FRB議長ぎちょう ジャクソンホール講演こうえん利下りさげにかんする発信はっしん注目ちゅうもく






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N1 Aug 22, 2025 16:08 122
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Journal japonais
アメリカ大統領だいとうりょう金融きんゆう政策せいさくをめぐり対立たいりつしてきたFRB=連邦れんぽう準備じゅんびせいど理事りじかいのパウエル議長ぎちょうがアメリカ西部せいぶのジャクソンホールにっぽん時間じかん22日にじゅうににちよる講演こうえんおこないます。FRBが9くがつ利下りさげにるとの見方みかた金融きんゆう市場しじょうつよまるなかトランプ政権せいけん関税かんぜい措置そち影響えいきょう最新さいしん経済けいざい指標しひょうまえながら今後こんご利下りさげの方針ほうしんについてどのようなメッセージ発信はっしんするかが注目ちゅうもくされています。
FRBのパウエル議長ぎちょうは、アメリカ西部せいぶワイオミングしゅう高原こうげんリゾートとしてられるジャクソンホールでひらかれているシンポジウムで、日本にっぽん時間じかん22日にじゅうににち午後ごご11時じゅういちじから講演こうえんおこないます。
パウエル議長ぎちょうこれまで、トランプ大統領だいとうりょうからかえ利下りさげをもとめられているのにたいし、アメリカ経済けいざい堅調けんちょうなことやトランプ政権せいけんによる関税かんぜい措置そちインフレふたたすすむリスクなどまえ、利下りさげをいそぐことに慎重しんちょうかんがえをしめして対立たいりつしてきました。
一方いっぽう8月はちがつ発表はっぴょうされたアメリカの7月しちがつ雇用こよう統計とうけい農業のうぎょう分野ぶんや以外いがい就業しゅうぎょうしゃすうびが市場しじょう予想そう下回したまわったほか過去かこデータおおきく下方かほう修正しゅうせいされ、金融きんゆう市場しじょうではFRBが来月らいげつ会合かいごう利下りさげにるとの見方みかたつよまっています。
今後こんご金融きんゆう政策せいさく方向ほうこうせいうらなとなってきた歴史れきしあるシンポジウムで、パウエル議長ぎちょう今後こんご利下りさげの方針ほうしん景気けいき見通みとおしについてどのようなメッセージを発信はっしんするかが注目ちゅうもくされています。
ふたり対立たいりつふかまった背景はいけい
アメリカのトランプ大統領だいとうりょうとFRBのパウエル議長ぎちょう対立たいりつふかまった背景はいけいには、トランプ大統領だいとうりょう経済けいざい成長せいちょうさせるための利下りさげをもとめてきたのにたいし、パウエル議長ぎちょう利下りさげをいそぐことに慎重しんちょうだったことがあります。
対立たいりつはパウエル議長ぎちょう任命にんめいされたトランプ政権せいけん1いっきからはじまり、トランプ大統領だいとうりょうはパウエル議長ぎちょうたいして「FRBの対応たいおうおそい」などと、利下りさげをもとめて圧力あつりょくをかけました。
トランプ大統領だいとうりょう2期にきのことし1月いちがつ以降いこうもパウエル議長ぎちょうを“おそすぎるおとこ”とんでかえ利下りさげをもとめましたが、パウエル議長ぎちょうはトランプ政権せいけん関税かんぜい措置そち影響えいきょうでインフレがふたたすすむリスクなどをまえて利下りさげをいそぐことに慎重しんちょうで、両者りょうしゃ対立たいりつ一段いちだんはげしくなりました。
7月しちがつ13日じゅうさんにちにはトランプ大統領だいとうりょう記者きしゃだんたいし「アメリカは地球ちきゅうじょうもっとひく金利きんりであるべきなのに、そうなっていない。かれそれ拒否きょひしているだけだ」と発言はつげんし、「パウエル辞任じにんすればそれはすばらしいことだ。かれ辞任じにんすることをのぞんでいる」とべました。
