農協のうきょうとおさぬ酪農らくのう賦課ふかきん 公取委こうとりい農協のうきょう注意ちゅうい 北海道ほっかいどう

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Oct 6, 2017 16:10
Furigana
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牛乳ぎゅうにゅうバターなどの原料げんりょうとなる「生乳せいにゅう」の出荷しゅっかをめぐり、北海道ほっかいどう釧路くしろ農協のうきょうが、農協のうきょうとおさずに出荷しゅっかしていた組合くみあいいんだけに一時いちじてき金銭きんせんてき負担ふたんをさせていたことがわかり、公正こうせい取引とりひき委員いいんかいは、そのままつづけば優越ゆうえつてき地位ちい乱用らんようきんじた独占どくせん禁止きんしほう違反いはんするおそれがあったとして注意ちゅういしました。注意ちゅういけたのは北海道ほっかいどう釧路くしろ酪農らくのうなどいちぜろあまりの組合くみあいいん加盟かめいする阿寒あかん農協のうきょうです。

阿寒あかん農協のうきょうはことし6月ろくがつ営農えいのう指導しどう費用ひようてるため、酪農らくのういとなむすべての組合くみあいいんから生乳せいにゅう出荷しゅっかりょうおうじて「賦課ふかきん」とばれる分担ぶんたんきん徴収ちょうしゅうする制度せいど導入どうにゅうしました。

しかし公正こうせい取引とりひき委員いいんかいによりますと、農協のうきょうを通をとおして生乳せいにゅう出荷しゅっかしている組合くみあいいんについては賦課ふかきん相当そうとうする金額きんがくぶんだけ出荷しゅっかともな手数料てすうりょう引き下ひきさげ、実質じっしつてき負担ふたんをなくす一方いっぽうで、農協のうきょうとおさずに出荷しゅっかしていた組合くみあいいんいちにんには賦課ふかきん負担ふたんさせていたということです。

国内こくない生乳せいにゅうはほとんどが農協のうきょうを通をつうじて出荷しゅっかされていますが、この組合くみあいいんはことし6月ろくがつから農協のうきょう以外いがい民間みんかん卸売おろしうり業者ぎょうしゃ直接ちょくせつ出荷しゅっかしていたということです。

阿寒あかん農協のうきょう先月せんげつになって賦課ふかきん徴収ちょうしゅう停止ていししましたが、公正こうせい取引とりひき委員いいんかいは、徴収ちょうしゅうつづいた場合ばあい取り引とりひじょう優位ゆうい地位ちい使つかって相手あいて利益りえきあたえることをきんじた独占どくせん禁止きんしほう違反いはんするおそれがあったとしてろくにち注意ちゅういしました。

ひろがるだつ農協のうきょううご

生乳せいにゅう流通りゅうつうをめぐっては、従来じゅうらいのように農協のうきょうを通をとおして出荷しゅっかするのではなく、独自どくじのブランドとして民間みんかん卸売おろしうり業者ぎょうしゃなどに販売はんばいするうごきがひろがりつつあります。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、国内こくない平成へいせいなな年度ねんど生乳せいにゅう生産せいさんりょうななよんいちまんトンにのぼり、そのほとんどは農協のうきょうを通をとおして全国ぜんこくいちぜろある「指定してい団体だんたい」に出荷しゅっかされ、そこから乳業にゅうぎょうメーカーなどに販売はんばいされています。

国内こくない生産せいさんりょう半分はんぶんあまりをめる北海道ほっかいどう生乳せいにゅうは、東京とうきょう大阪おおさかなどのだい規模きぼ消費しょうひからとおいことなどからそのはちわり比較的ひかくてきたか価格かかく取り引とりひきされる牛乳ぎゅうにゅうなどの「飲用いんよう」ではなく、保存ほぞんくバターやチーズなどの加工かこうひん使つかわれてきました。

しかし技術ぎじゅつ進歩しんぽなどによって鮮度せんどたもちながら配送はいそうできるようになったほか、さんねんまえからは独自どくじのブランドとして民間みんかん卸売おろしうり業者ぎょうしゃを通をつうじてたか価格かかく販売はんばいしていきたいという酪農らくのうたちがあらわれ、業者ぎょうしゃによりますと、現在げんざい北海道ほっかいどうぜろあまりの酪農らくのう農協のうきょうとおさずに生乳せいにゅう出荷しゅっかしているということです。

だつ農協のうきょう踏み切ふみきった酪農らくのう

国内こくないもっと酪農らくのうさかんな北海道ほっかいどう東部とうぶでは酪農らくのう指定してい団体だんたい以外いがい生乳せいにゅう出荷しゅっかするうごきがひろがりはじめています。

