オリンパス子会社こがいしゃの税務ぜいむ申告しんこくめぐり110ひゃくじゅう億おく円えん余あまり追徴ついちょう課税かぜい

追徴ついちょう課税かぜいを受うけたのは、東証とうしょうプライム上場じょうじょうの精密せいみつ機器ききメーカー「オリンパス」です。

オリンパスは2011にせんじゅういち年ねんに発覚はっかくした巨額きょがくの粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんの後のち、内うち視し鏡きょうなどの医療いりょう分野ぶんやに経営けいえい資源しげんを集中しゅうちゅうさせるとともに、収益しゅうえき性せいが低ひくい事業じぎょうを売却ばいきゃくして経営けいえいの立たて直なおしを図はかってきました。

このうち、顕微けんび鏡きょうなどの科学かがく事業じぎょうについて子会社こがいしゃの「エビデント」を設立せつりつして、2022にせんにじゅうに年ねんに分社ぶんしゃ化かし、おととしアメリカの投資とうしファンドに売却ばいきゃくしました。

関係かんけい者しゃによりますと、オリンパスはその間そのかん、グループ企業きぎょう内ないで収益しゅうえきや損失そんしつを合算がっさんできる「グループ通算つうさん制度せいど」に基もとづき、子会社こがいしゃのエビデントの赤字あかじをグループ内ないの黒字くろじと相殺そうさいして申告しんこくしたということです。

しかし、エビデントの申告しんこくがグループ通算つうさん制度せいどに基もとづいていなかったことから、東京とうきょう国税局こくぜいきょくは、制度せいどが適用てきようされないと判断はんだんし、オリンパスに対にたいし、去年きょねん3さん月つきまでの2に年間ねんかんにおよそ300さんびゃく億おく円えんの申告しんこく漏もれを指摘してきし、110ひゃくじゅう億おく円えん余あまりを追徴ついちょう課税かぜいしたということです。

NHKの取材しゅざいに対にたいしオリンパスは「税務ぜいむ当局とうきょくと議論ぎろんを続つづけるなかで当社とうしゃとの見解けんかいの相違そういがありましたが検討けんとうの結果けっか、ご指摘してきに従したがい、納税のうぜいすることとしました。

また、「エビデント」は「守秘しゅひ義務ぎむにより回答かいとうを差さし控ひかえさせていただきたく存ぞんじます」としています。

グループ通算つうさん制度せいどとは

「グループ通算つうさん制度せいど」は、グループ企業きぎょうの税務ぜいむ申告しんこくで親会社おやがいしゃと子会社こがいしゃの利益りえきと損失そんしつを合算がっさんして申告しんこく・納税のうぜいする制度せいどで、2022にせんにじゅうに年ねん4し月つきから運用うんようが始はじまりました。

以前いぜんの「連結れんけつ納税のうぜい制度せいど」もグループ全体ぜんたいで損益そんえきを合算がっさんできるのは同おなじですが、親会社おやがいしゃがすべての子会社こがいしゃ分ぶんを税務ぜいむ申告しんこくする必要ひつようがありました。

子会社こがいしゃの税務ぜいむ申告しんこくで修正しゅうせいなどが見みつかった場合ばあいに、親会社おやがいしゃがグループ企業きぎょう全体ぜんたいで再さい計算けいさんを行おこなわなければならず、親会社おやがいしゃの負担ふたんが重おもいと指摘してきされていました。

こうしたデメリットを解消かいしょうするためグループ通算つうさん制度せいどが始はじまり、子会社こがいしゃも個別こべつに税務ぜいむ申告しんこくして、グループ全体ぜんたいで損益そんえきを合算がっさんできるように変かわりました。

事業じぎょう売却ばいきゃくの経緯けいい

オリンパスは、2011にせんじゅういち年ねんに発覚はっかくした巨額きょがくの粉飾ふんしょく決算けっさん事件じけんの後のち、経営けいえいを立たて直なおすため、収益しゅうえき性せいの低ひくい事業じぎょうの売却ばいきゃくを進すすめてきました。

かつてはカメラメーカーとして高たかい知名ちめい度どがありましたが、スマートフォンの普及ふきゅうによってデジタルカメラなどの映像えいぞう事業じぎょうは営業えいぎょう赤字あかじが続つづき、2021にせんにじゅういち年ねんに投資とうしファンドに売却ばいきゃくしました。

さらに、創業そうぎょう以来いらい、100ひゃく年ねん以上いじょうの歴史れきしがあった顕微けんび鏡きょうなどの科学かがく事業じぎょうも、子会社こがいしゃの「エビデント」を設立せつりつして、2022にせんにじゅうに年ねんに分社ぶんしゃ化かし、2023にせんにじゅうさん年ねんにはアメリカの投資とうしファンドに売却ばいきゃくしました。

一方いっぽうで、医療いりょう用ようの内うち視し鏡きょうなど医療いりょう分野ぶんやに経営けいえい資源しげんを集中しゅうちゅうさせ、直近ちょっきんの決算けっさんでは、グループ全体ぜんたいの売上うりあげのほとんどを占しめています。

世界せかい市場しじょうで高たかいシェアを持もつ医療いりょう用ようの内うち視し鏡きょうを軸じくに収益しゅうえきを改善かいぜんさせているということです。