出発式では、オリンピックで日本選手団の主将を務めたレスリング女子の吉田沙保里選手が「オリンピックとパラリンピックが合同で、ふだんは交流できない選手ともチームジャパンでパレードができてうれしい。オリンピックに出場したすべての選手を代表し、メダリストが感謝の気持ちをお伝えしたい」とあいさつしました。
続いて、パラリンピックで選手団の旗手を務めた車いすテニスの上地結衣選手が「リオデジャネイロでは大きな声援が後押ししてくれ、最後まで力を出すことができた。東京大会では、さらなる高みを目指して盛り上げていきたい」とあいさつしました。
そして、午前11時に、オリンピックのメダリスト58人中50人、パラリンピックのメダリスト38人中37人の合わせて87人が、屋根のない2階建てバスやトレーラー合わせて6台に乗り込み、パレードがスタートしました。パレードは、銀座や日本橋など東京・都心のおよそ2.5キロほどのコースで行われ、オリンピックのレスリング女子で4連覇を達成した伊調馨選手や体操男子の団体と個人総合で2つの金メダルを獲得した内村航平選手、それに、パラリンピックの競泳でメダル4つを獲得した木村敬一選手などが沿道からの祝福の声に手を振ったり、笑顔で応えたりしていました。
主催者側によりますと、沿道には前回ロンドン大会の後に銀座などで行われたパレードのおよそ50万人を上回る、およそ80万人が詰めかけました。
内村選手「スターの気分」
体操男子の団体と個人総合で2つの金メダルを獲得した内村航平選手はパレードのあと取材に応じ、「スーパースターになった気分でした。『おめでとう』とか『お疲れ様でした』とか声をかけてもらって感謝しています。4年前よりもすごくたくさんの方に来てもらってただうれしいかぎりです」と話していました。
競泳男子400メートル個人メドレーで金メダルに輝くなど3つのメダルを獲得した萩野公介選手は「地上にもビルにもものすごく人が集まっていました。たくさんの声援をいただいきました。ありがたいし、うれしいです。工事現場の人も仕事を止めて見ていてたくさんの人に応援してもらえました」と喜んでいました。
レスリング女子で4連覇を達成した伊調馨選手は「4年前にも経験しましたがこんなにたくさんの人に集まってもらって、うれしく思います」と感謝していました。また、沿道で伊調選手の顔写真を貼ったうちわを持っていた人がいたことに触れ「表は笑顔でしたが、裏側は、私の怖い顔だったのでやめてほしかったです」と話し、笑いを誘っていました。
上地選手「この感動の記憶を忘れない」
リオデジャネイロパラリンピックで日本選手団の旗手を務め、車いすテニスの女子シングルスで銅メダルを獲得した上地結衣選手は「オリンピック、パラリンピック関係なく、多くの人が応援してくれていると感じた。自分の名前を呼んでくれる声が聞こえてうれしく、できるだけ一人一人に手を振ろうと思ったが、始まったら、あっという間だった。この感動の記憶を忘れずに、4年後の東京大会に向けて1日1日を過ごしていきたい」と話していました。
目に障害のあるクラスでメダル4つを獲得した木村敬一選手は「沿道からの拍手の大きさや声で大勢の人がいることを感じた。熱気が伝わり、たくさんの声を頂けたので、本当にうれしい時間だった。4年後の東京大会は地元での開催で、もっとたくさんの人が応援してくれると思うので、もっともっと盛り上げていけるようにしていきたい」と話していました。
陸上女子400メートルの腕に障害のあるクラスで、銅メダルを獲得した※辻沙絵選手は「上を見ても下を見ても、横を見ても多くの人がいて、幸せな景色だった。2020年までの4年間はもう始まっているので、1日1日を大切にして、もっとパラスポーツがおもしろいものだとみんなに伝えたい。東京大会の時には、より多くの人に来て欲しい」と話していました。
(※しんにょうの点が2つ)
沿道で祝福した人たちは
東京・港区西新橋のパレードのスタート地点には、メダリストをひと目見ようと大勢の人が訪れていました。
