米べいFRB 0.25れいてんにご％利下りさげ決定けってい 年内ねんない後あと2回にかいの利下りさげ想定そうてい

アメリカのFRB＝連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かいは、17日じゅうしちにちまで開ひらいた金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごうで、雇用こようの下した振ふれリスクが高たかまったなどとして、政策せいさく金利きんりを0.25％引ひき下さげることを決きめました。トランプ大統領だいとうりょうが繰くり返かえし利下りさげを求もとめる中なか、年きょねん12月がつ以来いらい6会合かいごうぶりに、いまのトランプ政権せいけんの下したでは初はじめてとなる利下りさげに踏ふみ切きりました。

FRBは、17日じゅうしちにちまでの2日間にちかん、金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごうを開ひらき、政策せいさく金利きんりを0.25％引ひき下さげることを決きめました。

利下りさげは2024年にせんにじゅうよねん12月がつ以来いらい、6会合かいごうぶりで、いまのトランプ政権せいけんの下したでは初はじめてです。

これによって政策せいさく金利きんりは4％から4.25％の幅はばとなります。

パウエル議長ぎちょうは会合かいごうのあとの記者きしゃ会見かいけんで、利下りさげの理由りゆうについて「雇用こようの下した振ふれリスクが高たかまっている」と述のべました。

今回こんかいの決定けっていには、12人にんのメンバーのうちトランプ大統領だいとうりょうに近ちかいミラン理事りじが反対はんたいし、0.5％の引ひき下さげを支持しじしましたが、パウエル議長ぎちょうは会見かいけんで「広ひろい支持しじはなかった」と述のべました。

また、会合かいごうの参加さんか者しゃ19人にんによる政策せいさく金利きんりの見通みとおしでは、年内ねんないにあと2回かいの利下りさげが行おこなわれるとの想定そうていが示しめされ、年内ねんないの利下りさげ回数かいすうは前回ぜんかいの想定そうていより1回かい増ふえました。

ただ、7人にんが、年内ねんないにさらなる利下りさげは必要ひつようないとの見通みとおしを示しめすなど、FRBの中なかでも見方みかたは分わかれています。

また、パウエル議長ぎちょうは会見かいけんで、「関税かんぜい措置そちによるインフレへの影響えいきょうはまだ不透明ふとうめいだ。インフレへの影響えいきょうがより持続じぞく的てきなものになる可能かのう性せいもあり、そのリスクは評価ひょうかして管理かんりする必要ひつようがある」と述のべ、トランプ大統領だいとうりょうが繰くり返かえし利下りさげを求もとめる中なかでも、経済けいざいデータなどに基もとづいて関税かんぜい措置そちの影響えいきょうを見極みきわめながら金融きんゆう政策せいさくを決定けっていしていく姿勢しせいを示しめしました。
FRB政策せいさく金利きんりの見通みとおしをあわせて発表はっぴょう
FRB＝連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かいは、今回こんかいの会合かいごうで政策せいさく金利きんりの見通みとおしをあわせて発表はっぴょうしました。

この見通みとおしは、参加さんか者しゃがそれぞれ適切てきせつだと考かんがえる金利きんりを点てん＝ドットで示しめしていることから「ドット・チャート」と呼よばれ、市場しじょうでは、その中央ちゅうおう値ちがFRBが目指めざす金利きんり水準すいじゅんだと受うけ止とめられています。

今回こんかいの見通みとおしでは、ことしの年末ねんまつ時点じてんの中央ちゅうおう値ちは3.6％で、前回ぜんかい・ことし6月がつの時点じてんから0.3ポイント引ひき下さげられました。

年内ねんないには10月がつと12月がつに会合かいごうが予定よていされていますが、1回かいの利下りさげ幅はばを通常つうじょうの0.25％とした場合ばあい、年内ねんないの利下りさげをあと2回かい、見込みこんでいることになります。

19人にんの参加さんか者しゃがそれぞれ示しめした見通みとおしをみると、9人にんが年内ねんないにあと2回かいの利下りさげを見込みこむ一方いっぽう、7人にんはさらなる利下りさげは必要ひつようないとしています。

また、1人にんはあと5回かいの利下りさげを見込みこんでいて、大幅おおはばな利下りさげを求もとめるトランプ大統領だいとうりょうに近ちかいスティーブン・ミラン氏しとみられます。

FRBは政策せいさく金利きんりとともに、経済けいざい成長せいちょう率りつなどの見通みとおしも示しめしました。

このうち、来月らいげつから12月がつのアメリカのGDP＝国内こくない総そう生産せいさんについては、去年きょねんの同おなじ時期じきと比くらべた実質じっしつの伸のび率りつで1.6％と、前回ぜんかいの想定そうていから0.2ポイント引ひき上あげられています。

