Actualités japonaises: 大川原化工機えん罪事件都と国上告せず謝罪検証へ

横浜よこはま市しの「大川原おおかわら化工かこう機き」をめぐるえん罪えんざい事件じけんで、警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶと検察けんさつの捜査そうさの違法いほう性せいを認みとめ、賠償ばいしょうを命めいじた東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの判決はんけつについて、都とと国くには11日にち、上告じょうこくしないことを明あきらかにし、当事とうじ者しゃなどに謝罪しゃざいするコメントを出だしました。

それぞれ当時とうじの捜査そうさについて検証けんしょうすることにしていて今後こんご、適切てきせつな捜査そうさの徹底てっていにつなげられるかが焦点しょうてんとなります。

軍事ぐんじ転用てんようが可能かのうな機械きかいを不正ふせいに輸出ゆしゅつした疑うたがいで逮捕たいほ、起訴きそされ、後ごに無実むじつが判明はんめいした横浜よこはま市しの化学かがく機械きかいメーカー「大川原おおかわら化工かこう機き」の社長しゃちょうなどが都とと国くにを訴うったえた裁判さいばんで、2審しんの東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは5月つき、1審しんに続つづいて警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶと東京とうきょう地検ちけんの捜査そうさの違法いほう性せいを認みとめるとともに「輸出ゆしゅつ規制きせいの要件ようけんについての警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの解釈かいしゃくは国際こくさい的てきな合意ごういと異ことなり、合理ごうり性せいを欠かいていた」などと指摘してきし、都とと国くににあわせて1億おく6600万まん円えんあまりの賠償ばいしょうを命めいじました。

判決はんけつについて、都と側がわの警視庁けいしちょうと国くに側がわの東京とうきょう地検ちけんは内容ないようを精査せいさした結果けっか、11日にち、それぞれ最高さいこう裁判所さいばんしょに上告じょうこくしないことを明あきらかにし、会社かいしゃや関係かんけい者しゃに謝罪しゃざいするコメントを発表はっぴょうしました。

このなかで、警視庁けいしちょうは「捜査そうさによって原告げんこくをはじめとする当事者とうじしゃに多大ただいなご心労しんろう、ご負担ふたんをおかけしたことについて、深ふかくおわびを申し上もうしあげたい」としたうえで、一連いちれんの捜査そうさの問題もんだい点てんを洗い出あらいだし、再発さいはつ防止ぼうし策さくをとりまとめるため、副ふく総監そうかんをトップとする「検証けんしょうチーム」を立たち上あげたことを明あきらかにしました。

捜査そうさ上じょうの問題もんだい点てんや再発さいはつ防止ぼうし策さくを検証けんしょうした上うえで、できるだけ早はやい時期じきに結果けっかを公表こうひょうする方針ほうしんを示しめしました。

関係かんけい者しゃの処分しょぶんについては、検証けんしょう結果けっかを踏ふまえて判断はんだんすると説明せつめいしました。

警視庁けいしちょう公安こうあん部長ぶちょう「捜査そうさ指揮しきや適正てきせい捜査そうさが不ふ徹底てってい」

警視庁けいしちょうでは11日にち午後ごご3時じから警務けいむ部ぶや公安こうあん部ぶの幹部かんぶが出席しゅっせきし、上告じょうこくしないことに関にかんする説明せつめいを行おこないました。

当事者とうじしゃへの直接ちょくせつの謝罪しゃざいについては中島なかじま寛ひろし公安こうあん部長ぶちょうが「先方せんぽうの希望きぼう、ご都合つごうがあるので、丁寧ていねいに確認かくにんしながら進すすめていきたい」と述のべた上うえで検証けんしょう結果けっかを待またず、できるだけ早はやい時期じきに実施じっししたいとする考かんがえを示しめしました。

警視庁けいしちょうは副ふく総監そうかんをトップに検証けんしょうチームを立たち上あげて捜査そうさ上じょうの問題もんだい点てんを検証けんしょうし、再発さいはつ防止ぼうし策さくをとりまとめた上うえで、できるだけ早はやい時期じきに結果けっかを公表こうひょうする方針ほうしんも明あきらかにしました。

