日本新闻: 中国の肺炎新型の可能性否定できず関係機関が注意呼びかけ

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんは、中国ちゅうごく内陸ないりく部ぶの湖北こほく省しょう武漢ぶかんで、先月せんげつ以降いこう、相次あいついで見みつかっている原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんの患者かんじゃについて、新型しんがたのウイルスによる可能かのう性せいが否定ひていできないと発表はっぴょうしました。

これは、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんが８はち日にち、発表はっぴょうしたものです。

それによりますと、中国ちゅうごく当局とうきょくが原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんの病原びょうげん体たいを特定とくていするための検査けんさをしたところ、2003年ねんに感染かんせんが拡大かくだいした新型しんがた肺炎はいえん「ＳＡＲＳ」や、重おもい肺炎はいえんなどを引き起ひきおこす「ＭＥＲＳ」、それに、鳥とりインフルエンザなどの可能かのう性せいはいずれも否定ひていされたことがわかったということです。

このためＷＨＯだぶりゅ-えいちお-は、患者かんじゃの症状しょうじょうなどから、原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんの原因げんいんは新型しんがたのコロナウイルスの可能かのう性せいが否定ひていできないと指摘してきしています。

そのうえで、原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんの病原びょうげん体たいを特定とくていするためには、さらなる調査ちょうさが必要ひつようだとしています。

中国ちゅうごく当局とうきょくによりますと、患者かんじゃ数すうはこれまでに59人にんにのぼり、このうち７なな人にんが重症じゅうしょうだということです。

中国ちゅうごく国営こくえいメディア「新型しんがたと暫定ざんてい判断はんだん」と報道ほうどう

中国ちゅうごくの国営こくえいメディアは、９きゅう日にち、原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんについて、これまでの専門せんもん家かチームによる調査ちょうさの結果けっか、「新型しんがたのコロナウイルスだと暫定ざんてい的てきに判断はんだんされる」と伝つたえました。

それによりますと、調査ちょうさでは、患者かんじゃから検出けんしゅつしたウイルスについて、電子でんし顕微けんび鏡きょうでコロナウイルスの形状けいじょうを確認かくにんしたとしています。

そのうえで、ウイルスは、2003年ねんに感染かんせんが拡大かくだいした新型しんがた肺炎はいえん「ＳＡＲＳ」や、重おもい肺炎はいえんなどを引き起ひきおこす「ＭＥＲＳ」などの原因げんいんとなるコロナウイルスとは異ことなるもので、さらに調査ちょうさを進すすめるとしています。

外務省がいむしょう「感染かんせん予防よぼうのために最新さいしんの情報じょうほうに注意ちゅういを」

外務省がいむしょうは、８はち日にち、中国ちゅうごくに滞在たいざいしたり渡航とこうを予定よていしたりしている日本人にっぽんじんに向むけて「スポット情報じょうほう」を更新こうしんし、感染かんせんを予防よぼうするため、最新さいしんの情報じょうほうに注意ちゅういするよう呼よびかけています。

また「スポット情報じょうほう」では、中国ちゅうごく武漢ぶかんから帰国きこくした人ひとに、検疫けんえき所しょが、せきや発熱はつねつなどがある場合ばあいは検疫けんえき官かんへの自己じこ申告しんこくを呼よびかけていることから、帰国きこく後ごにこうした症状しょうじょうがあれば、マスクを着用ちゃくようするなどして医療いりょう機関きかんを受診じゅしんするよう求もとめています。

韓国かんこく武漢ぶかんから帰国きこくの女性じょせいが肺炎はいえんの症状しょうじょう訴うったえ

こうした中なか、韓国かんこくの保健ほけん福祉ふくし省しょうは８はち日にち、ソウル近郊きんこうの会社かいしゃで働はたらく中国ちゅうごく籍せきの30代だいの女性じょせいが国内こくないで肺炎はいえんの症状しょうじょうを訴うったえたため、中国ちゅうごくの原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんとの関連かんれんを調しらべていると発表はっぴょうしました。

それによりますと、この女性じょせいは先月せんげつ半なかばに武漢ぶかんに出張しゅっちょうしたあと、せきやのどの腫はれを訴うったえ、７なな日にち、ソウル近郊きんこうの病院びょういんで肺炎はいえんと診断しんだんされたということです。

