夏の
全国高校野球、
準決勝の
第2試合は、
沖縄尚学高校が
山梨学院に
5対4で
勝って、
夏の
甲子園では
初めてと
なる決勝進出を
果たしました。
記事後半では試合の詳しい経過をお伝えしています。
(観客数 3万6000人)
沖縄尚学は1点を追う1回、今大会初めて4番バッターとして起用された宜野座恵夢選手が、2アウト三塁のチャンスでタイムリーヒットを打って、同点に追いつきました。
このあとは3点をリードされますが、6回には、先頭バッターの宜野座選手がツーベースヒットで出塁するなどしてチャンスを作り、前の試合まで4番で起用されていた安谷屋春空選手の2点タイムリーツーベースなどで同点に追いつきました。
沖縄尚学は続く7回にも、2アウトから宜野座選手がスリーベースヒットで出たあと、5番の比嘉大登選手のタイムリーヒットで、勝ち越しました。
6回途中から、2人目で登板した2年生の新垣有絃投手は、丁寧に低めをつくピッチングで山梨学院の打線を抑え、沖縄尚学が5対4で競り勝って、夏の甲子園では初めてとなる決勝進出を果たしました。
山梨学院は、前の試合まで打率8割をマークしていた4番の横山悠選手が1回に先制のタイムリーヒットを打つなどして、中盤まで試合を優位に進めましたが、6回に追いつかれたあとは、打線が相手の新垣投手を打ち崩せませんでした。
《沖縄尚学 試合後談話》
比嘉大登選手「何とか打つことでき よかった」
7回に勝ち越しのタイムリーを打った比嘉大登選手は「打ったあとに『落ちてくれ』と願っていました。打順が3番から5番になって悔しかったので、味方がつないでくれたチャンスを絶対にかえすという強い気持ちでした。ヒットになってうれしかったです。ここまでの試合では2年生のピッチャー陣に助けられてばかりだったので、野手を中心に3年のメンバーが何とか打つことができてよかったと思います。山梨学院は手ごわいチームでしたが、声援も大きくてすごく楽しみながら試合をすることができました。決勝でもチーム一丸となって勝利したいです」と喜びを表現していました。
安谷屋春空選手「エラーを取り返すという気持ちで打席に」
5回にエラーをしたあとで、6回に2点タイムリーツーベースを打った、安谷屋春空選手は「2年生の末吉投手が頑張って投げている中で、3年生がエラーをしてしまい、悔しい気持ちでした。絶対に取り返すという気持ちで打席に入り、結果が出て本当にうれしかったです」とほっとした表情で話していました。前の試合までは4番バッターを任されながら打率1割台と苦しんできたことについて「これまでは迷いがあって状態が上がりませんでしたが、きょうは自信を持って打席に立って、積極的に行こうと思い直しました」と振り返っていました。
そのうえで次の決勝に向けて「これまで2年生に助けてもらってばかりでしたが、決勝では3年生が頑張って全員で勝ちきり、沖縄に優勝旗を持ち帰ります」と力強く話していました。
新垣有絃投手「自分が抑えて いい流れを持ってこようと」
2年生の新垣有絃投手は「ふだんしないようなミスが出て、チームが動揺していましたが、自分がしっかり抑えて、チームにいい流れを持ってこようと思っていました」と淡々した様子で試合を振り返っていました。そのうえで次の決勝に向けて「マウンドを任されたときにはいつもどおりのピッチングを心がけ、全員で優勝したいです」と意気込んでいました。
比嘉公也監督「ミスがあっても勝てたこと いい意味に捉えて」
比嘉公也監督は「本当に多くの声援が選手たちの力を引き出してくれたことに感謝したい。ここまで持ち味の守りで粘り勝ってきたチームだが、きょうは失点のしかたが悪くて苦しい展開になった。それでも">それでも強い精神力で取り返してくれた」と話しました。また、6回途中から登板して、無失点と好投した新垣有絃投手については「ストレートとスライダーを駆使して相手の的を外し、バッテリーがねらったとおりのピッチングができていた」と評価しました。
