スカリス院内幹事や別の議員のスタッフ、それに警察官など合わせて5人がけがをし、病院で手当てを受けています。
容疑者は警察との銃撃戦の末、死亡しました。
アメリカメディアは、容疑者は中西部イリノイ州の66歳の男で、去年の大統領選挙で民主党の候補者選びに立候補したサンダース上院議員のボランティアをしていたと伝えています。
現場にいた議員は「男が、ここにいるのは共和党か民主党かと尋ねてきて、共和党だと答えたあと事件が起きた」と話しています。
この男のものと見られるフェイスブックのページには、トランプ大統領を非難する言葉が書き込まれていて、FBIは、政治的な動機があったかどうかなどについて捜査を進めています。
トランプ大統領はホワイトハウスで急きょ声明を発表し、「すべての被害者の速やかな回復を祈る」と述べました。
「ダダダダと発砲の音」
銃撃があった現場は、首都ワシントンにも近い、南部バージニア州アレクサンドリアの住宅街にある野球場で、周辺の道路は警察によって封鎖され、ものものしい雰囲気に包まれました。
当時、近くのファストフード店で朝食をとっていたという男性は「突然、ダダダダと発砲の音が連続して聞こえた。まもなくあたりには警察官らが駆けつけ、数分後には撃たれたと見られる議員が担架で運ばれ、ヘリコプターに乗せられる様子を目撃した。けがが軽いことを願っている」と話していました。
この男性が近くの建物から撮影した映像には、現場近くの広場にヘリコプターが着陸し、担架で運ばれたけが人が乗せられる様子が映っています。
トランプ大統領の労働省訪問中止
銃撃事件を受けて、アメリカのトランプ大統領は14日、ホワイトハウスで急きょ声明を発表し、けがをした与党・共和党のスカリス下院院内幹事について「友人であり、愛国者だ」とたたえました。
そして、「警察官の勇敢な行動がなければ多くの命が奪われていただろう。すべての被害者の速やかな回復を祈る。FBI=連邦捜査局が捜査を進める」と述べました。
そのうえで、「われわれには意見の相違があるかもしれないが、結束すれば最も強くなれる」と述べ、結束を呼びかけました。
トランプ大統領は、14日午後、労働省を訪れる予定でしたが、事件を受けて中止しました。
事件受け緊急の下院議員説明会
首都ワシントンにある連邦議会議事堂では、下院議員を対象に事件についての緊急の説明会が開かれました。
説明会は非公開で行われましたが、参加した議員は皆、緊張した表情で足早に会場に向かい、同僚のスカリス院内幹事らが銃撃されたことに衝撃が広がっている様子がうかがえました。
このうち、事件が起きた当時、現場でスカリス院内幹事と野球の練習をしていた共和党のダンカン下院議員は、集まった報道陣に、事件の直前に容疑者の男から、練習に集まった議員が与党・共和党か野党・民主党のどちらの議員なのか尋ねられていたことを明らかにしました。
このため、ダンカン議員は、男が共和党の議員を狙った可能性もあるのではないかとして、「スカリス院内幹事は私の親友で、そのスカリス院内幹事が殺されようとしたことに衝撃を受けています」と話していました。
また、別の議員は、スカリス院内幹事が共和党の指導部の一員で警察が警備していたため容疑者の男を速やかに拘束でき、被害の拡大を防げたと話していました。