近くに職場があり、休憩をもらって見に来たという女性は「前回のパレードは見に来れなかったので、初めて選手たちを直接見て声援を送ることができました。とても記念になりました」と話していました。
大阪に住む母親と一緒に見に来たという女性は「お目当ての選手を見ることができて、とても満足です。大会期間中は、選手たちの活躍を見て感動しました。これからも活躍してほしいです」と話していました。
仕事が休みで見に来たという男性は「とても感動しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、選手の皆さんにはこれからも頑張ってもらいたいです」と話していました。
東京・中央区の銀座八丁目では、選手たちを乗せたトレーラーやバスが通るたびに沿道に集まった人たちは手をふりながら選手の名前を呼んだり、「おめでとう」などと声をかけたりしていました。
横浜から見に来たという50代の女性は「体操の内村選手が近くで見られて興奮しました。選手たちがリオデジャネイロで頑張っていた姿を思い出して感動がよみがえりました」と話していました。
また、大阪から来たという30代の女性は「卓球の福原選手に手をふりました。試合の時とは違う選手の皆さんの表情が見られて朝早くから待ったかいがありました。4年後も選手たちを見るために東京に来ます」と話していました。
東京・中央区の銀座四丁目の中央通りの沿道には、身動きができないほど大勢の人が訪れメダリストを祝福していました。
午前7時から待っていたという30代の女性は「レスリングの吉田選手をずっと応援していて朝早くから来ました。銀メダルで残念でしたが、次の東京オリンピックでは金メダルを獲得してほしいです」と話していました。
また、30代の会社員の男性は「卓球の福原選手や石川選手を目の前で見ることができてうれしかったです。今回の大会では日本の選手がたくさんのメダルを獲得できたので東京でも活躍を期待しています」と話していました。
パレードのゴール地点の東京・日本橋にも大勢の人が訪れました。21歳の女子大学生は「朝早くからきたかいがあり、選手たちを間近で見られて感激しました。写真をたくさん撮りました」と話していました。神奈川県から来た男性は「写真を撮るのに夢中でした。かなり人が集まっていて、警察の警備がものものしかったですが、人混みを整理してくれて安心して選手を見られたのでよかったです」と話していました。近くの会社員の男性は「パラリンピックの選手たちがみんな近くで見ると、かなり大きくてかっこよかったです。4年後の東京オリンピック・パラリンピックが楽しみでしかたありません」とうれしそうに話していました。
沿道のレストランなどは見物客で混雑
パレードのコースの沿道には、レストランやカフェがあり、7日は食事やお茶を飲みながら選手たち見ようという人たちで混雑しました。このうち銀座にある老舗のパン屋のビルでは、2階のカフェと3階のレストランからガラス越しにパレードを見ることができるため7日は開店3時間前の午前8時におよそ80人分の整理券が配られ、店の前に長い列ができました。神奈川県鎌倉市から来たという80代の女性は「けさ5時に自宅を出発しました。早く選手たちに会いたいです」と話していました。
整理券を手にしてテーブルについた人たちは、パレードが始まると、席から立ち上がって間近を通る選手の写真を撮ったり、手を振ったりしながら、沿道に声援を送っていました。東京・江東区の60代の男性は「間近でみる選手の姿は迫力がありました。4年後の東京オリンピックも頑張ってほしいという気持ちで声援を送りました」と話し、埼玉県から来た60代の女性は「体操の内村選手に会えてよかったです。オリンピックの感動をもう一度味わうことができました」と話していました。
また、この店では五輪にあやかり、5種類のあんパンなどを詰め合わせた「パレードセット」を200セット販売しましたが、開店からわずか1時間半で完売しました。銀座木村家・営業企画室の上野仁さんは「大盛況のパレードが無事に混乱なく終わってよかったです。4年後の東京オリンピックでは、もっと盛り上げることができればいいと思います」と話していました。