日本新聞: 【解説】バイデン氏演説のポイントは？勝因は？

【解説かいせつ】バイデン氏し演説えんぜつのポイントは？勝因しょういんは？

Nov 8, 2020 13:11 1

Furigana

アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょで民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうが演説えんぜつで勝利しょうり宣言せんげんをしました。演説えんぜつのポイントや勝因しょういんなどについてワシントン支局しきょくの辻つじ浩平こうへい記者きしゃの解説かいせつです。

バイデン氏しの演説えんぜつのポイントは？

大おおきく2つある。

1つは分断ぶんだんが深ふかまるアメリカを結束けっそくさせるというメッセージだ。

バイデン氏しは演説えんぜつの中なかで、トランプ大統領だいとうりょうに投票とうひょうした有権者ゆうけんしゃにも直接ちょくせつ呼よびかけ、「われわれは敵てきではなく、同おなじアメリカ人じんだ」と強調きょうちょうした。そして、「相手あいてを敵てきのように扱あつかうのは今いまここでやめよう」と述のべ和解わかいを呼よびかけた。国民こくみんの結束けっそくと和解わかいはバイデン氏しが選挙せんきょ戦せんで一貫いっかんして訴うったえてきたテーマでもある。

もう一ひとつはトランプ時代じだいとの決別けつべつをアピールした点てん。

象徴しょうちょう的てきなのは、世界せかいで最もっとも被害ひがいが深刻しんこくになっている新型しんがたコロナウイルス対策たいさく。来週らいしゅうにも科学かがく者しゃや専門せんもん家かからなる対策たいさくチームを立たち上あげ、来年らいねん1月つきの就任しゅうにん初日しょにちから対策たいさくにとりかかるとアピールした。最大さいだいの課題かだいであるこの問題もんだいに正面しょうめんから向き合むきあうことで、経済けいざい再開さいかいを優先ゆうせんさせ、感染かんせん対策たいさくを軽視けいししているとも批判ひはんされてきたトランプ大統領だいとうりょうとは異ことなる政権せいけん運営うんえいとなることを印象いんしょうづけた。

バイデン氏しの勝因しょういんは？

トランプ大統領だいとうりょうに対にたいする不満ふまんをすくいとったこと。

バイデン氏しには熱狂ねっきょう的てきな支持しじ者しゃは多おおくないとも指摘してきされてきた。取材しゅざいしていても、感染かんせん対策たいさくのために小しょう規模きぼにしていた選挙せんきょ集会しゅうかいでは、トランプ大統領だいとうりょうの大だい規模きぼな集会しゅうかいに比くらべ、活気かっきに欠かけると感かんじることもあった。にもかかわらずふたを開あけてみれば、過去かこ最高さいこうの得票とくひょうとなった。

トランプ政権せいけんの継続けいぞくを阻止そししたいという人々ひとびとのうねりが、表面ひょうめんからは見みえにくいものの、いわば「静しずかな怒いかり」とも言いえる形かたちで現あらわれたとも見みられている。

ホワイトハウス前まえを埋うめ尽つくした支持しじ者しゃなどを先さきほど取材しゅざいしてきていたが、聞きかれたのは、バイデン氏しがもたらす変化へんかへの希望きぼうもさることながら、トランプ政権せいけんが終おわるという安あんどや喜よろこびの声こえも多おおかったのが、それを裏付うらづけているようにも感かんじた。

トランプ大統領だいとうりょうは敗北はいぼくを認みとめていないが今後こんごどうなる？

トランプ大統領だいとうりょうは戦たたかいの場ばを法廷ほうていに移うつして対抗たいこうする考かんがえを示しめしている。週しゅう明あけから法廷ほうてい闘争とうそうに一層いっそう力ちからを入いれていくとしていて、決着けっちゃくは長引ながびくことも予想よそうされる。

もう1つ懸念けねんされるのが社会しゃかいの分断ぶんだん。トランプ大統領だいとうりょうがこれまでに得票とくひょうした票ひょうは7000万まん票ひょうを超こえ、全体ぜんたいの半分はんぶん近ちかくを占しめている。アメリカの分断ぶんだんを象徴しょうちょうするような投票とうひょう結果けっかでもある。しかも、4年ねん前まえの選挙せんきょより700万まん票ひょう以上いじょう票ひょうを増ふやしていて、決けっしてトランプ支持しじ者しゃが減へったわけではないことがうかがえる。