韓国の
パク・クネ(
朴槿
恵)
大統領の
弾劾を
求める
議案の
採決が
9日行われるのを
前に、
可決されるかどうかの
鍵を
握る
与党非主流派の
内部では、
野党が
提出した
議案に、
旅客船セウォル
号が
沈没した
際の
大統領の
対応について
憲法違反だとする
文言が
盛り込まれていることに
難色を
示す
意見が
相次いでいて、
投票行動に
影響を
及ぼす
可能性も
指摘されています。
韓国の
国会では、
野党が
今月3日に
提出したパク・クネ
大統領の
弾劾を
求める
議案について
8日の
本会議で
議長が
報告したあと、
9日採決にかけられる
予定です。これを
前に、
議案が
可決されるかどうかの
鍵を
握る
与党非主流派は、
7日午前に
会合を
開いて、
採決に
向けた
対応を
協議しました。
この中で、議案の中に、おととし旅客船セウォル号が沈没した際のパク大統領の対応をめぐり、「国民の生命と安全のための積極的な措置を取らなかった」として憲法違反だとする文言が盛り込まれていることについて、出席した議員から「セウォル号をめぐる対応には、わかっていない部分が多い」とか、「不必要な部分は修正すべきだ」などと難色を示す意見が相次ぎました。
与党内でパク大統領と距離を置く非主流派は、野党側に同調する構えを崩していませんが、セウォル号に関する文言が投票行動に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
一方、野党3党は、7日午後に国会の前で決起集会を開き、所属議員や党職員およそ350人が「大統領の弾劾は民心だ。与党も賛同せよ」などと訴え、パク大統領の弾劾を推し進める姿勢をアピールしました。そして、最大野党「共に民主党」のチュ・ミエ(秋美愛)代表は、「与党には、国民の心を察して議案に賛同するよう求める」と述べ、与党議員に対し、9日の採決で賛成票を投じるよう呼びかけました。
聴聞会で元高官ら証言 チェ被告は欠席
韓国のパク・クネ大統領の長年の知人、チェ・スンシル(崔順実)被告らをめぐる一連の事件に関する国会の聴聞会が、6日に続いて開かれ、大統領府の元高官やチェ被告の親族など14人が証人として出席しました。
しかし、チェ被告は裁判を控えているうえに健康上の問題もあるとして欠席したため、事件の張本人不在での開催となりました。
政府の文化事業を手がけた映像監督で、職権乱用や強要の罪で起訴されたチャ・ウンテク被告は、チェ被告について、「大統領を操っていたかはわからないが、こんな人が本当にいるのかと思った」とチェ被告が、パク大統領に対して大きな影響力を持っていたという認識を示しました。
また、チェ被告のめいで、先月横領などの疑いで逮捕されたチャン・シホ容疑者は、自身が事務総長を務めたスポーツ選手の育成機関について、チェ被告の指示を受けて文化体育観光省の当時の次官に設立を進言したことを明らかにしたうえで、「おばから指示が出れば従わなければならない立場だった。逆らうことはできなかった」と述べました。
一方、大統領府のキム・ギチュン元秘書室長は、「チェ被告の存在は知らなかった。もし知っていたら電話くらいはしていたはずだ」と述べ、チェ被告との関わりを否定しました。また、キム元秘書室長は、「大統領とは1週間に一度も会わないこともある」と述べ、側近のトップでありながら大統領と顔を合わせる機会が限られていたことを明らかにし、その理由として、大統領が直接報告を受けようとしなかったという認識を示しました。
「文化界の皇太子」チャ被告
映像監督のチャ・ウンテク被告は、パク大統領の長年の知人、チェ・スンシル被告とおととし春に知り合ったあと、同じ年の8月、大統領直属の文化振興の委員会にメンバーとして選ばれました。政府の文化事業を多く手がけ、国民の健康増進のための新たな体操「ヌルプム体操」を作る事業にも関わり、体操の発表会にはパク大統領も出席しました。
こうした実績から、韓国の文化やエンターテインメントの世界では著名な存在で、韓国のメディアでは「文化界の皇太子」と呼ばれていました。チャ被告は、大統領府の高官の仲介で大手通信会社に近づき、側近を採用させたり、みずから設立した広告代理店をこの通信会社の広告取り扱い事業者に加えさせたりしたという職権乱用や強要の罪で起訴され、検察は、パク大統領がチャ被告と「共謀関係にあった」という判断を示しています。
チャン容疑者 国会の命令を受け出席
チャン・シホ容疑者は、チェ・スンシル被告のめいで、去年6月に発足した冬季スポーツの選手を育成する機関の事務総長を務めていましたが、先月、運営資金を横領した疑いなどで検察に逮捕されました。
韓国メディアは、チャン容疑者は、再来年に韓国で開催されるピョンチャン(平昌)オリンピックとパラリンピックの利権を狙っていたのではないかと指摘しています。
チャン容疑者は健康上の理由から7日の聴聞会を欠席すると届け出ていましたが、韓国メディアによりますと、国会からの命令を受けて午後になって出席を決めたということです。
大統領側近 キム元秘書室長とは
キム・ギチュン(金淇春)元秘書室長は検事出身で、1990年代には当時のノ・テウ政権で法相を務めたこともありました。パク大統領の信任が厚く、2013年8月、側近のトップである秘書室長に就任して韓国大統領府を取りしきりました。
しかし、「秘書室長が大統領に世論の動きを正確に報告しなかったため、大統領が国民の意思を理解できなくなった」などという批判が高まり、去年2月、職を降りました。
韓国メディアは、キム元秘書室長がチェ・スンシル被告の大統領府内での行動などを把握していたのではないかと伝えています。