検証けんしょうには監察かんさつ部門ぶもんも参加さんかし、公安こうあん委員いいん会かいの助言じょげんを受うけることで公平こうへい性せいを担保たんぽするとしました。

中島なかじま公安こうあん部長ぶちょうは「現げん段階だんかいでの反省はんせい点てん」について記者きしゃから問とわれると、「少すくなくとも捜査そうさ指揮しきや緻密ちみつかつ適正てきせいな捜査そうさが不ふ徹底てっていだったことは間違まちがいない」と述のべて、今後こんごの検証けんしょうの過程かていで課題かだいを洗い出あらいだしていく考かんがえを示しめしました。

小池こいけ知事ちじ「事件じけんの検証けんしょうと関係かんけい者しゃへの謝罪しゃざいを」

東京とうきょう都との小池こいけ知事ちじは、「警視庁けいしちょうにおいて今回こんかいの事件じけんを検証けんしょうして再発さいはつ防止ぼうしを図はかるとともに、関係かんけい者しゃへの謝罪しゃざいをしっかり行いってほしい」と述のべました。

東京とうきょう地検ちけん「関係かんけい者しゃの皆様みなさまにおわび申し上もうしあげたい」

東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうは「第だい1審しんに続つづき控訴こうそ審しんにおいても、検察官けんさつかんの勾留こうりゅう請求せいきゅうと公訴こうそ提起ていきが違法いほうと判断はんだんされたことについて真摯しんしに受け止うけとめている。

東京とうきょう地検ちけんとして大川原おおかわら化工かこう機きおよびその関係かんけい者しゃの皆様みなさまに多大ただいなご負担ふたんをおかけしたことについて、おわび申し上もうしあげたい」とするコメントを発表はっぴょうしました。

その上うえで「本件ほんけんについては、今後こんご、最高さいこう検察庁けんさつちょうにおいて検証けんしょうが行おこなわれる予定よていであり、東京とうきょう地検ちけんとしても十分じゅうぶんな協力きょうりょくをしてまいりたい」として当時とうじの捜査そうさについて最さい高検こうけんで検証けんしょうする方針ほうしんを明あきらかにしました。

これで、捜査そうさの違法いほう性せいを認定にんていした判決はんけつが確定かくていすることになり、今後こんごの検証けんしょうで当時とうじの捜査そうさの問題もんだい点てんを明あきらかにし、適切てきせつな捜査そうさの徹底てっていにつなげられるかが焦点しょうてんとなります。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん「検証けんしょう結果けっか踏ふまえて必要ひつような対応たいおうを」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「関係かんけい当局とうきょくにおいて対応たいおうを検討けんとうした結果けっか、上訴じょうそしないこととし、原告げんこくをはじめとする当事とうじ者しゃに対にたいするおわびを表明ひょうめいするとともに、問題もんだい点てんの検証けんしょうを行おこなう旨むねのコメントを発表はっぴょうした。

まずは関係かんけい当局とうきょくにおいて所要しょようの検証けんしょうが行おこなわれるものと承知しょうちしており、その結果けっかを踏ふまえて必要ひつような対応たいおうが行おこなわれることが重要じゅうようだ」と述のべました。

専門せんもん家か「勇気ゆうきを持もって引き返ひきかえすことを評価ひょうかする仕組しくみを」

警視庁けいしちょうと東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうが上告じょうこくせず、捜査そうさを検証けんしょうする姿勢しせいを示しめしたことについて、元もと刑事けいじ裁判官さいばんかんで法政ほうせい大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいんの水野みずの智幸ともゆき教授きょうじゅは、「どこで間違まちがい、どこで引き返ひきかえすことができたのか、早期そうきに明あきらかにすべきだ」と指摘してきしました。

水野みずの教授きょうじゅは警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの捜査そうさについて「そもそも事件じけんがなかったということが大おおきい。

輸出ゆしゅつ規制きせいに関にかんするルールがはっきりしていなかったところ、立件りっけんする側がわに都合つごうのいいように解釈かいしゃくしたところがある。機械きかいの温度おんどが上あがりにくい場所ばしょがあったという指摘してきを聞き入ききいれずに突き進つきすすんだことも、非常ひじょうに疑問ぎもんだ」と指摘してきしました。

検察けんさつについても、「警察けいさつが行いきすぎたときにチェックして止とめることも、検察けんさつの大事だいじな仕事しごとだ。

警察けいさつから相談そうだんを受うけた段階だんかいで、自分じぶんたちで調しらべていれば早期そうきに無理むりだと判断はんだんできた」として、反省はんせいすべき点てんがあるとしました。また検証けんしょうのあり方ありかたについては、「プライバシーの問題もんだいなどが関かかわらない部分ぶぶんで、外部がいぶの第三者だいさんしゃも入はいった上うえで検証けんしょうすることが大事だいじだ」と述のべました。

