「24時間じかんやめたら売り上うりあげ減げん」本部ほんぶが説得せっとく オーナー悲痛ひつうな訴うったえ

先月せんげつ下旬げじゅん、営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうする「セブン‐イレブン」の123の加盟かめい店てんの実名じつめいなどが書かかれた内部ないぶ文書ぶんしょがＮＨＫえぬえいちけいに届とどきました。

文書ぶんしょには営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくを希望きぼうする理由りゆうも書かかれ、

▽「店長てんちょうが週しゅう７なな回かい深夜しんや勤務きんむで労基署ろうきしょから指導しどうを受うけている状況じょうきょうだが、従業じゅうぎょう員いんの採用さいようが全まったく進すすまない」、

▽「慢性まんせい的てきな人手ひとで不足ふそくで体力たいりょくの限界げんかい、命いのちに関かかわる」、

▽「利益りえき優先ゆうせんではなく人ひととしての生活せいかつ、人権じんけんが優先ゆうせんのはず」、などと深刻しんこくな人手ひとで不足ふそくの実態じったいが記しるされています。

ＮＨＫえぬえいちけいが先月せんげつから今月こんげつにかけて、文書ぶんしょに記載きさいされていた123の加盟かめい店てんすべてに連絡れんらくしたところ、37店てんのオーナーが取材しゅざいに応おうじ、このうち９きゅう店てんが「営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうしたが現時点げんじてんで会社かいしゃから連絡れんらくがない」と回答かいとうし、７なな店てんは「本部ほんぶの社員しゃいんから『売り上うりあげが減へる』などと言いわれ24時間じかん営業えいぎょうを続つづけるよう説得せっとくされた」と答こたえました。

中なかには、営業えいぎょう時間じかん短縮たんしゅく実験じっけんに参加さんかする条件じょうけんとして守秘しゅひ義務ぎむが課かせられていることに納得なっとくできず、東大阪ひがしおおさか市しの加盟かめい店てんに続つづいて先月せんげつから独自どくじの判断はんだんで営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくに踏み切ふみきった店みせもありました。

また「会社かいしゃが行おこなっている時短じたん実験じっけんなどの対応たいおう策さくだけでは問題もんだいは解決かいけつしない」という不満ふまんの声こえも多おおく聞きかれました。

「セブン‐イレブン・ジャパン」によりますと、営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく実験じっけんは26日にち現在げんざい、40の加盟かめい店てんで行おこなわれていて、このほか200店舗てんぽ余あまりが実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうしているということです。

ＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいしセブン‐イレブン・ジャパンは、短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうする店みせには今後こんごすべて参加さんかを認みとめるとし、「時短じたん営業えいぎょうを行おこなえば売り上うりあげが減へるため、契約けいやく期間きかんを通をつうじて安定あんていした経営けいえいを行おこなってもらうことを前提ぜんていに経営けいえいのアドバイスをしている。実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうするオーナーの参加さんかを認みとめないということはなく、アドバイスの前提ぜんていもなしに実験じっけんへの参加さんかを拒こばむことはない」としています。

オーナー悲痛ひつうな訴うったえ 24時間じかん営業えいぎょうの重圧じゅうあつ

ＮＨＫえぬえいちけいに届とどいた内部ないぶ文書ぶんしょは、営業えいぎょう時間じかんを短縮たんしゅくする実証じっしょう実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうしている「セブン‐イレブン」のフランチャイズ加盟かめい店てんをまとめたリストです。

セブン‐イレブン・ジャパンによりますと、本部ほんぶの社員しゃいんが通常つうじょうの業務ぎょうむの一環いっかんとして加盟かめい店てんを訪問ほうもんした際さいに聞き取ききとった内容ないようをまとめたものだということで、全国ぜんこく123の加盟かめい店てんの実名じつめいや営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅくを希望きぼうする理由りゆうなどが記しるされています。

その理由りゆうについて、全体ぜんたいの８はち割わりに当にあたる101店てんが人手ひとで不足ふそくを挙あげ、24時間じかん営業えいぎょうがオーナーや店長てんちょうに重おもい負担ふたんとなっている実態じったいが記しるされています。

▽「人手ひとで不足ふそくのため、深夜しんや時間じかんは、オーナーと奥おくさんで埋うめている。疲労ひろうがたまっており、この状態じょうたいが続つづく事ことでうつ状態じょうたいになる可能かのう性せいがある」（静岡しずおか）、