女性じょせいは現在げんざい、隔離かくりされた状態じょうたいで治療ちりょうを受うけていて、快方かいほうに向むかっているということです。

武漢ぶかんでは、患者かんじゃの一部いちぶが地元じもとの海鮮かいせん卸売おろしうり市場しじょうの関係かんけい者しゃだったことが分わかっていますが、女性じょせいは武漢ぶかん滞在たいざい中ちゅう、市場しじょうを訪問ほうもんしておらず、肺炎はいえんの原因げんいんも特定とくていされていないということです。

韓国かんこく保健ほけん福祉ふくし省しょうは、女性じょせいと原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんとの関連かんれんを慎重しんちょうに調しらべるとともに、関係かんけい機関きかんと協力きょうりょくして、空港くうこうなどでの水際みずぎわ対策たいさくについても強化きょうかすることにしています。

専門せんもん家か「今後こんごの情報じょうほうに注視ちゅうしを」

韓国かんこくで、中国ちゅうごく・武漢ぶかんから帰国きこくした人ひとが肺炎はいえんの症状しょうじょうを訴うったえていることについて、感染かんせん症しょうに詳くわしい川崎かわさき市し健康けんこう安全あんぜん研究所けんきゅうじょの岡部おかべ信彦のぶひこ所長しょちょうは、「まだ武漢ぶかんとの関連かんれんを調しらべている段階だんかいだと思おもうが、この患者かんじゃがどこに立ち寄たちよったのかなど、さらに詳くわしい情報じょうほうを集あつめて分析ぶんせきする必要ひつようがある。ただ、現在げんざいのところ、この肺炎はいえんで死亡しぼうした人ひとはおらず人ひとから人ひとへの感染かんせんも確認かくにんされていないようなのでむやみに恐おそれる必要ひつようはない」と指摘してきしています。

また、ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんが肺炎はいえんの原因げんいんが新型しんがたウイルスである可能かのう性せいが否定ひていできないとする見解けんかいを示しめしたことについては、「一定いっていの数かずの患者かんじゃが出でて、２に０ぜろ０ぜろ３さん年ねんにアジア各地かくちで広ひろがった新型しんがた肺炎はいえんの『ＳＡＲＳ』や、中東ちゅうとうなどで広ひろがる『ＭＥＲＳ』ではないということで、実際じっさいに新あたらしい病原びょうげん体たいである可能かのう性せいはあると思おもう。どういった病原びょうげん体たいでどういう性質せいしつのものかは予防よぼうや治療ちりょうに関かかわる重要じゅうような情報じょうほうなので、今後こんご出だされる情報じょうほうを注視ちゅうしする必要ひつようがある」と話はなしています。

専門せんもん家か「必要ひつよう以上いじょうに恐おそれることはない」

海外かいがいの感染かんせん症しょうに詳くわしい東京とうきょう医科いか大学だいがくの濱田はまだ篤郎とくろう教授きょうじゅは、人ひとから人ひとへの感染かんせんが確認かくにんされていないほか、重症じゅうしょう化かする患者かんじゃが少すくなく、死亡しぼうした人ひとは報告ほうこくされていないことから、「今後こんご、注意ちゅういは必要ひつようだが、必要ひつよう以上いじょうに恐おそれることはない」と話はなしています。

そのうえで、濱田はまだ教授きょうじゅは、中国ちゅうごくから帰国きこくした人ひとが２に週間しゅうかん以内いないにせきなどの呼吸こきゅう器きの症状しょうじょうや37.5度ど以上いじょうの発熱はつねつがみられたら、速すみやかに医療いりょう機関きかんを受診じゅしんし、自分じぶんが中国ちゅうごくに滞在たいざいしていたという趣旨しゅしをきちんと医師いしに伝つたえて治療ちりょうを受うけてほしいとしています。

また、中国ちゅうごくに行いく人ひとは、▼生いきた動物どうぶつが飼かわれている場所ばしょには近ちかづかないことや、▼手洗てあらいを徹底てっていすること、▼可能かのうなかぎり人混ひとごみを避さけて行動こうどうすることで感染かんせんのリスクを下さげてほしいとしています。

濱田はまだ教授きょうじゅは「今後こんご、感染かんせんが広ひろがって症状しょうじょうが悪化あっかするケースが報告ほうこくされるかもしれないが、現状げんじょうを見みるかぎり、必要ひつよう以上いじょうに恐おそれる感染かんせん症しょうではないと思おもう。行政ぎょうせいの発はっする情報じょうほうやニュースに常つねに注意ちゅういし、海外かいがいでも常識じょうしき的てきな行動こうどうを心こころがけていれば感染かんせんのリスクはそれほど高たかくない」と話はなしています。

