内戦が
続くシリアで空爆が
行われたあと、
多くの
市民が
化学兵器の
使用が
疑われる
症状を
訴え、これまでに
子どもを
含む
67人が
死亡、およそ
200人が
病院で
手当てを
受けています。
現地で
活動している
NGOは、
被害を
受けた
人々の
症状から
猛毒のサリンなどの
神経ガスが
使われた
可能性が
高いという
見方を
示しました。
シリア北西部イドリブ県の
反政府勢力が
支配する
町で
4日、
激しい
空爆があり、
その後、
付近にいた
市民の
多くが
呼吸障害や
おう吐、
けいれんなど、
化学兵器の
使用が
疑われる
症状を
訴えました。
シリア国内で医療機関を支援しているNGOによりますと、これまでに子どもを含む67人が死亡し、およそ200人が病院で手当てを受けています。
このNGOはNHKの取材に対し、被害を受けた人々は瞳孔が収縮するなどの症状を見せており、猛毒のサリンなどの神経ガスが使われた可能性が高いという見方を示しました。
シリアではアサド政権が4年前に化学兵器の廃棄に応じたあとも、塩素ガスなどを使った攻撃を続けていると指摘されていて、今回も反政府勢力は政権側によるものだと非難していますが、政権側は国営通信を通じて、これを否定し、反政府勢力による自作自演だと反論しています。
国連人権理事会が設けたシリアの人道状況を調べている調査団は4日、声明を出し、「攻撃を実行した者を特定しなければならない」として、国連が主体となり、現地調査を行う必要性を強調しました。
米 攻撃を非難
シリア北西部での空爆で化学兵器が使用された可能性が出ていることについて、アメリカのトランプ大統領は4日、声明を出し、アサド政権による攻撃だとの見方を示したうえで、「女性や子どもを含む無実の市民に対する化学兵器を使った攻撃は無視できない。アメリカは同盟国とともにこの耐え難い行為を非難する」としています。
一方、ホワイトハウスのスパイサー報道官は、大統領が補佐官と対応を協議しているとしながらも、「これからどこに向かうのかに踏み込みたくない」と述べ、具体的な対応への言及は避けました。
アメリカのオバマ前政権は、アサド大統領の退陣を強く求めてきましたが、トランプ政権の高官は「シリアの人たちが自分で決めることだ」などと発言していて、アメリカが方針を転換する可能性があると受け止められています。
さらにスパイサー報道官は、2013年にもシリアで化学兵器が使用された際、オバマ前政権がシリアへの軍事行動の可能性を示唆しながら結局は見送ったことに触れ、「今回の攻撃もオバマ前政権の弱さと優柔不断さが招いた結果だ」と述べ、オバマ前政権に批判の矛先を向けました。