さらに、7月しちがつ24日にじゅうよっかにはFRBの本部ほんぶ異例いれい訪問ほうもんおこない、パウエル議長ぎちょうまえで「かれには金利きんりげてほしい」とあらためて利下りさげを要求ようきゅうしました。
一方いっぽう、パウエル議長ぎちょう7月しちがつ30日さんじゅうにち記者きしゃ会見かいけんで、トランプ大統領だいとうりょう発言はつげんがFRBの独立どくりつせいおよぼす影響えいきょうについてわれたのにたいし「先進せんしんこく政府せいふ中央ちゅうおう銀行ぎんこう決定けっていとの距離きょりいてきた。もしそのような距離きょりがなかったらたとえば、金利きんり操作そうさして選挙せんきょ影響えいきょうあたえるといったおおきな誘惑ゆうわくしょうじるだろう。それはわたしたちがのぞんでいないことだ」と独立どくりつせい重要じゅうようせい強調きょうちょうしていました。
ジャクソンホールでのシンポジウムとは
このシンポジウムは1982せんきゅうひゃくはちじゅうにねんからアメリカ西部せいぶワイオミングしゅうのロッキー山脈さんみゃく一望いちぼうできる高原こうげんリゾート、ジャクソンホールのホテルひらかれていることから「ジャクソンホール会議かいぎ」ともばれています。
FRBの地区ちく連銀れんぎん1いちつ、カンザスシティ連銀れんぎん主催しゅさいしてアメリカやユーロけん、イギリス、カナダ、日本にっぽんなど主要しゅようくに中央ちゅうおう銀行ぎんこう幹部かんぶ経済けいざい学者がくしゃ著名ちょめいなエコノミストが参加さんかし、雄大ゆうだい自然しぜんなか、リラックスした雰囲気ふんいき世界せかい経済けいざい金融きんゆう政策せいさく課題かだいについて意見いけんわすもので、ことしも21日にじゅういちにちから労働ろうどう市場しじょうなどをおも議題ぎだいとしてひらかれています。
注目ちゅうもくされるようになったのは、過去かこにこの今後こんご金融きんゆう政策せいさく方向ほうこうづける重要じゅうようなメッセージが発信はっしんされたことがなんどもあったためです。
2010年にせんじゅうねん8月はちがつ会合かいごうでは、当時とうじのFRBのバーナンキ議長ぎちょう追加ついか金融きんゆう緩和かんわ示唆しさする発言はつげんをしたほか、2014年にせんじゅうよねん8月はちがつには、ヨーロッパ中央ちゅうおう銀行ぎんこうのドラギ総裁そうさい追加ついか金融きんゆう緩和かんわ示唆しさしました。
FRBのパウエル議長ぎちょうもこの金融きんゆう政策せいさく方向ほうこうせいをたびたび示唆しさしていて、3年さんねんまえには記録きろくてきなインフレをおさむための金融きんゆうめについて「やりげるまでやりつづけなければならない」と利上りあげの継続けいぞく示唆しさしたほか、去年きょねん講演こうえんでは「金融きんゆう政策せいさくについて調整ちょうせいするときた」と発言はつげんし、その翌月よくげつ会合かいごう4年よねんはんぶりの利下りさげにりました。
パウエル議長ぎちょう任期にんき来年らいねん5月ごがつまでで、議長ぎちょうとしてこの講演こうえんするのは今回こんかい最後さいごなる可能かのうせいたかいとみられていることもあって講演こうえん内容ないよう関心かんしんたかまっています。
雇用こよう情勢じょうせい悪化あっかへの懸念けねん
アメリカでは新規しんき採用さいようびがみ、雇用こよう情勢じょうせい悪化あっかすることへの懸念けねんひろがっています。
労働省ろうどうしょう8月はちがつ1日ついたち発表はっぴょうした農業のうぎょう分野ぶんや以外いがい就業しゅうぎょうしゃすうびは、ことし5月ごがつから7月しちがつまでの3か月さんかげつ平均へいきんで、およそ3さんまん5000人ごせんにんにとどまりコロナ2020年にせんにじゅうねんはる以降いこうもっとひく水準すいじゅんとなりました。
