日本新聞: 静岡焼津虐めを受け女子生徒が自殺両親が市を提訴へ

3さん年ねん前まえ、静岡しずおか県けん焼津やいづ市しの公立こうりつ中学校ちゅうがっこうに通かよっていた14じゅうよん歳さいの女子じょし生徒せいとが自殺じさつし、専門せんもん家かによる調査ちょうさの結果けっか、ほかの生徒せいとから悪口わるぐちや陰口かげぐちなどのいじめを受うけていたと認定にんていされたことがわかりました。両親りょうしんは「教諭きょうゆはいじめを認識にんしきできたのに対応たいおうを取とらなかった」として、近ちかく、市しに対たいして損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを起おこすことにしています。

遺族いぞくや弁護士べんごしによりますと、2022にせんにじゅうに年ねん9く月がつ、焼津やいづ市しの公立こうりつ中学校ちゅうがっこうに通かよっていた3さん年生ねんせいで14じゅうよん歳さいの女子じょし生徒せいとが学校がっこうから帰宅きたく後ごにみずから命いのちを絶たちました。

女子じょし生徒せいとは、この年としの4し月がつに転校てんこうしてきたばかりでした。

市しの教育きょういく委員会いいんかいが設置せっちした専門せんもん家かによる調査ちょうさ委員会いいんかいが調査ちょうさした結果けっか
▽「きもい」や「くさい」などの悪口わるぐちや陰口かげぐちのほか
▽発表会はっぴょうかいのために描えがいた絵えが破やぶかれた状態じょうたいで見みつかるなど
いじめを受うけていたと認定にんていしたということです。

調査ちょうさ報告書ほうこくしょなどによりますと、女子じょし生徒せいとは亡なくなる2にか月かげつ前まえに行おこなわれた道徳どうとくの授業じゅぎょうで、プリントに「本当ほんとうの自分じぶんは出ださない。またいじめにあうかもしれないから」などと書かいて提出ていしゅつしていましたが、教諭きょうゆは声こえかけや確認かくにんを行おこなわなかったということです。

両親りょうしんは「教諭きょうゆはいじめを認識にんしきできたのに対応たいおうを取とらなかった」と主張しゅちょうして、近ちかく市しに対たいし7000ななせん万まん円えん余あまりの損害そんがい賠償ばいしょうを求もとめる訴うったえを静岡しずおか地方裁判所ちほうさいばんしょに起おこすことにしています。

焼津やいづ市し教育委員会きょういくいいんかいは「尊とうとい命いのちが失うしなわれたことに対たいし哀悼あいとうの意いを表ひょうするとともに、ご遺族いぞくの皆様みなさまに心こころよりお悔くやみ申し上もうしあげます」としたうえで、訴うったえについては「内容ないようがわからないのでお答こたえできない」としています。
報告書ほうこくしょ「学校側がっこうがわの対応たいおうが影響えいきょう」
焼津やいづ市しの教育委員会きょういくいいんかいが設置せっちした専門せんもん家かによる調査ちょうさ委員会いいんかいは、おととし6ろく月がつに報告書ほうこくしょをまとめています。

報告書ほうこくしょでは、生徒せいとへのアンケートや聞きき取とり調査ちょうさの結果けっか
▽「きもい」や「くさい」などの悪口わるぐちや陰口かげぐちのほか
▽冷ひやかしやからかい
▽発表会はっぴょうかいのために描えがいた絵えが破やぶかれた状態じょうたいで見みつかったことについて、女子じょし生徒せいとへのいじめと認定にんていしています。

また、報告書ほうこくしょや遺族いぞくの弁護士べんごしによりますと、女子じょし生徒せいとは亡なくなる2にか月かげつ前まえに行おこなわれた道徳どうとくの授業じゅぎょうで、プリントに「本当ほんとうの自分じぶんは出ださない。またいじめにあうかもしれないから」とか「1ひと人りの時ときは本当ほんとうに暗くらい」、「いつもぐちゃぐちゃな心境しんきょう」などと書かいて提出ていしゅつしましたが、教諭きょうゆは声こえかけや確認かくにんを行おこなわなかったということです。