香港ほんこんや台湾たいわんでも感染かんせん予防よぼうの対策たいさく始はじまる

香港ほんこん政府せいふは、７なな日にち、原因げんいん不明ふめいのウイルス性せい肺炎はいえんに対にたいする警戒けいかいレベルを３さん段階だんかいのうち２に番目ばんめに当にあたる「厳重げんじゅう」に引き上ひきあげ、空港くうこうや駅えきで乗客じょうきゃくの体温たいおんを測定そくていするなど、香港ほんこんへの感染かんせん拡大かくだいを防ふせぐ対策たいさくを始はじめました。

香港ほんこん政府せいふによりますと、７なな日にちまでに、武漢ぶかんから香港ほんこんに入はいり発熱はつねつなどの症状しょうじょうを訴うったえた21人にんについて経過けいか観察かんさつの措置そちをとりましたが、多おおくがインフルエンザなどほかの病気びょうきと診断しんだんされ、武漢ぶかんで見みつかった原因げんいん不明ふめいの肺炎はいえんの症例しょうれいは、確認かくにんされていないということです。

香港ほんこんでは、2003年ねんに感染かんせんが拡大かくだいし299人にんが死亡しぼうした、新型しんがた肺炎はいえん「ＳＡＲＳ」を思い起おもいおこす人ひとも多おおく、不安ふあんが広ひろがっています。

香港ほんこん政府せいふトップの林はやし鄭てい月つき娥行政ぎょうせい長官ちょうかんは７なな日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「これまでの伝染でんせん病びょうの経験けいけんから素早すばやいだけでなく、厳きびしい対応たいおうが必要ひつようだと認識にんしきしており、少すこしの油断ゆだんも許ゆるされない」と述のべたうえで、今週こんしゅう中ちゅうに原因げんいん不明ふめいのウイルス性せい肺炎はいえんを、患者かんじゃの隔離かくりを義務ぎむづける伝染でんせん病びょうのリストに加くわえる方針ほうしんを明あきらかにしました。

また、台湾たいわんでも衛生えいせい当局とうきょくが空港くうこうなどでの検疫けんえきを強化きょうかしています。

衛生えいせい当局とうきょくによりますと、台湾たいわんでは過去かこに中国ちゅうごくから感染かんせんが拡大かくだいした新型しんがた肺炎はいえん「ＳＡＲＳ」で73人にんが死亡しぼうしています。

今月こんげつ11日にちには、台湾たいわんの総統そうとう選挙せんきょが行おこなわれ、多おおくの人ひとが中国ちゅうごく大陸たいりくから戻もどることも予想よそうされ、衛生えいせい当局とうきょくは、２に週間しゅうかん以内いないに武漢ぶかんを訪問ほうもんして発熱はつねつなどの症状しょうじょうがある人ひとは、医療いりょう機関きかんなどに届け出とどけでるよう呼よびかけています。

厚あつ労ろう省しょう「武漢ぶかんから帰国きこくでせき発熱はつねつなど症状しょうじょうあれば受診じゅしんを」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは仮かりに原因げんいんが新型しんがたのコロナウイルスだったとしても、それだけで直ただちに過剰かじょうに反応はんのうする必要ひつようは無ないとしています。

そのうえで、特とくに重要じゅうようだと考かんがえられるポイントとして次つぎの３みっつの点てんをあげています。

▽人ひとから人ひとに感染かんせんしているのか、▽死亡しぼう者しゃがいるのか、そして、▽関連かんれんが疑うたがわれる新あらたな患者かんじゃが出でてきているのかです。

これまでのところ、人ひとから人ひとへの感染かんせんや死亡しぼうしたケースは確認かくにんされておらず、ことしに入はいってから新あらたな患者かんじゃが発生はっせいしたという報告ほうこくも無ないということです。

武漢ぶかんから香港ほんこんやシンガポールなどに渡航とこうした人ひとの中なかで発熱はつねつしたケースはあったものの、大半たいはんはすでに原因げんいんがわかっていて、今回こんかいの肺炎はいえんと因果いんが関係かんけいが明あきらかになった人ひとはいないということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは引き続ひきつづき、こうした点てんについて中国ちゅうごく当局とうきょくなどから情報じょうほう収集しゅうしゅうを行おこなうとともに、武漢ぶかんからの帰国きこく者しゃでせきや発熱はつねつなどの症状しょうじょうがある場合ばあいは、速すみやかに医療いりょう機関きかんを受診じゅしんし渡航とこう歴れきを申告しんこくするよう呼よびかけています。