日本新聞: 97歳が運転福島5人死傷暴走事故免許更新はおととし夏ごろ

19日にち、福島ふくしま市しで97歳さいのドライバーが運転うんてんする車くるまが暴走ぼうそうし、歩行ほこう者しゃなど5人にんが死傷ししょうした事故じこで、逮捕たいほされた高齢こうれいドライバーが運転うんてん免許めんきょを更新こうしんしたのはおととしの夏なつごろだったことが警察けいさつへの取材しゅざいで分わかりました。

この際さいの認知にんち機能きのう検査けんさでは問題もんだいは確認かくにんされなかったということで、警察けいさつは最近さいきんの運転うんてん状況じょうきょうなども調しらべることにしています。

19日にちの夕方ゆうがた、福島ふくしま市内しないの市道しどうで軽けい乗用車じょうようしゃが暴走ぼうそうし、歩道ほどう上じょうにいた42歳さいの女性じょせいがはねられて死亡しぼう、衝突しょうとつされた車くるまに乗のっていた女性じょせい4人にんがけがをした事故じこで、警察けいさつは21日にち午後ごご、過失かしつ運転うんてん致死ちしの疑うたがいで逮捕たいほした福島ふくしま市しの波なみ汐しお國くに芳よし容疑ようぎ者しゃ（97）を検察庁けんさつちょうに送おくりました。

容疑ようぎ者しゃも頭あたまに軽かるいけがをしていて、警察けいさつ署しょから出でる際さいは、警察官けいさつかんに両側りょうがわから支ささえられながら車くるまに乗り込のりこんでいました。

警察けいさつは、認否にんぴを明あきらかにしていません。

その後そのごの警察けいさつへの取材しゅざいで、容疑ようぎ者しゃが運転うんてん免許めんきょ証しょうを更新こうしんした時期じきはおととしの7月つきから9月つきの間まだったことが新あらたに分わかりました。

75歳さい以上いじょうが免許めんきょを更新こうしんする場合ばあいは、更新こうしん期間きかんが終おわるまでの6か月かげつ間かんに記憶きおく力りょくや判断はんだん力りょくをはかる認知にんち機能きのう検査けんさが義務ぎむづけられています。

容疑ようぎ者しゃは、おととしの免許めんきょ更新こうしんに伴ともなって受うけたのが直近ちょっきんの検査けんさだということで、この際さいには問題もんだいは確認かくにんされなかったということです。

警察けいさつは、最近さいきんの運転うんてん状況じょうきょうなどに異常いじょうが無なかったか周囲しゅういの人ひとたちからも話はなしを聞きくなどして事故じこを起おこした経緯けいいを調しらべています。

女性じょせいをはねたあとの軽けい乗用車じょうようしゃの動うごき

警察けいさつのこれまでの捜査そうさで、事故じこ当時とうじの状況じょうきょうが分わかってきました。

警察けいさつによりますと、歩道ほどうにいた女性じょせいがはねられたのは、車くるまが止とまった場所ばしょから20メートル余あまり手前てまえの大型おおがた商業しょうぎょう施設しせつの駐車ちゅうしゃ場じょうの出入り口でいりぐち付近ふきんでした。

現場げんばの歩道ほどうは、駐車ちゅうしゃ場じょうの出入り口でいりぐち付近ふきんを除のぞいて車道しゃどうより一段いちだん高たかくなっていて、ガードレールなどは設置せっちされておらず、およそ8メートル間隔かんかくで街路がいろ樹じゅが植うえられていました。

軽けい乗用車じょうようしゃは、女性じょせいをはねたあと、左側ひだりがわの車輪しゃりんが歩道ほどうに右側みぎがわの車輪しゃりんが車道しゃどうにある状態じょうたいで、右側みぎがわに大おおきく傾かたむきながら、街路がいろ樹じゅと信号しんごう待まちしていた車くるまの間まを走はしっていきました。

そして、街路がいろ樹じゅ2本ほんをなぎ倒なぎたおし、信号しんごう待まちしていた車くるま3台だいに次々つぎつぎに衝突しょうとつした末すえ、車くるまと街路がいろ樹じゅの間まで挟はさまって止とまりました。

警察けいさつは、軽けい乗用車じょうようしゃが歩道ほどうに入り込はいりこんだ場所ばしょや原因げんいんなどを調しらべています。

“運転うんてんに不安ふあんあるように見受みうけられた”との複数ふくすうの声こえ

容疑ようぎ者しゃの周辺しゅうへんからは、運転うんてんに不安ふあんがあるように見受みうけられたという声こえが複数ふくすう聞きかれました。

このうち、自宅じたく近ちかくに住すむ女性じょせいは「つえをついて歩あるくのがやっとの状態じょうたいで、外出がいしゅつの際さいはいつも車くるまを使つかっていました。すごくゆっくり車くるまを走はしらせているのを何なん度どか見みました」と話はなしていました。

また、近ちかくに住すむ別べつの女性じょせいは「毎日まいにちのように車くるまを運転うんてんする姿すがたを見みかけましたが、年とし相応そうおうの運転うんてんで、見みていて危あぶなっかしく感かんじる時ときもありました。また、近所きんじょの人ひとからは、『自宅じたくの車庫しゃこ入いれに1時間じかん近ちかくかかっていたのでハンドル操作そうさなどを手伝てつだった』という話はなしも聞ききました。近隣きんりん住民じゅうみんの多おおくが心配しんぱいしていて、私わたしより近ちかくに住すんでいる人ひとが、家族かぞくに『運転うんてんをやめたほうがいいのではないか』と提案ていあんしていたそうです」と話はなしていました。

さらに、容疑ようぎ者しゃを何なん度ども乗のせたことがあるという市内しないのタクシー運転うんてん手しゅの男性だんせいは「最後さいごに会あった1年ねんほど前まえの時点じてんでは、話し方はなしかたなどはしっかりしていましたが、以前いぜんより体からだが衰おとろえやっと歩あるくことができているといった様子ようすでした。車くるまいすが必要ひつようではないかと感かんじていましたが、本人ほんにんは『何なん十じゅう年ねんも事故じこを起おこしていないし、まだ車くるまの免許めんきょを持もっているので運転うんてんしている』と言いっていました」と話はなしていました。

容疑ようぎ者しゃは70年余ねんよ歌人かじんとして活動かつどうも

福島ふくしま県けん歌人かじん会かいなどによりますと、波なみ汐しお容疑ようぎ者しゃは、20代だいの頃ころから70年ねん余あまりにわたって歌人かじんとして活動かつどうしてきました。

会社かいしゃ勤つとめを終おえたあと、70代だいの頃ころには福島ふくしま県けん歌人かじん会かいの会長かいちょうを務つとめ、現在げんざいも顧問こもんをしているということです。

福島ふくしま県けん文学ぶんがく賞しょうの短歌たんか部門ぶもんの審査しんさ委員いいんを歴任れきにんしたほか、2009年ねんには福島ふくしま県けん文化ぶんか功労賞こうろうしょうを受賞じゅしょうし、翌年よくねんには文部もんぶ科学かがく大臣だいじんから地域ちいき文化ぶんか功労こうろう者しゃとして表彰ひょうしょうされました。