日本新聞: 川崎ストーカー被害女性殺害事件神奈川県警対応ミス認める

川崎かわさき市しの20にじゅっ歳さいの女性じょせいが、元もと交際こうさい相手あいてからのストーカー被害ひがいなどを警察けいさつに相談そうだんしていたにもかかわらず殺害さつがいされた事件じけんを受うけて、神奈川かながわ県けん警察けいさつ本部ほんぶは4日よっか、組織そしきとしての対応たいおうにミスがあったと認みとめたうえで、「ストーカー事件じけんなどに対処たいしょする体制たいせいが形骸けいがい化かしていた」とする検証けんしょう結果けっかを公表こうひょうしました。

ことし4月しがつ、川崎かわさき市しの岡崎おかざき彩あや咲さき陽ようさん（20にじゅう）が元もと交際こうさい相手あいての白井しらい秀征ひでゆき被告ひこく（28にじゅうはち）の自宅じたくの床下ゆかしたから遺体いたいで見みつかり、その後ご、白井しらい被告ひこくが去年きょねん12月じゅうにがつに岡崎おかざきさんを殺害さつがいしたとして逮捕たいほ・起訴きそされました。

この事件じけんでは警察けいさつにストーカー被害ひがいなどを相談そうだんしていたのに十分じゅうぶんな対応たいおうがとられなかったと遺族いぞくが訴うったえていて、神奈川かながわ県けん警察けいさつ本部ほんぶは当時とうじの対応たいおうについて検証けんしょうを進すすめ、その結果けっかをまとめた報告ほうこく書しょを4日よっか、公表こうひょうしました。

岡崎おかざきさんは行方ゆくえが分わからなくなった去年きょねん12月じゅうにがつ、9回きゅうかいにわたって「元もと交際こうさい相手あいてが自宅じたく近ちかくをうろついている」などと警察けいさつ署しょに電話でんわをかけていましたが、報告ほうこく書しょでは▽電話でんわを受うけた警察官けいさつかん全員ぜんいんが危険きけん性せい・切迫せっぱく性せいを過小かしょう評価ひょうかしたため、本来ほんらいとるべき組織そしき的てきな初動しょどう対応たいおうが、ほとんど行おこなわれなかったと指摘してきしています。

また、▽行方ゆくえ不明ふめいになって以降いこうも遺族いぞくから捜査そうさの要望ようぼうなどが寄よせられていたのに被害ひがい者しゃに危険きけんが生しょうじているという認識にんしきに至いたらず、犯罪はんざい被害ひがいを視野しやに入いれた捜査そうさの機会きかいを逃のがし続つづけたとしています。

そのうえで▽警察けいさつ署しょだけで、県警けんけい本部ほんぶの指導しどうや助言じょげんを受うけることなく判断はんだんしていたことや、▽県警けんけい本部ほんぶも情報じょうほうの一部いちぶを把握はあくしていたのに積極せっきょく的てきな対応たいおうを行おこなわなかったことで「ストーカー事件じけんなどに対処たいしょするそれぞれの体制たいせいが形骸けいがい化かし、機能きのうしなかった」と結論けつろんづけています。

そして、報告ほうこく書しょでは「相談そうだんを受うけていた女性じょせいが殺害さつがいされるという重大じゅうだいな結果けっかを重おもく受うけ止とめ、不適切ふてきせつな対応たいおうについて深ふかくおわび申し上もうしあげる」と記しるし、組織そしきとしての警察けいさつの対応たいおうにミスがあったことを明確めいかくに認みとめました。
県警けんけい本部ほんぶ長ちょう「組織そしき的てき・構造こうぞう的てきな問題もんだい点てんがあった」
検証けんしょう結果けっかを受うけて、神奈川かながわ県けん警察けいさつ本部ほんぶの和田わだ薫かおる本部ほんぶ長ちょうは4日よっか、会見かいけんを開ひらき、「警察けいさつとして相談そうだんなどを受うけていた女性じょせいが殺害さつがいされるという重大じゅうだいな結果けっかが発生はっせいしたことを重おもく受うけ止とめており、不適切ふてきせつな対応たいおうについて深ふかくおわび申し上もうしあげます。亡なくなられた女性じょせいのご冥福めいふくを心こころからお祈いのりを申し上もうしあげます」と謝罪しゃざいしました。

そのうえで「不適切ふてきせつな対応たいおうを招まねいた背景はいけいには『人身じんしん安全あんぜん関連かんれん事案じあん』の警察けいさつ署しょと県警けんけい本部ほんぶの対処たいしょ体制たいせいがそれぞれにおいて形骸けいがい化かし、組織そしき的てき・構造こうぞう的てきな問題もんだい点てんがあったと考かんがえられる。私わたし自身じしん、本日ほんじつ、警察庁けいさつちょうから口頭こうとう厳重げんじゅう注意ちゅういを受うけた。県警けんけい察さっの最高さいこう責任せきにん者しゃとして県民けんみんの皆様みなさまの信頼しんらいを損そこねるものであり責任せきにんを痛感つうかんし、改あらためておわび申し上もうしあげます。今回こんかいの検証けんしょうで明あきらかになった問題もんだい点てんを職員しょくいん一人ひとりひとりが深ふかく胸むねに刻きざみ、再発さいはつ防止ぼうしに取とり組くんでいく」と述のべました。

会見かいけんの中なかで和田わだ本部ほんぶ長ちょうは、ストーカー事案じあんとして認知にんちして本来ほんらいとるべき組織そしき的てきな初動しょどう対応たいおうが行おこなわれていれば、警告けいこくや禁止きんし命令めいれいの措置そちや被害ひがい者しゃの安全あんぜんを確保かくほする措置そちを講こうじることができた可能かのう性せいがあったとする一方いっぽうで、「警察けいさつの不適切ふてきせつな対応たいおうと被害ひがい者しゃが亡なくなったことへの因果いんが関係かんけいについては、一概いちがいに申し上もうしあげることは困難こんなんである」とも述のべました。

また、3日みっか、被害ひがい者しゃの父親ちちおやに面会めんかいし、直接ちょくせつ謝罪しゃざいしたことも明あきらかにしました。

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