そして捜査そうさ機関きかんのあり方ありかたについて「有罪ゆうざい方向ほうこうに動うごくことが仕事しごとで、それが評価ひょうかされる組織そしきだが、今回こんかい、途中とちゅうでおかしいと気付きづいた人ひともいたと思おもう。

今回こんかいの事件じけんを教訓きょうくんに、勇気ゆうきを持もって引き返ひきかえすことを評価ひょうかする仕組しくみをつくってほしい」と話はなしていました。

また、逮捕たいほした3人にんの長期ちょうき間かんの勾留こうりゅうを裁判所さいばんしょが認みとめ、そのうちの1人にんががんで亡なくなったことを挙あげ、「裁判所さいばんしょもこうした事件じけんの身柄みがら拘束こうそくのあり方ありかたについて、拘束こうそくしない方向ほうこうで刑事けいじ裁判さいばんを進すすめるやり方やりかたができないのか、真剣しんけんに考かんがえなくてはいけない」と話はなしていました。

捜査そうさの何なにが違法いほうとされたのか

東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの判決はんけつでは、警察けいさつと検察けんさつのどのような捜査そうさを違法いほうと判断はんだんしたのでしょうか。

警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの逮捕たいほ「根拠こんきょ欠かけていた」

高裁こうさいは、警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶが大だい川原かわら化工かこう機きの機械きかいを輸出ゆしゅつ規制きせいの対象たいしょうと判断はんだんして社長しゃちょうなど3人にんを逮捕たいほしたことについて、「通常つうじょう要求ようきゅうされる追加ついかの捜査そうさを行おこなわず逮捕たいほした判断はんだんは、合理ごうり的てきな根拠こんきょが欠かけていた。

犯罪はんざいの疑うたがいがあるかどうかの判断はんだんに基本きほん的てきな問題もんだいがあった」と厳きびしく指摘してきし、違法いほうな捜査そうさだと認定にんていしました。

そもそも、機械きかいが輸出ゆしゅつ規制きせいに当あたるかどうかの要件ようけんについて高裁こうさいは、「警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの解釈かいしゃくは国際こくさい的てきな合意ごういと異ことなり、合理ごうり性せいを欠かいていた。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうの担当たんとう部署ぶしょから問題もんだい点てんを指摘してきされたのに再考さいこうすることなく、逮捕たいほに踏み切ふみきった」としました。

また、メーカー側がわが、「機械きかいに温度おんどが上あがらない場所ばしょがある」として規制きせい対象たいしょうにならないと主張しゅちょうしていたのに、その主張しゅちょうを確たしかめる実験じっけんをしなかったことを、違法いほうとした理由りゆうにしました。

警察けいさつの取り調とりしらべ「欺あざむくような方法ほうほうで調書ちょうしょに署名しょめいさせた」

逮捕たいほされた3人にんのうちの1人にん、元もと取締役とりしまりやくの島田しまだ順じゅん司つかささんに対にたいする警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの取り調とりしらべについても、違法いほうな捜査そうさと認定にんていしました。

逮捕たいほ前まえの取り調とりしらべでは公安こうあん部ぶの警察官けいさつかんが輸出ゆしゅつ規制きせいの要件ようけんの解釈かいしゃくについて、島田しまださんに誤解ごかいさせたまま取り調とりしらべを続つづけたと指摘してきしました。

その上うえで「重要じゅうような弁解べんかいを封ふうじて調書ちょうしょに記載きさいせず、犯罪はんざい事実じじつを認みとめるかのような供述きょうじゅつに誘導ゆうどうした」と違法いほう性せいを認定にんていしました。

また、逮捕たいほ後ごの取り調とりしらべでも公安こうあん部ぶの警察官けいさつかんが島田しまださんの指摘してきに沿そって調書ちょうしょを修正しゅうせいしたよう装よそおいながら、実際じっさいには別べつの調書ちょうしょを見みせて署名しょめいさせたと認定にんていしました。

これについて、「欺あざむくような方法ほうほうで捜査そうさ機関きかんの見立みたてに沿そった調書ちょうしょに署名しょめいさせたもので、島田しまださんの自由じゆうな意思いし決定けっていを阻害そがいした」と厳きびしく指摘してきしました。

検察けんさつの起訴きそ追加ついか捜査そうさの不備ふびを指摘してき

東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうが社長しゃちょうら3人にんを起訴きそしたことについても違法いほうだと判断はんだんしました。