そのうえで次の決勝に向けて「ミスがあった試合でも勝つことができたということをいい意味で捉えて決勝に臨みたい。バッテリー中心の守り勝つ野球をしたい」と、初めての夏の甲子園優勝を目指して決意を話しました。
《山梨学院 試合後談話》
先発の菰田陽生投手 1回に「ひじに違和感」
先発しながらも、1回を終えてマウンドを降りた菰田陽生投手は「2アウトを取ってから暴投してしまったとき、ひじに違和感を覚えました。チームに迷惑をかけてしまいました」と涙ながらに話していました。そのうえで「このチームで決勝に進みたかったですが、先輩から『来年戻ってきて優勝しろよ』と言ってもらえたので、絶対にこの舞台に戻って借りを返したいです」と強い思いを口にしていました。
横山悠選手「相手がいいピッチャーで 勝ちきれなかった」
4番の横山悠選手は、先制のタイムリーヒットについて「ねらっていた変化球ではありませんでしたが、なんとか食らいついてヒットにすることができました。チームが波に乗れたので、よかったです」と振り返っていました。そのうえで「自分たちの野球を出しきれましたが、相手がいいピッチャーで、勝ちきれなかったのが悔しいです」と目を涙で腫らしながら話していました。
そして「2年生の2人のピッチャーがいなければここまで来れなかったので、本当に感謝しています。来年は日本一を達成してほしいです」と後輩に期待していました。
吉田洸二監督「想定してない展開になったが 最後まで諦めず」
吉田洸二監督は「エースの菰田投手が1回にひじの違和感を訴えたので、急きょ、檜垣投手を登板させることになった。想定していない展開になったが、最後まで諦めずにいい試合ができた」と振り返りました。1点を追加した6回の攻撃について「相手の守備の隙をついて、あと1点は欲しかった。あそこで得点できなかったことで、流れが相手にいってしまった」と話していました。
そのうえで「打ち勝つ野球を目標にして練習を続けてきたので、それを甲子園で体現できたのは、大きな成果になった」と話していました。
==試合経過【詳しく】==
《先発メンバー》
◆先攻:山梨学院
▽1(右)鳴海柚莱
▽2(左)宮川真聖
▽3(三)梅村団
▽4(捕)横山悠
▽5(遊)平野天斗
▽6(二)萬場翔太
▽7(投)菰田陽生
▽8(中)田村颯丈郎
▽9(一)岩城敦仁
◇後攻:沖縄尚学
▽1(中)宮城泰成
▽2(遊)眞喜志拓斗
▽3(一)新垣瑞稀
▽4(捕)宜野座恵夢
▽5(二)比嘉大登
▽6(三)安谷屋春空
▽7(左)阿波根裕
▽8(右)伊波槙人
▽9(投)末吉良丞
【試合開始】
夏の全国高校野球準決勝の第2試合、沖縄尚学と山梨学院の試合が始まりました。先攻は山梨学院、後攻は沖縄尚学です。ともに春のセンバツでは優勝経験があるチームどうしの対戦で、どちらが勝っても夏は初めての決勝進出となります。
【1回表】山梨学院が先制 横山選手の適時打
山梨学院は1番・鳴海選手がフォアボールを選ぶと、2番・宮川選手の打席でワイルドピッチから二塁に進みました。2アウト二塁で4番・横山選手がライトへのタイムリーヒットを打って1点を先制しました。
▽1.鳴海 フォアボール
▽2.宮川 ショートゴロ
▽3.梅村 空振り三振 2アウト二塁
▽4.横山 先制タイムリー
(沖縄尚学 0-1 山梨学院)
▽5.平野 ショートゴロ
【1回ウラ】沖縄尚学 すぐに追いつく 宜野座選手の適時打
沖縄尚学はヒットとバントなどで2アウト三塁として、4番・宜野座選手のタイムリーヒットで同点に追いつきました。
▽1.宮城 ライトフライ
▽2.眞喜志 レフト前へヒット
▽3.新垣瑞稀 送りバント 2アウト二塁
▽4.宜野座 2球目がワイルドピッチになり2アウト三塁
その後、レフトへのタイムリーヒット
(沖縄尚学 1-1 山梨学院)
▽5.比嘉 ショートフライ
【2回表】山梨学院 ランナー2人出すも無得点
