栃木県小山市の高野健一容疑者(42)は、3月11日、新宿区高田馬場の路上で、動画の生配信中だった佐藤愛里さん(22)を持っていたサバイバルナイフで刺して殺害したとして、殺人の疑いが持たれています。
警視庁によりますと「佐藤さんを殺すつもりはなかった」と殺意を否認する一方、「貸した金を返してもらえず連絡もとれなくなり、傷つけようと思った」とも供述していて、おととしには、支払いを求める民事裁判を起こしていたこともわかっています。
さらに、高野容疑者が「事件を起こして裁判になれば自分に対して佐藤さんがしていることを世の中に知ってもらえると思った」という趣旨の供述をしていることが、捜査関係者への取材で新たにわかりました。
警視庁は、金銭トラブルをめぐり、恨みを募らせていたことが事件の背景にあるとみて、動機の解明を進めています。
職場に「あす休む」と電話で連絡
高野容疑者は、栃木県内の就労支援の事業所に2年ほど前から通っていました。
平日週5日間、配送用のラベルの作成などの作業をしていました。
事件前日の3月10日にも、作業をしていましたが、退所したあと、午後4時ごろになって、「あすは家の都合で休みます」と電話で連絡してきたということです。
事業所のスタッフによりますと、口かずは少ないものの、話しかけると笑顔を見せることがあり、毎日まじめに作業をしていたということです。
取材に応じたスタッフの1人は「スマホのゲームや、YouTubeの動画を見るのが好きだと聞いていましたが、配信についての話は聞いたことがありませんでした。あれだけまじめな人が事件を起こしたと聞き、驚いています」と話していました。
アパートで1人で生活 家賃未払いやトラブルなかった
高野容疑者が住んでいたアパートの管理会社の社長によりますと、容疑者は2年ほど前に部屋の賃貸契約を結び、1人で生活していたということです。
家賃の未払いや、ほかの入居者とのトラブルはなかったということです。
社長は「被害者の方が亡くなり、胸を痛めています。事件が解明されることを願っています」などと話していました。