大川原おおかわら化工かこう機きの幹部かんぶなどが、「機械きかいに温度おんどが上あがりにくい部分ぶぶんがあり、規制きせいの対象たいしょうではない」と説明せつめいしていることについて、検察けんさつも報告ほうこくを受うけていたとし、メーカー側がわの主張しゅちょうについて実験じっけんなどで確認かくにんすべきだったと指摘してきしました。

そのうえで、「通常つうじょう要求ようきゅうされる捜査そうさをしていれば、規制きせい対象たいしょうに当あたらないことの証拠しょうこを得えることができた。

検察けんさつの判断はんだんは合理ごうり的てきな根拠こんきょを欠かいていた」としました。

また、輸出ゆしゅつ規制きせいの要件ようけんについても、「警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの解釈かいしゃくを維持いじすることには疑念ぎねんが残のこる状況じょうきょうだった。

起訴きそするかどうか、慎重しんちょうに判断はんだんするのが適切てきせつだった」と指摘してきしました。

警視庁けいしちょう内部ないぶの受け止うけとめは

起訴きそ取り消とりけし後ごの民事みんじ裁判さいばんで、国くにや都とは「違法いほうな捜査そうさはなかった」という主張しゅちょうを続つづけてきました。

しかしその一方いっぽうで、警視庁けいしちょうの内部ないぶでは当初とうしょから公安こうあん部ぶが進すすめた情報じょうほうや証拠しょうこ収集しゅうしゅうのあり方ありかたについて批判ひはん的てきな見方みかたが存在そんざいし、公安こうあん部ぶの中なかからも筋書すじがきと異ことなる方向ほうこう性せいの証拠しょうこに対にたいする評価ひょうかが不十分ふじゅうぶんで捜査そうさの軌道きどう修正しゅうせいができなかったことなどを落ち度おちどととらえ、教訓きょうくんにしなければならないという意見いけんが聞きかれました。

5月つき28日にちの東京とうきょう高裁こうさいの判決はんけつについて警察けいさつ幹部かんぶの受け止うけとめを取材しゅざいすると「端的たんてきに断罪だんざいされ、非常ひじょうに厳きびしい内容ないようだ」という声こえがあった一方いっぽう、「判決はんけつを受け入うけいれ検証けんしょうを進すすめるべきだ」という意見いけんが多おおくを占しめていました。

こうした中なか、警視庁けいしちょうは提出ていしゅつした証拠しょうこに対にたいする裁判所さいばんしょの評価ひょうかや、今後こんごの捜査そうさへの影響えいきょうなどを慎重しんちょうに検討けんとうし、上告じょうこくするだけの理由りゆうは見当みあたらないとして検察けんさつ側がわとも意見いけんをすりあわせた上うえ、上告じょうこくしないことを決きめたとみられます。

警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの歴史れきしと組織そしき

警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶは全国ぜんこくで唯一ゆいいつ、都道とどう府県ふけんの警察けいさつ本部ほんぶに独立どくりつの部署ぶしょとして設置せっちされた国内こくない最大さいだいの公安こうあん警察けいさつの組織そしきです。

1957年ねん、前身ぜんしんの「警備けいび2部ぶ」から『公安こうあん部ぶ』に改称かいしょうされました。

昭和しょうわの時代じだいには過激かげき派はの学生がくせいら数すう千せん人にんが暴動ぼうどうを起おこして21歳さいの警察官けいさつかんが殺害さつがいされた1971年ねんの「渋谷しぶや暴動ぼうどう事件じけん」や武装ぶそうした過激かげき派はのメンバーが長野ながの県けんの山荘さんそうに人質ひとじちをとって立たてこもり警察けいさつと10日間にちかんにわたる銃撃じゅうげき戦せんとなって多数たすうの死傷ししょう者しゃを出だした1972年ねんの「あさま山荘さんそう事件じけん」、平成へいせい以降いこうでは、オウム真理教おうむしんりきょうによる「地下鉄ちかてつサリン事件じけん」や1995年ねん、当時とうじの警察庁けいさつちょうの國くに松まつ孝次たかつぐ長官ちょうかんが銃撃じゅうげきされ重傷じゅうしょうを負おった「長官ちょうかん狙撃そげき事件じけん」などの捜査そうさにもあたりました。