▽「深夜しんやの人員じんいん不足ふそく。オーナーさん、店長てんちょうさんともに車くるまで寝泊ねとまりすることが多おおい」（千葉ちば）、

▽「店長てんちょうが週しゅう７なな回かいの深夜しんや勤務きんむとなっており、労基署ろうきしょから指導しどうを受うけている状況じょうきょうであるが、従業じゅうぎょう員いんの採用さいようが全まったく進すすまない状況じょうきょう」（大阪おおさか）、

▽「オーナー夫妻ふさいで深夜しんや業務ぎょうむを回まわしている。ことしに入はいり過労かろうでオーナーさんが倒たおれた」（福岡ふくおか）、

▽「慢性まんせい的てきな人手ひとで不足ふそくで体力たいりょくの限界げんかい、命いのちに関かかわる」（大阪おおさか）。

また、２に割わりの店みせは深夜しんや営業えいぎょうが収益しゅうえきを圧迫あっぱくしていることを理由りゆうに挙あげています。「極度きょくどの人手ひとで不足ふそくで時給じきゅうを周辺しゅうへん相場そうばより上あげている。深夜しんやで収益しゅうえきが出でているのか疑問ぎもんだ」（静岡しずおか）「深夜しんや帯たいの売上うりあげに対にたいし、人件じんけん費ひが見み合あわない」（北海道ほっかいどう）「夜間やかん売上うりあげが低ひくく、24時間じかんは厳きびしい」（東京とうきょう）「競合きょうごう出店しゅってんによる売上うりあげの急激きゅうげきな悪化あっかにより、夜よるを閉しめたほうが利益りえき効率こうりつがよくなる」（大阪おおさか）

こうした状況じょうきょうを踏ふまえて、会社かいしゃ側がわに抜本ばっぽん的てきな対応たいおうを求もとめる声こえも記しるされています。

▽「お客様おきゃくさまも24時間じかん営業えいぎょうは必要ひつようないと言いっている。時代じだいの変化へんかに合あわせてルールを変かえるべき」（大阪おおさか）、

▽「利益りえき優先ゆうせんではなく、人ひととしての生活せいかつ、人権じんけんが最さい優先ゆうせんのはず」（大阪おおさか）。

加盟かめい店てん「短縮たんしゅく実験じっけんはジェスチャー」

文書ぶんしょに記載きさいされていた加盟かめい店てんの中なかには、営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうしているのになかなか認みとめられないと訴うったえるところもあります。

関西かんさい地方ちほうにある加盟かめい店てんは、深刻しんこくな人手ひとで不足ふそくでオーナー夫婦ふうふが開店かいてん以来いらい10年ねん以上いじょう休やすみがない状態じょうたいだということで、立地りっち上じょうも深夜しんやの売り上うりあげがほとんど見込みこめないことから、ことし４月しがつに短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかを希望きぼうしました。

しかし２にか月かげつ以上いじょうたった今たったいまも実験じっけんへの参加さんかが認みとめられていないということです。

オーナーの男性だんせいは「本部ほんぶの社員しゃいんから『深夜しんやに店みせを閉しめてもこれまでどおり夜中やちゅうにしか商品しょうひんの搬入はんにゅうはできませんよ』と何なん度ども言いわれ、暗あんに『24時間じかん営業えいぎょうをやめるな』と言いわれているようにしか思おもえませんでした」と話はなしています。

「セブン‐イレブン」の本部ほんぶと加盟かめい店てんの契約けいやくでは売り上うりあげが増ふえるほど本部ほんぶが加盟かめい店てんから受け取うけとるロイヤリティーが増ふえる一方いっぽう、人件じんけん費ひの高騰こうとうによる負担ふたん分ぶんは加盟かめい店てん側がわが負おう仕組しくみになっています。

オーナーの男性だんせいは「本部ほんぶとしては24時間じかん営業えいぎょうを続つづけたほうが利益りえきが上あがるが、加盟かめい店てんは売り上うりあげが少すくないのに深夜しんやに店みせを開あければ人件じんけん費ひがかかり利益りえきが減へる。時短じたん実験じっけんも世間せけんに対にたいするジェスチャーで、世間せけんがこの問題もんだいを忘わすれていくのを待まっているようにしか思おもえません」と話はなしていました。

