日本新聞: 正倉院の宝物織田信長らが求めた香木「蘭奢待」香り成分判明

正倉院しょうそういんの宝物ほうもつ織田おだ信長のぶながらが求もとめた香木こうぼく「蘭奢待らんじゃたい」香かおり成分せいぶん判明はんめい

N2 Jul 15, 2025 06:07 1

Furigana 翻译

正せい倉くら院いんの宝物ほうもつの1つで、織田おだ信長のぶながをはじめ、時ときの権力けんりょく者しゃたちが求もとめたことで知しられる「蘭奢らんじゃ待まち（らんじゃたい）」と呼よばれる香木こうぼくの詳くわしい調査ちょうさが行おこなわれ、ハチミツやシナモンのような甘あまい香かおりなど、300種類しゅるい以上いじょうの香かおりの成分せいぶんが含ふくまれていることがわかりました。

「蘭奢らんじゃ待まち」は全長ぜんちょうが1。

5メートルほどある香木こうぼくで“天下てんかの名香めいこう”とも言いわれ、織田おだ信長のぶながや足利あしかが義政よしまさなど時ときの権力けんりょく者しゃが求もとめ、その一部いちぶを切り取きりとった跡あとが残のこされています。

宮内庁くないちょう正倉院事務所しょうそういんじむしょは、樹木じゅもくの研究けんきゅう者しゃや香料こうりょうメーカーの専門せんもん家からとともに去年きょねん10月つきから科学かがく的てきな調査ちょうさを行おこないました。

その結果けっかによりますと、300種類しゅるい以上いじょうの香かおりの成分せいぶんが検出けんしゅつされ、最もっとも特徴とくちょう的てきな香かおりとして「ラブダナム」という香かおりに似にた成分せいぶんが含ふくまれていることがわかりました。

「ラブダナム」はハチミツやシナモンのような甘あまい香かおりが特徴とくちょうとされ、この香かおりが全体ぜんたいの香かおりに強つよく影響えいきょうしているとみられるということです。

「蘭奢らんじゃ待まち」は東南アジアとうなんあじあに分布ぶんぷするジンチョウゲ科かという種類しゅるいの樹木じゅもくであることはわかっていましたが、年代ねんだいを測定そくていしたところ、原木げんぼくは8世紀せいき後半こうはんから9世紀せいき末まつごろに伐採ばっさいもしくは倒木とうぼくした可能かのう性せいが高たかいことも判明はんめいしたということです。

宮内庁くないちょう正倉院事務所しょうそういんじむしょの中村なかむら力也りきや保存ほぞん課長かちょうは「香かおりの成分せいぶんを特定とくていし年代ねんだい測定そくていできたのは大おおきな成果せいかだが、なぜ正せい倉くら院いんにもたらされたのか、今後こんごの検証けんしょう課題かだいにしたい」と話はなしています。