最も力の差が出たのは前半でした。
日本の攻撃はことごとく相手の堅い守備にはね返されトライなし。
チャンスすら作らせてもらえませんでした。
日本は、試合の開始から相手の守備の隙を突こうとグラウンドを幅広く使った素早いパス回しで攻撃を仕掛けました。
しかし、相手はフォワードを中心にタックルで日本の展開をつぶしたあと、複数の選手が素早くボールに絡みつく組織的な守備で日本の反則をうまく誘ってきました。
試合後、キャプテンのリーチマイケル選手は相手の守備について、「チョークタックル」と呼ばれるタックルを駆使してあえて日本の選手を倒さずに反則を狙ってくる戦術だったと分析。
これに対応できなかったと振り返りました。
そして「素早い攻めを展開したかったが、この守備に対応するためボールの運びが遅れたり、必要以上に人数をかけなければならなかった。相手の戦術によって、間違った選択を強いられた」と、おととしのワールドカップでのベスト8進出の原動力となった機動的な攻撃を封じ込められた悔しさをにじませました。
一方で収穫もありました。
ワールドカップのあとに海外のチームに移籍して世界レベルを体感してきた2人の選手が存在感を示したことです。
その2人が、世界最高峰のリーグの1つ「スーパーラグビー」に参戦するニュージーランドのハイランダーズに所属する姫野和樹選手とフランスの1部リーグの強豪、クレルモン・オーヴェルニュに所属する松島幸太朗選手です。
姫野選手は後半、途中出場ながら、19分にトライを決めただけでなく、相手のタックルを受けながらつなぐオフロードパスや屈強な相手に当たり負けしない突破など随所に持ち味を見せて日本の攻撃にリズムをもたらしました。
また、松島選手は、トライこそなかったものの持ち味の素早いフェイントを生かした突破やフランスで磨かれたというフィジカルの強さで相手のディフェンスラインを破るプレーをたびたび見せました。
2人のプレーについてジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「最終的にしとめきる所までは、なかなか持って行けなかったが、海外で経験を積んでいる2人がたくさんのチャンスを作った。試合に向けて、タイトなスケジュールの中でもすばらしいインパクトを残してくれた」と高く評価していました。
およそ1年8か月ぶりとなったテストマッチで得た収穫と課題。
次のワールドカップで前回大会以上の飛躍を目指す日本にとっては貴重な学びの場となりました。