独自どくじに時短じたん営業えいぎょうする加盟かめい店てんも

文書ぶんしょに記載きさいされていた加盟かめい店てんの中なかには、独自どくじの判断はんだんで先月せんげつから24時間じかん営業えいぎょうをやめたところもあります。

仙台せんだい市しの加盟かめい店てんでは２に年ねんほど前まえから人手ひとで不足ふそくが深刻しんこくになり、オーナーが週しゅう７なな日にち、毎日まいにちおよそ17時間じかん、店頭てんとうで働はたらく日々ひびが続つづいていたということです。

東大阪ひがしおおさか市しの加盟かめい店てんのオーナーが24時間じかん営業えいぎょうをやめた問題もんだいがきっかけとなり、ことし３月さんがつ、深夜しんや営業えいぎょうをやめたいという希望きぼうを本部ほんぶの担当たんとう社員しゃいんに伝つたえたということですが、社員しゃいんからは「時短じたん営業えいぎょうすると間違まちがいなく売り上うりあげが下さがる。オーナーの生活せいかつを守まもるためにも24時間じかん営業えいぎょうを続つづけたほうがいい」などと説得せっとくされたということです。

その後そのご、本部ほんぶから営業えいぎょう時間じかんの短縮たんしゅく実験じっけんへの参加さんかが認みとめられたということですが、その際さいの契約けいやく書しょには「契約けいやくの締結ていけつに至いたる経緯けいいや内容ないようは一切いっさい漏もらさないようにする」と書かかれていたということです。

オーナーは「実験じっけんの結果けっかは周囲しゅういの加盟かめい店てんなどにも正まさしく伝つたえることが必要ひつようだ」と考かんがえていたため守秘しゅひ義務ぎむに納得なっとくできず、東大阪ひがしおおさか市しの加盟かめい店てんに続つづいて先月せんげつ１いち日にちから独自どくじの判断はんだんで24時間じかん営業えいぎょうをやめたということです。

オーナーの豊ゆたか木き茂しげるさんは「以前いぜんから24時間じかん営業えいぎょうをやめたいと言いっていたが、東大阪ひがしおおさかの問題もんだいが起おきるまで到底とうていかなうことはなかった。深夜しんやの客きゃくが少すくない店みせもあるのに、少すこしでも売り上うりあげを増ふやすために24時間じかん店てんを回まわし続つづけることは今いまの社会しゃかいであってはならないシステムだと思おもう。実証じっしょう実験じっけんの結果けっかも周囲しゅういに正まさしく伝つたえなければ何なにのためにやるのか分わからず、一いち人にん一いち人にんが声こえを上あげないと何なにも変かわらないと思おもう」と話はなしていました。

専門せんもん家か「ビジネスモデルが限界げんかいに」

小売こうり業界ぎょうかいに詳くわしい日本にっぽん経済けいざい大学だいがくの西村にしむら尚しょう純じゅん教授きょうじゅは「コンビニ本部ほんぶとフランチャイズ加盟かめい店てんの契約けいやくでは、24時間じかん営業えいぎょうで売り上うりあげが増ふえるほど本部ほんぶが受け取うけとるロイヤリティーが増ふえる仕組しくみになっている。本部ほんぶの本音ほんねとしては24時間じかん営業えいぎょうを続つづけたいのではないか」と指摘してきしています。

そして「コンビニ業界ぎょうかいはこれまで、24時間じかん営業えいぎょう、大量たいりょう出店しゅってん、ドミナント戦略せんりゃくといったビジネスモデルで40年間ねんかん成長せいちょうを続つづけてきた。しかし人口じんこう減少げんしょうによる人手ひとで不足ふそくでアルバイトが雇やとえず、働はたらき方かた改革かいかくも浸透しんとうして深夜しんやのお客おきゃくさんも減へっている。社会しゃかいの環境かんきょうが大おおきく変かわり、これまでのビジネスモデルが限界げんかいを迎むかえている」と指摘してきしています。

また「セルフレジや、スマートフォン決済けっさいなどの省力しょうりょく化かを進すすめ、加盟かめい店てんを手厚てあつく保護ほごし、深夜しんや時間じかん帯たいの人件じんけん費ひを抑おさえることが必要ひつようだ。コンビニ大手おおては本気ほんきでいま改革かいかくしないと、加盟かめい店てんはさらに苦くるしい状況じょうきょうに追い込おいこまれてしまう。３さん年ねんから４よん年ねんの間まに新あたらしいビジネスモデルを構築こうちくしなければならない」と話はなしています。