この施設は地下につくられており、アメリカなどが秘密裏に核開発が進められると警戒して、4年前の核合意でウラン濃縮活動が禁止されていました。
イラン政府によりますと現在、ウランを濃縮するための遠心分離機が1000台余り設置されていて、「まもなく全面的に稼働する」としています。
ただ、活動の再開にあたっては、IAEA=国際原子力機関の査察官が立ちあい、この施設でのウラン濃縮度は平和利用の範囲である5%程度にとどめるとしています。
イランは、アメリカの経済制裁によって核合意で約束された経済的利益が守られていないとして、ことし5月以降、核合意の制限を破る措置を段階的に実行していて今回が4回目です。
イランとしては、合意を維持したいヨーロッパなどに対して圧力をかけ、イランへの経済支援を引き出すねらいがあるとみられます。
しかし、ヨーロッパの国々はアメリカの圧力を前に支援の実施に踏み切れておらず、イランが核開発をさらに推し進める懸念が高まっています。
ロウハニ大統領「アメリカのおかげで全面稼働へ」
イランのロウハニ大統領は6日、ツイッターに「イランの第4段階の措置はきょうから始まる。アメリカの政策やその同盟国のおかげで、フォルドゥの施設は近く全面稼働の状態に戻る」と投稿し、経済制裁を強めるアメリカへの皮肉を交えて、核開発を強化する姿勢を示しました。
マクロン仏大統領「本質的な転換で深刻だ」
イランが核合意で禁じられている中部の核施設でのウラン濃縮活動の再開を明らかにしたことを受けて、フランスのマクロン大統領は訪問先の中国の北京で6日、「イランは初めて明確に核合意から離脱することを決めた。本質的な転換であり、深刻だ」と述べて、強い懸念を示しました。
そのうえで、今後数日のうちにアメリカとイラン双方と対話する考えを示しました。
核合意を巡ってマクロン大統領はアメリカとイランに対してこれまでも歩み寄りを求めてきましたが、事態の打開には至っていません。