アメリカ軍と
韓国軍は、
北朝鮮による
海上での
軍事挑発に
備えて、
16日から
原子力空母やイージス
駆逐艦などが
参加する
共同訓練を
開始しました。
韓国海軍は
16日の
記者会見で、アメリカ
軍と
韓国軍が
16日午前から
5日間の
日程で、
朝鮮半島の
周辺海域で
共同訓練を
開始したと
発表しました。
訓練の
目的については、「
北の
海上での
挑発への
対応と、
米韓連合の
作戦遂行能力の
向上だ」としています。
今回は、アメリカ海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」や、韓国海軍のイージス駆逐艦など艦艇およそ40隻のほか、戦闘機や哨戒機などが参加し、朝鮮半島の東側の海域で、空母を護衛したり、北朝鮮の潜水艦やミサイルに対応したりする訓練が行われる予定です。
また、朝鮮半島の西側の海域では、韓国に上陸しようとする敵の特殊部隊に対する攻撃訓練などが実施されることになっています。
北朝鮮は、米韓両軍が1年前の去年10月に海上で共同訓練を行った際、最終日に、新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」と見られる1発の発射を試みて失敗しています。
ことしの訓練にも反発している北朝鮮が、期間中に、先月15日以来となる弾道ミサイルの発射を強行するなど、軍事挑発に出る可能性があり、米韓両軍は、警戒と監視を強化しながら予定された訓練を進める方針です。
北朝鮮「情勢は極度の緊張局面に」
16日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、16日から始まったアメリカ軍と韓国軍による海上での共同訓練について、「アメリカの原子力空母『ロナルド・レーガン』などを引き入れ、火薬のにおいを漂わせている。われわれに対する軍事的な威嚇であり、朝鮮半島情勢は極度の緊張局面になる」と非難しました。
そのうえで、韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権に対し、「外部勢力と結託して軍事的な挑発に熱を上げれば上げるほど、朝鮮半島から戦争の根源を取り除くというわれわれの意志はさらに固くなる」と反発しています。
そして労働新聞は「警告を無視して軍事的挑発に躍起となり続けるならば、待ち受けているのは破滅だけだ」として、強くけん制しました。
防衛相「警戒監視を継続 しっかり対応」
小野寺防衛大臣は防衛省で記者団に対し、「今回のような共同訓練は、北朝鮮にしっかりとした圧力をかける一つのやり方だ。今までも、北朝鮮は、米韓軍事演習の前後で弾道ミサイルの発射実験を行うなどの挑発行動を繰り返してきた。18日からは中国の共産党大会も行われるが、中国の重要な節目でも核実験を行っている。私どもとしては警戒監視を継続し、しっかり対応していきたい」と述べました。
野上官房副長官は記者会見で、「米韓の間の協力が進むことは地域の平和と安定に資するものであり、わが国として支持する。わが国としては、引き続き、いかなる事態にも対応できるよう、安全保障面を含め、日米および日米韓の協力を進めていく考えだ」と述べました。
そのうえで、野上副長官は「北朝鮮がさらなる挑発行動を行う可能性は否定できない。政府としては、引き続き、強固な日米同盟のもと、高い緊張感を持って高度な警戒監視体制を維持しつつ、国民の安全を守るため最善を尽くしていきたい」と述べました。
さらに、野上副長官は、記者団が「衆議院選挙の期間中だが政府対応に不安はないか」と質問したのに対し、「常々申し上げているが、万全の体制をとっている」と述べました。