広がる「こども宅食」
このうち、東京 文京区はふるさと納税を活用してNPOや企業とともに2年前から全国に先駆けて「こども宅食」を実施しています。
この取り組みでは児童扶養手当や就学援助を受けている家庭を対象に2か月に1度、コメやレトルト食品などを届けています。
29日は取り組みに参加している東京 江東区の運送会社の物流拠点で、来月に届ける食品を準備する作業が行われました。
取り組みに賛同した企業から寄付されたコメやレトルト食品、お菓子など27点がクリスマスの柄の袋に入れられ、コンテナに詰められていきました。
「こども宅食」の運営を行うNPOの増田朱里さんは「喜んでいただいています。お菓子を買えない家庭では宅食のお菓子があることで、お友達を家に呼ぶことができたという声も聞いています。実際にお届けして『最近どうですか』とか話をすることで困り事などを話してもらえる」と話していました。
一方で、増田さんは支援の難しさも感じていて「外から見るときれいな家に住んでいたり自分の食費を削って、子どもを塾や習い事に通わせたりして貧困が見えにくくなっている。親も見せないように必死に隠しているため、支援につながらないおそれがある」と話していました。
SNSで家庭の状況把握も
このため、文京区の「こども宅食」では対象世帯はSNSで簡単に申し込めるようにしているということです。
また、SNSで気軽にやり取りができることで家庭の現状を把握することができ、さらに必要な支援につなげることもできるということです。
「こども宅食」の取り組みは最近では佐賀県や新潟市などでも行われていて、全国各地に広がっています。
寄せられる感謝の声
文京区の「こども宅食」を運営するNPOには利用者のさまざまな声がSNSで寄せられています。
初めて食品を受け取ったという利用者からは「こんなにたくさんと、量が多いことに驚きました。懸念していた賞味期限もすべて余裕がありましたし、バラエティー豊かなのも想像以上でした。子どもたちにも『これはこども宅食で頂いたもの』と話して、ふだん以上に『いただきます』に気持ちを込めてから、頂きました。そのせいか、お菓子も取り合いではなく、仲よく分けあうことができ、うれしく楽しい時間を過ごすことができました」というメッセージが寄せられたということです。
また、この取り組みでは食品以外にもコンサートやスポーツ観戦、温泉施設の入場券なども抽せんで配布していて、受け取った人からは「ふだんは体験することが難しいイベントを企画・招待くださり、大変感謝しております。ひとりきりで子育てし日常に忙殺される中、非日常のひとときが持てることはとても幸運なことです。大げさに聞こえるかもしれませんが、本当に生きててよかったなあ、と心から思いました。本当にありがとうございました」といった声も寄せられています。