背景はいけいにあるとみられているのが、トランプ政権せいけん関税かんぜい措置そち影響えいきょう景気けいき先行さきゆきが不透明ふとうめいになっていることです。
シカゴを拠点きょてんコーヒーチェーンを展開てんかいする企業きぎょうでは、関税かんぜい措置そち影響えいきょう新規しんき採用さいようしぼりました。
エチオピアやコロンビアなどから輸入ゆにゅうするコーヒーまめ仕入しいれコストが15%じゅうごパーセントから20%にじゅっパーセント上昇じょうしょうしたのをはじめ、輸入ゆにゅうしているコーヒーカップやホルダーも仕入しいれコストが値上ねあがりして経営けいえい圧迫あっぱくしています。
てい価格かかくりにしてきただけに値上ねあげはすう程度ていどにとどめる一方いっぽうなつまえおこなっている新規しんき採用さいよう当初とうしょ計画けいかくより5にん程度ていどしぼり、人件じんけん削減さくげんすることでコストの上昇じょうしょうぶん吸収きゅうしゅうしようとしています。
オーナーのニッキー・ブラボーさんは、コストの上昇じょうしょうだけでなく景気けいき先行さきゆきが見通みとおせなくなっていることが新規しんき採用さいようしぼみにつながっているとしていて、「飲食いんしょく業界ぎょうかい気分きぶん雰囲気ふんいき来客らいきゃくすう影響えいきょうする。景気けいき先行さきゆきの不透明ふとうめいさが経営けいえいにとっておおきな懸念けねんになっている」とはなしています。
FRBもとふく議長ぎちょう政治せいじ金融きんゆう政策せいさくへの介入かいにゅうわる結果けっかまねく」
ジャクソンホールのシンポジウムに出席しゅっせきしている、FRBのもとふく議長ぎちょう、アラン・ブラインダー21日にじゅういちにち現地げんちで、NHKのインタビューおうじました。
このなかで、ブラインダーは、初日しょにち夕食ゆうしょくかい雰囲気ふんいきについて、「おおくのひとがFRBの将来しょうらいについて心配しんぱいしていた。トランプ大統領だいとうりょうがFRBを攻撃こうげきつづけているからだ」とべました。
そのうえで、パウエル議長ぎちょうはトランプ大統領だいとうりょう対立たいりつするつもりはないとして、「任期にんきわるまで金融きんゆう政策せいさく指揮しきする職務しょくむまっとうするだろう」との見方みかたしめしました。
アメリカ経済けいざい現状げんじょうについては、「雇用こよう市場しじょう経済けいざい成長せいちょう減速げんそくがみられ、物価ぶっか上昇じょうしょうりつもいくぶんがる傾向けいこうだ。これはあやまった方向ほうこうであり、関税かんぜいによる影響えいきょう徐々じょじょにあらわれてきている」と指摘してきしました。
一方いっぽうで、アメリカ経済けいざいはよくちこたえていて、FRBはいそいでいないとして、来月らいげつ会合かいごうでは利下りさげをおこなうかどうか真剣しんけん議論ぎろんおこなわれるものの、利下りさげが見送みおくられる可能かのうせいもあるとの認識にんしきしめしました。
FRBにたいしてトランプ大統領だいとうりょう圧力あつりょくをかけていることについて、ブラインダーは、「どのくに指導しどうしゃも、ほぼつねに、金利きんりひくくしたいとかんがえる。だからこそ賢明けんめい政治せいじたちは長期ちょうきてきれば、自分じぶんたちやくににとって、金融きんゆう政策せいさく権限けんげん独立どくりつした官僚かんりょうゆだねるほうがよいと理解りかいしていた。政治せいじ金融きんゆう政策せいさくへの介入かいにゅうはインフレをこすなどわる結果けっかまねくことになる」とべ、FRBの独立どくりつせいおびやかされていることにつよ危機ききかんしめしました。





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