山梨学院は2アウトから8番・田村選手が相手の悪送球で塁に出て、9番・岩城選手もフォアボールを選びました。一塁二塁としましたが得点はなりませんでした。
▽6.萬場 ショートフライ
▽7.菰田 サードゴロ
▽8.田村 ショート悪送球
▽9.岩城 フォアボール 2アウト一塁二塁
▽1.鳴海 ピッチャーフライ
【2回ウラ】沖縄尚学 得点圏に進むも無得点
沖縄尚学は阿波根選手のツーベースヒットでチャンスを作りましたが無得点でした。
<山梨学院 投手交代:菰田→檜垣>
▽6.安谷屋 センターフライ
▽7.阿波根 レフトへツーベースヒット 1アウト二塁
▽8.伊波 センターフライ 2アウト二塁
▽9.末吉 セカンドゴロ
【3回表】山梨学院 ランナー二塁も追加点ならず
山梨学院は2番・宮川選手がヒットで出塁し3番・梅村選手の送りバントで1アウト二塁としました。しかし、後続のバッターが打ち取られ勝ち越しとはなりませんでした。
▽2.宮川 レフトへヒット
▽3.梅村 送りバント 1アウト二塁
▽4.横山 センターフライ 2アウト二塁
▽5.平野 セカンドゴロ
【3回ウラ】沖縄尚学 この試合初の三者凡退
▽1.宮城 空振り三振
▽2.眞喜志 空振り三振
▽3.新垣瑞稀 ファーストゴロ
【4回表】山梨学院も三者凡退
▽6.萬場 空振り三振
▽7.菰田 ピッチャーゴロ
▽8.田村 セカンドライナー
【4回ウラ】沖縄尚学 ランナー出すも無得点
▽4.宜野座 セカンドゴロ
▽5.比嘉 フォアボール
▽6.安谷屋 ランナーが盗塁成功 1アウト二塁。その後、空振り三振
▽7.阿波根 ライトフライ
【5回表】山梨学院が2点を勝ち越し 相手エラーで
山梨学院は1番・鳴海選手から2番・宮川選手、3番・梅村選手の3連続ヒットで1アウト満塁としました。続く4番・横山選手の打席で、相手のエラーで2点を勝ち越しました。
▽9.檜垣 空振り三振
▽1.鳴海 センターへヒット
▽2.宮川 ライトへヒット 1アウト一塁二塁
▽3.梅村 ライトへヒット 1アウト満塁
▽4.横山 サードエラー 1アウト一塁二塁
(沖縄尚学 1-3 山梨学院)
▽5.平野 サードゴロ 2アウト二塁三塁
▽6.萬場 サードゴロ
【5回ウラ】沖縄尚学 2安打も得点ならず
沖縄尚学は2本のヒットで2アウト一塁二塁のチャンスを作りましたが得点できませんでした。
▽8.伊波 ライト前ヒット
▽9.末吉 ファーストファウルフライ
▽1.宮城 レフトフライ
▽2.眞喜志 レフト前ヒット 2アウト一塁二塁
▽3.新垣瑞稀 空振り三振
【6回表】山梨学院が1点を追加 相手のミスで
山梨学院は7番・菰田投手がツーベースヒットで出塁し、8番・田村選手の送りバントを相手が悪送球した間に1点を追加しました。
▽7.菰田 ツーベースヒット ノーアウト二塁
▽8.田村 ピッチャー悪送球 ノーアウト二塁
(沖縄尚学 1-4 山梨学院)
▽9.檜垣 送りバント 1アウト三塁
▽1.鳴海 ピッチャーのフィルダースチョイス 1アウト二塁三塁
▽2.宮川 見逃し三振 2アウト二塁三塁
<沖縄尚学 投手交代:末吉→新垣有絃>
▽3.梅村 セカンドゴロ
【6回ウラ】沖縄尚学が3点奪い同点に
沖縄尚学は4番・宜野座選手のツーベース、5番・比嘉選手のヒットで一塁三塁のチャンスを作り、6番・安谷屋選手のタイムリーで2点を奪って1点差としました。さらにランナー二塁の場面で7番・阿波根選手の送りバントの送球をファーストのカバーに入ったセカンドがエラーし、この間にランナーがホームに帰って同点に追いつきました。
▽4.宜野座 レフト線へのツーベースヒット
▽5.比嘉 ライトへヒット ノーアウト一塁三塁
▽6.安谷屋 一塁三塁で左中間へ2点タイムリーツーベース ノーアウト二塁
(沖縄尚学 3-4 山梨学院)
▽7.阿波根 送りバント。
一塁のカバーに入ったセカンドが送球をエラー。その間に同点に。ノーアウト一塁
(沖縄尚学 4-4 山梨学院)