警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶには、中核ちゅうかく派はや革マル派かくまるはなどの過激かげき派はや右翼うよく、特定とくていの組織そしきに属ぞくさず過か激化げきかしたいわゆる「ローン・オフェンダー」の情報じょうほう収集しゅうしゅうや捜査そうさなどを受け持うけもつ『国内こくない公安こうあん』と国際こくさいテロ組織そしき、機密きみつ情報じょうほう先端せんたん技術ぎじゅつを狙ねらった他国たこくによるスパイ活動かつどう、北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち事件じけんの捜査そうさなどを行おこなう『外事がいじ』の2つの柱はしらがあります。

大川原おおかわら化工かこう機きの捜査そうさを行おこなったのは、外事がいじ1課かのうち不正ふせい輸出ゆしゅつの事件じけんを扱あつかう「5係がかり」でしたが、経済けいざい安全あんぜん保障ほしょうの対策たいさくを進すすめる観点かんてんから今年度こんねんど、体制たいせいが強化きょうかされています。

警視庁けいしちょう公安こうあん部ぶの捜査そうさ員いんの数かずは公表こうひょうされていませんが、重要じゅうようインフラを狙ねらったサイバー攻撃こうげきなどに対処たいしょする人員じんいんも含ふくめ1000人にんを超こえるとされています。

独自どくじの捜査そうさ手法しゅほう組織そしきの壁かべも

刑事けいじ部ぶなどの捜査そうさが犯罪はんざいをした人ひとの検挙けんきょや組織そしきの摘発てきはつを目指めざすものであるのに対にたいし、公安こうあん部ぶの捜査そうさは組織そしきの動向どうこうを把握はあくすることによる事件じけんやテロの未然みぜん防止ぼうし、国益こくえきの確保かくほなどに主眼しゅがんが置おかれているといいます。

活動かつどうのほとんどが水面すいめん下かで行おこなわれ、捜査そうさ対象たいしょうの組織そしきや関係かんけい先さきに「エス」などと呼よばれる協力きょうりょく者しゃを獲得かくとくして動向どうこうを把握はあくするなど公安こうあん捜査そうさ員いんには情報じょうほう収集しゅうしゅうのエキスパートとしての力量りきりょうが求もとめられる一方いっぽう、刑事けいじ部ぶなどと比くらべて事件じけん捜査そうさを通をつうじて経験けいけんを積つめる機会きかいが少すくないとも言いわれます。

他たセクションとの人事じんじ的てきな交まじわりも少すくなく、過去かこには同おなじ事件じけんの捜査そうさにあたる刑事けいじ部ぶとの壁かべや確執かくしつが指摘してきされたこともありました。

警視庁けいしちょう反省はんせい踏ふまえた取り組とりくみも

えん罪えんざい事件じけんで浮き彫うきぼりになった課題かだいを踏ふまえ、警視庁けいしちょうには捜査そうさの適正てきせい化かに向むけた取り組とりくみが求もとめられています。

今回こんかいの事件じけんでは捜査そうさ対象たいしょうとなった製品せいひんが「輸出ゆしゅつ規制きせいの対象たいしょうにならないのではないか」という意見いけんが、複数ふくすうの捜査そうさ員いんから上あがっていたにもかかわらず、軌道きどう修正しゅうせいが行おこなわれないまま捜査そうさが継続けいぞくされました。

警視庁けいしちょうの幹部かんぶの1人にんは捜査そうさ指揮しきや、上司じょうしと部下ぶかの信頼しんらい関係かんけい、コミュニケーションに大おおきな問題もんだいがあったとし、「紙かみでの報告ほうこくのやりとりだけでなく上司じょうしが現場げんばから直接ちょくせつきたんのない意見いけんを集あつめ、部下ぶかは率直そっちょくに意見いけんを述のべられる組織そしきへとこの事件じけんを機きに変かわっていくことが重要じゅうようだ」と話はなしています。

また、公安こうあん部ぶでは逮捕たいほや起訴きそに至いたる事件じけんの数かずが限かぎられているため捜査そうさ経験けいけんを積つみにくいことも課題かだいとなっています。

今回こんかいの事件じけんをきっかけに公安こうあん部ぶの情報じょうほうや証拠しょうこ収集しゅうしゅうのあり方ありかたが問とわれる中なかで、警視庁けいしちょうは今年度こんねんどから公安こうあん部ぶの捜査そうさ員いんを刑事けいじ部ぶなど他たセクションの業務ぎょうむに従事じゅうじさせ、捜査そうさの経験けいけんを積つませる新あらたな取り組とりくみを始はじめています。