ドイツで
開かれている
地球温暖化対策の
国連の
会議、「
COP23」で、
高潮や
洪水の
被害を
受けている
島しょ
国などの
発展途上国が、
対策を
進めるには、
先進国からの
資金支援がさらに
必要だと
主張しています。
背景には、
アメリカが「
パリ協定」からの
脱退を
表明したことへの
懸念があると
見られます。「COP
23」では、
2020年以降の
温暖化対策の
国際的な
枠組み、「パリ
協定」の
具体的なルール
作りの
交渉が
進められています。
このなかで、島しょ国などの途上国は、防潮堤やダムの整備といった、高潮や洪水など温暖化に伴う自然災害の被害を軽減する対策を進めるには、先進国からの資金支援がさらに必要だと主張しています。
一方、先進国は、「緑の気候基金」という資金支援の仕組みがすでにあり、これまでに合わせて日本円で1兆円以上を拠出すると表明していて、さらなる仕組みは必要ないと主張しています。
しかし、この基金に最も多く資金を拠出することになっていたアメリカが「パリ協定」からの脱退を表明し、拠出をやめる方針を示しています。
ツバルの交渉官は、「アメリカが基金に資金を出さないことで、大きな不足が生じる」と述べていて、途上国の主張の背景には、アメリカが抜けることで、先進国からの資金支援が十分に行われなくなるのではないかという懸念があると見られます。
アメリカ脱退で広がる懸念
ことし9月、ハリケーン「イルマ」で高潮や洪水の被害を受けた中米・カリブ海のバハマの代表団の男性は、「ハリケーンによって漁業や農業が被害を受け、気候変動は死活問題となっている。資金を多く拠出しているアメリカがパリ協定から脱退すれば、途上国にも影響が出る」と話していました。
また、海面上昇による被害が深刻化しているインド洋・モーリシャスの代表団の男性は、「私たちは温室効果ガスをほとんど出していないのに、気候変動の影響をじかに受けている。気候変動を引き起こした国の1つがアメリカで、島しょ国、そして世界を助けるべきだ」と述べて、アメリカはパリ協定からの脱退の方針を撤回すべきだと強調しました。
「COP23」の議長国、フィジーのバイニマラマ首相は、「私たちにできるのはトランプ大統領に、『頼むからパリ協定に戻り、私たちに協力してくれ』と伝えることだ」と述べ、島しょ国は、アメリカからの継続的な資金支援を必要としていると訴えました。
フィジーでは、高潮による被害が深刻で、沿岸部の住宅や学校を高い土地に移転させる事態になっていて、移転にかかる費用や防波堤の建設費用などの支援を必要としているということです。