失業しつぎょう率りつについては同おなじ時期じきの平均へいきんで4.5％と、前回ぜんかいから変かわりませんでした。

インフレの状況じょうきょうを見極みきわめるための指標しひょうとしてFRBが重視じゅうしする、PCE＝個人こじん消費しょうひ支出ししゅつの物価ぶっか指数しすうについては、来月らいげつから12月がつにかけての上昇じょうしょう率りつの見通みとおしは3.0％と前回ぜんかいから変かわっていませんが、来年らいねんの同おなじ時期じきについては2.6％と、前回ぜんかいから0.2ポイント引ひき上あげられています。

トランプ政権せいけんの関税かんぜい措置そちが物価ぶっかを上昇じょうしょうさせるという見方みかたが、参加さんか者しゃの間まに根強ねづよく残のこっていることを示しめしているものとみられます。
パウエル議長ぎちょう会見かいけん ノーカット動画どうが（52分ふん38秒びょう）
※データ放送ほうそうではご覧らんになれません
【詳細しょうさい】会見かいけんでの発言はつげん

関税かんぜい措置そち 労働ろうどう市場しじょうの下した振ふれの要因よういん「それはありうる」
FRBのパウエル議長ぎちょうは、会合かいごう後ごの記者きしゃ会見かいけんで、トランプ政権せいけんの関税かんぜい措置そちがインフレよりも労働ろうどう市場しじょうの下した振ふれの要因よういんになっている可能かのう性せいがあるか問とわれたのに対たいし、「それはありうる」と述のべました。

一方いっぽうで「労働ろうどう市場しじょうで起おきていることの大半たいはんは、関税かんぜい措置そちよりも移民いみん政策せいさくにより深ふかく関かかわっている」と述のべ、労働ろうどう市場しじょうには移民いみん政策せいさくの厳格げんかく化かがより影響えいきょうを与あたえているという認識にんしきを示しめしました。
「FRBはより長期ちょうき的てきな視点してんで物事ものごとを捉とらえている」
また、「FRBには、データに基もとづいて仕事しごとし、それ以外いがいのことは一切いっさい考慮こうりょしないという組織そしきとしての文化ぶんかが深ふかく根ねづき、全員ぜんいんがこだわりを持もっている。ワシントンでは『ある政党せいとうや政治せいじ家かにとって有利ゆうりか不利ふりか』というレンズを通とおしてすべてが見みられ、私わたしたちがまったく異ことなる視点してんで物事ものごとを捉とらえていることは信しんじがたいと思おもわれているだろうが、FRBはより長期ちょうき的てきな視点してんで物事ものごとを捉とらえている」と述のべ、FRBの独立どくりつ性せいを強調きょうちょうしました。
0.5％の利下りさげ「広ひろい支持しじは全まったくなかった」
今回こんかいの決定けっていに唯一ゆいいつ反対はんたいしたスティーブン・ミラン理事りじが支持しじした0.5％の利下りさげについて、「広ひろい支持しじは全まったくなかった。金融きんゆう政策せいさくが適切てきせつでなく、新あらたな方向ほうこうに転換てんかんする必要ひつようがあるときには大幅おおはばな利上りあげや利下りさげが必要ひつようだが、ことしの政策せいさくはこれまでのところ適切てきせつに機能きのうしていると思おもう。関税かんぜいやインフレ、労働ろうどう市場しじょうの動向どうこうを見極みきわめるとしたわれわれの判断はんだんは正ただしかったと思おもう」と述のべました。
「関税かんぜい措置そちの影響えいきょう まだ不透明ふとうめい リスク評価ひょうかして管理かんりする必要ひつよう」
トランプ政権せいけんの関税かんぜい措置そちについて「政府せいふの政策せいさくは変化へんかが続つづいているが、高たかい関税かんぜいの経済けいざい活動かつどうやインフレへの全体ぜんたい的てきな影響えいきょうはまだ不透明ふとうめいだ。インフレへの影響えいきょうがより持続じぞく的てきなものになる可能かのう性せいもあり、そのリスクは評価ひょうかして管理かんりする必要ひつようがある」と述のべました。
「雇用こようの下した振ふれリスクが高たかまっている」
また、「失業しつぎょう率りつは低ひくい水準すいじゅんを維持いじしているもののわずかに上昇じょうしょうし、雇用こようの下した振ふれリスクが高たかまっている。一方いっぽう、インフレ率りつは最近さいきん高たかまり、やや高たかい水準すいじゅんで推移すいいしている。リスクのバランスの変化へんかを踏ふまえ、政策せいさく金利きんりを0.25％引ひき下さげると決定けっていした」と述のべました。
【解説かいせつ】なぜ このタイミングで利下りさげに踏ふみ切きったのか
Q. なぜ、このタイミングで利下りさげに踏ふみ切きったのでしょうか？

