきし博物館はくぶつかんで開ひらかれる「徳川とくがわの栄華えいが」展てんで、来月らいげつ30日にちまでの期間きかん限定げんていで公開こうかいされる予定よていです。

外交がいこう迫せまられ正式せいしきな印しるしを製作せいさく

東京とうきょう大学だいがく史料しりょう編纂へんさん所しょの保谷ほや徹とおる所長しょちょうによりますと、今回こんかい見みつかった印しるしは、安政あんせい４よん年ねん、西暦せいれき1857年ねんに幕府ばくふが製作せいさくを指示しじした記録きろくが残のこされています。

その翌年よくねんの安政あんせい５ご年ねんにアメリカやイギリスなど５ごか国かこくとの間まに修好しゅうこう通商つうしょう条約じょうやくが結むすばれ、翌よく安政あんせい６ろく年ねんに作成さくせいされた批准ひじゅん書しょのうち、少すくなくとも日にち米べい、日にち英えい、日にち仏ふつの書面しょめんには、将軍しょうぐん・家茂いえもちの署名しょめいとともにこの印しるしが押おされていることが確認かくにんできたということです。

また、文久ぶんきゅう遣や欧おう使節しせつを派遣はけんした際さいの信任しんにん状じょうにも使つかわれているということです。次つぎの慶喜よしのぶの時期じきには、慶応けいおう３さん年ねん（西暦せいれき1867年ねん）にデンマークとの間まに結むすばれた条約じょうやくの批准ひじゅん書しょや、同おなじ年としに弟おとうとの徳川とくがわ昭武あきたけを将軍しょうぐんの名代なだいとしてパリ万国ばんこく博覧はくらん会かいに派遣はけんした際さいの信任しんにん状じょうなどに使用しようされています。

この印しるしが作つくられる３さん年ねん前まえには、アメリカとの間まで日にち米べい和親わしん条約じょうやくが結むすばれていますが、印しるしは使用しようしておらず、当時とうじの老中ろうじゅうの署名しょめいがあるだけでした。

しかし、その後そのご、西洋せいよう諸国しょこくとのさらなる外交がいこうを迫せまられたことから、外交がいこう諮問しもん役やくだった林はやし復ふく斎ときの進言しんげんにより、文書ぶんしょに使つかう正式せいしきな印しるしを製作せいさくすることになったということです。

保谷ほや所長しょちょうは「幕末ばくまつに和親わしん条約じょうやくを結むすび、外国がいこくとのつきあいが始はじまるということで、外国がいこくの書簡しょかんに一定いっていの印しるしを押おしたほうがいいだろうと幕府ばくふが諮問しもんをして印章いんしょうを作つくらせました。作つくられて以降いこうは、将軍しょうぐんが相手あいて国こくに送おくる国書こくしょにはこの印しるしが押おされていると思おもいます」と話はなしています。