ろくねんまえ経営けいえいはじめた北海道ほっかいどう釧路くしろ阿寒あかんまち福田ふくだ貴仁たかひとさんさんさん)はおよそぜろぜろとう乳牛にゅうぎゅう飼育しいくし、いちにちたりろくトンちか生乳せいにゅう生産せいさんしています。

福田ふくださんはことし5月ごがつまでは指定してい団体だんたい生乳せいにゅう出荷しゅっかしていましたが、すこしでも収入しゅうにゅうやそうと、ことし6月ろくがつからは群馬ぐんまけんおろし会社かいしゃ出荷しゅっかさき切り替きりかえました。

その結果けっかいちキロたりきゅうえん前後ぜんごだったおろし価格かかくきゅうはちえんからいちぜろぜろえん前後ぜんごさんえんからえんたかくなり、年間ねんかんでは収入しゅうにゅうがおよそろくぜろぜろまんえんえる見込みこみになったということです。

さらに出荷しゅっかさきえたことで自分じぶんのアイデアや工夫くふう生乳せいにゅう販路はんろひろげられるようになったといます。

福田ふくださんは「農協のうきょうを通をつうじて出荷しゅっかすると、自分じぶん生乳せいにゅうをどのメーカーにどの用途ようとるか自分じぶんたちではめられない。自分じぶんたちオリジナルの牛乳パックぎゅうにゅうぱっく高級こうきゅうなバターをつくって輸出ゆしゅつしたりすることができるのはやりがいにつながる」とはなしています。

一方いっぽうで、国内こくない最大さいだい生産せいさん北海道ほっかいどう生乳せいにゅうおも加工かこうようとして出荷しゅっかされていることについて「いま冷却れいきゃく技術ぎじゅつ流通りゅうつうもう発達はったつしているので北海道ほっかいどうから本州ほんしゅうってくことは当たり前あたりまえになっている。ぜろねんまえつくった制度せいどえるべき時期じきにきているのではないか」と指摘してきしています。

あらたな販路はんろ開拓かいたくいど卸売おろしうり業者ぎょうしゃ

あらたな販路はんろ模索もさくする酪農らくのうたちと消費しょうひしゃむすびつけているのが酪農らくのう業界ぎょうかいで「アウトサイダー」とばれる民間みんかん生乳せいにゅう卸売おろしうり業者ぎょうしゃです。

群馬ぐんまけん卸売おろしうり業者ぎょうしゃミルク・マーケット・ジャパン」は、北海道ほっかいどう酪農らくのうとの取り引とりひきをはじ年間ねんかんおよそよんまんぜろぜろぜろトンの生乳せいにゅう仕入しいれて、首都しゅとけんのスーパーなどにおろしています。

去年きょねんからはスーパーなどが北海道ほっかいどうさんりに独自どくじ開発かいはつしたプライベートブランドの商品しょうひん展開てんかいにもかかわっていて、社長しゃちょう茂木もぎ修一しゅういちさんは「はじめに牛乳ぎゅうにゅうおろしたところあじ気に入きにいってもらえて、スーパーのほうから注文ちゅうもんて、ヨーグルトやアイスクリームなどの商品しょうひんつくっています。おもいのほかれています」とはなしています。

そのうえで茂木もぎさんは「いまのようにすべての生乳せいにゅう条件じょうけん農協のうきょう委託いたく販売はんばいするという状態じょうたいから、自分じぶんつくってってもOKお-けいという世界せかいひろがれば酪農らくのうやる気やるきになります。たかいものもやすいものもありますが、消費しょうひしゃ選択せんたくしてもらえるかたちになればいいとおもっています」とはなしています。

取引とりひき自由じゆうのリスク 議論ぎろん必要ひつよう

一方いっぽう新鮮しんせん生乳せいにゅう安定あんていてき消費しょうひしゃとどけるためには、国内こくない酪農らくのうかい全体ぜんたい状況じょうきょうかんが取り引とりひきの自由じゆうともなうリスクについても議論ぎろんをしていくべきだというこえもあります。

生産せいさんから販売はんばいまで牛乳ぎゅうにゅう流通りゅうつうかかわる業界ぎょうかい団体だんたいじぇいミルク」の前田まえだ浩史こうじ専務せんむ理事りじは「生乳せいにゅう腐敗ふはいしやすいというほかの食品しょくひんにはない特徴とくちょうがあり、災害さいがい輸送ゆそう製造せいぞうまる場合ばあいには、ほかの地域ちいき生乳せいにゅう工面くめんするなどして牛乳ぎゅうにゅう不足ふそくこらないようにしている。競争きょうそう促進そくしんする考え方かんがえかた重要じゅうようだが、リスクを業界ぎょうかい全体ぜんたい分担ぶんたんい、生乳せいにゅう安定あんていてき供給きょうきゅうする仕組しくみをいかにして維持いじしていくのかも大変たいへん重要じゅうようだ」とはなしています。

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