（ワシントン支局しきょく 小田島拓也記者きしゃ）
A. アメリカ経済けいざいを支ささえてきた労働ろうどう市場しじょうに異変いへんが生しょうじているためです。

FRBはこれまで「雇用こようの減速げんそく」と「インフレの再さい加速かそく」という2つのリスクをてんびんにかけながら利下りさげのタイミングを見極みきわめてきましたが、「雇用こようの減速げんそく」のリスクのほうがより重おもくなったと判断はんだんしました。

私わたしがアメリカ各地かくちの企業きぎょうを取材しゅざいしていても、関税かんぜい措置そちによるコストの上昇じょうしょうに対応たいおうするため、新規しんき採用さいようを控ひかえたり、解雇かいこに踏ふみ切きったりする企業きぎょうが目立めだつようになりました。

FRBとしては、利下りさげによって景気けいきを下支したざさえすることで、雇用こようの一段いちだんの減速げんそくに歯止はどめをかけようとしたんだと思おもいます。

Q. トランプ大統領だいとうりょうが利下りさげを求もとめてFRBへの影響えいきょう力りょくを強つよめようとしているとも指摘してきされますが、FRBはどう対応たいおうしていくのでしょうか？

A. パウエル議長ぎちょうは会見かいけんで「FRBには、データに基もとづいて仕事しごとし、それ以外いがいのことは一切いっさい考慮こうりょしないという組織そしきとしての文化ぶんかが深ふかく根ねづき、全員ぜんいんがこだわりを持もっている」と発言はつげんしました。

トランプ大統領だいとうりょうに近ちかいミラン氏しが理事りじに就任しゅうにんした直後ちょくごだけに、独立どくりつ性せいは揺ゆるがないという姿勢しせいを強調きょうちょうしたのが印象いんしょう的てきでした。

FRBとしては、トランプ政権せいけんの圧力あつりょくを受うけるなかでも、雇用こようの減速げんそくとインフレの再さい加速かそくという2つのリスクをにらみながら、どのようなペースで利下りさげを進すすめていくのかという難むずかしい判断はんだんを迫せまられる局面きょくめんが続つづくことになります。
【解説かいせつ】日本にっぽん経済けいざいへの影響えいきょうは
Q. この利下りさげは、日本にっぽん経済けいざいにとってプラス？それともマイナスなのでしょうか？

（おはビズキャスター 永野ながの解説かいせつ委員いいん）
A. FRBの利下りさげがアメリカ経済けいざいを下支したざさえする効果こうかを発揮はっきすれば、日本にっぽん経済けいざいにもプラスとなります。

日本にっぽんにとってアメリカは最大さいだいの輸出ゆしゅつ先さきだからで、その額がくは昨年度さくねんど1年間ねんかんで21兆ちょう円えん余あまりに上のぼっているんです。

ただ、先行さきゆきは必かならずしも楽観らっかんできる状況じょうきょうではありません。

Q. 楽観らっかんできる状況じょうきょうではないと、それはどうしてなのでしょうか？

A. トランプ政権せいけんによる関税かんぜい措置そちがアメリカや日本にっぽんの経済けいざいにどこまで影響えいきょうを及およぼすか、見通みとおしにくい状況じょうきょうが続つづいているからです。

17日じゅうしちにち、財務省ざいむしょうが発表はっぴょうした先月せんげつの貿易ぼうえき統計とうけいを見みても、日本にっぽんの基幹きかん産業さんぎょうである「自動車じどうしゃ」のアメリカ向むけの輸出ゆしゅつ額がくは、去年きょねんの同おなじ月つきと比くらべて実じつに28％の減少げんしょうとなりました。

アメリカが日本にっぽんから輸入ゆにゅうする自動車じどうしゃなどへの関税かんぜいは15％に引ひき下さげられましたが、依然いぜん、高たかい水準すいじゅんであることに変かわりはありません。

また、FRBとは対照たいしょう的てきに、日銀にちぎんは、経済けいざい・物価ぶっか情勢じょうせいの改善かいぜんに応おうじて追加ついかの利上りあげを判断はんだんしていく姿勢しせいです。

18日じゅうはちにちからの日銀にちぎんの会合かいごうでは、政策せいさく金利きんりを据すえ置おく方向ほうこうで議論ぎろんが行おこなわれる見通みとおしですが、アメリカが利下りさげ、日本にっぽんが利上りあげの方向ほうこうに向むかっていくとすれば、円えん高だかが進すすむ可能かのう性せいも指摘してきされています。

「トランプ関税かんぜい」や「日にち米べいの金融きんゆう政策せいさくの違ちがい」が実体じったい経済けいざいにどう影響えいきょうしてくるのか、その結果けっか、企業きぎょうの業績ぎょうせきに加くわえて賃上ちんあげの勢いきおいがどうなるのかが今後こんごの焦点しょうてんになります。