▽8.伊波 送りバント 1アウト二塁
▽9.新垣有絃 セカンドフライ 2アウト二塁
▽1.宮城 ショートライナー
【7回表】山梨学院は三者凡退
▽4.横山 三振
▽5.平野 セカンドゴロ
▽6.萬場 見逃し三振
【7回ウラ】沖縄尚学が勝ち越し この試合初のリード
沖縄尚学は2アウトランナーなしから4番・宜野座選手がスリーベースヒットを打ち、続く5番・比嘉選手が勝ち越しのタイムリーヒットを打ちました。
▽2.眞喜志 ショートゴロ
▽3.新垣瑞稀 ライトフライ
▽4.宜野座 レフトへフェンス直撃のスリーベース 2アウト三塁
▽5.比嘉 ライトへ勝ち越しタイムリー
(沖縄尚学 5-4 山梨学院)
▽6.安谷屋 センターフライ
【8回表】山梨学院 2イニング続けて三者凡退
▽7.菰田 空振り三振
▽8.田村 セカンドゴロ
▽9.檜垣 見逃し三振
【8回ウラ】沖縄尚学も三者凡退
▽7.阿波根 ファーストゴロ
▽8.伊波 セカンドゴロ
▽9.新垣有絃 見逃し三振
【9回表】山梨学院 チャンス作るも無得点 沖縄尚学が決勝へ
山梨学院は2アウトから3番・梅村選手と4番・横山選手がヒットを打ち、2アウト一塁二塁のチャンスを作りましたが、5番・平野選手がキャッチャーフライとなり無得点に終わりました。この結果、沖縄尚学が5対4で勝って決勝進出を決めました。
▽1.鳴海 見逃し三振
▽2.宮川 セカンドフライ
▽3.梅村 ショート内野安打
▽4.横山 レフトへヒット 2アウト一塁二塁
▽5.平野 キャッチャーフライ(試合終了)
決勝は日大三×沖縄尚学に【今大会勝ち上がりも】
《両チームの今大会の戦い》
◇沖縄尚学
【夏】出場11回 優勝0回 準優勝0回 14勝10敗
(春:優勝2回 準優勝0回)▽1回戦:1-0 金足農(秋田)
▽2回戦:3-0 鳴門(徳島)
▽3回戦:5-3 仙台育英(宮城)
▽準々決勝:2-1 東洋大姫路(兵庫)
<打撃成績>
▽チーム打率:.211
▽宜野座恵夢選手が打点4、ヒット5本でいずれもチームトップ
<投手成績>
▽末吉良丞投手
登板数4 投球回27 被安打18 奪三振35 四死球7 防御率1.00
▽新垣有絃投手
登板数2 投球回11 被安打6 奪三振15 四死球7 防御率0.82
◆山梨学院
【夏】出場11回 優勝0回 準優勝0回 5勝10敗
(春:優勝1回 準優勝0回)
▽2回戦:6-2 聖光学院(福島)
▽3回戦:14-0 岡山学芸館(岡山)
▽準々決勝:11-4 京都国際(京都)
<打撃成績>
▽チーム打率:.398
▽打点:菰田陽生投手が6でチームトップ
▽ヒット数:横山悠選手が8本でチームトップ
<投手成績>
▽菰田陽生投手
登板数3 投球回15回2/3 被安打7 奪三振6 四死球3 防御率1.15
▽檜垣瑠輝斗投手
登板数3 投球回11 被安打7 奪三振9 四死球5 防御率2.45
▽山口桔平投手
登板数1 投球回0回1/3 被安打0 奪三振0 四死球0 防御率0.00
試合の見どころ
ともに春のセンバツでは優勝経験があるチームどうしの対戦で、どちらが勝っても夏は初めての決勝進出となります。
いずれも2年生で左投げでエースの末吉良丞投手がここまで400球近くを投げて防御率が1ちょうど。右投げの新垣有絃投手も、180球余りを投げて防御率が0点台と安定しています。
投手陣を支える守備陣も大会を通して、ここまでエラーは1つと堅い守備が光っています。
山梨学院は、2年生でエースの菰田陽生投手が投打で活躍していて投げては、ここまで3試合で先発して、力のあるストレートを軸に防御率が1点台の投球を見せています。打っては打率が5割を超え、打点もチームでトップの「6」と攻守で要となっています。
また、4番の横山悠選手はここまで10打数8安打の打率8割と好調です。
チーム打率が4割近い山梨学院の攻撃を、沖縄尚学が防御率0点台の投手陣を中心にどのように防いでいくかが試合のポイントになりそうです。