これについて報告書ほうこくしょでは「教諭きょうゆは内容ないようについて気きにはなったものの、中学生ちゅうがくせいなら誰だれしも抱いだく感情かんじょう、すでに問題もんだいは解決かいけつ済ずみと判断はんだんした」としたうえで、「いじめの重要じゅうような情報じょうほうとして扱あつかうべきものだった。女子じょし生徒せいとの発はっしたサインを受うけ止とめられなかったことは、計画的けいかくてきに研修けんしゅうを行おこなっていなかった学校がっこうの組織そしき態勢たいせいの不備ふびによるものだ」と指摘してきしています。

そのうえで、女子じょし生徒せいとの自殺じさつについて「唯一ゆいいつの原因げんいんを特定とくていすることは困難こんなんだが、いじめと認定にんていした行為こういや学校側がっこうがわの対応たいおうが影響えいきょうを与あたえたことは否定ひていできない」としています。

この報告書ほうこくしょはこれまで公表こうひょうされておらず、焼津やいづ市し教育委員会きょういくいいんかいは「生徒せいとへの影響えいきょうを考慮こうりょして非公表ひこうひょうとした。報告書ほうこくしょに関かかわる内容ないようについてはお答こたえできない」としています。
父親ちちおや「“SOS”が見過みすごされた」
亡なくなった女子じょし生徒せいとの父親ちちおやがNHKのインタビューに応おうじ「娘むすめが出だしていた“SOS”が見過みすごされた」と訴うったえました。

父親ちちおやによりますと、女子じょし生徒せいとは優やさしい性格せいかくで、家いえではムードメーカー的てきな存在そんざいだったといいます。

猫ねこや絵えを描えがくことが好すきで、中学校ちゅうがっこうに入はいってからは美術部びじゅつぶに所属しょぞくしました。

家族かぞくの引ひっ越こしに伴ともない、中学ちゅうがく3さん年ねんに進級しんきゅうした2022にせんにじゅうに年ねん4し月がつに転校てんこうすることになり、女子じょし生徒せいとは当初とうしょ「学校がっこうの雰囲気ふんいきになかなかなじめない」と話はなしていたといいます。

ただ、何なにがあったのか、家族かぞくに詳くわしく話はなすことはなかったということです。

そして転校てんこうからおよそ半年はんとしがたった2022にせんにじゅうに年ねん9く月がつ、女子じょし生徒せいとは学校がっこうから帰かえったあと、みずから命いのちを絶たちました。

父親ちちおやは仕事しごとに出でていたため、妻つまから連絡れんらくを受うけて急いそいで病院びょういんに向むかいましたが、すでに亡なくなっていたということです。

当時とうじの心境しんきょうについて「連絡れんらくをもらっても信しんじられず、移動中いどうちゅうも頭あたまが真まっ白しろでとにかく早はやく会あいたいという気持きもちでした。とにかく辛つらかった。目めを開あけてほしかったです」と声こえを詰つまらせながら語かたりました。

娘むすめはどのような思おもいで学校がっこう生活せいかつを送おくっていたのか。

父親ちちおやは学校がっこうに対たいして詳細しょうさいな調査ちょうさを求もとめ、専門せんもん家かによる調査ちょうさ報告書ほうこくしょを受うけ取とりました。

この中なかで衝撃しょうげきを受うけたのは、女子じょし生徒せいとが道徳どうとくの授業じゅぎょうのプリントで教諭きょうゆに“SOS”を発信はっしんしていたのに、見過みすごされていた実態じったいでした。

父親ちちおやは「いじめの内容ないようは想像そうぞう以上いじょうで、すべてが辛つらいものでした。耳みみを背そむけたくなるような汚きたないことばを、なぜかけられなくてはならないのかと思おもいました。先生せんせいがプリントを見みて、何なにも思おもわなかったことも信しんじられませんでした。おとなしい子こにとってことばで書かくこと自体じたいがSOSだということをもっと感かんじてほしかった」と話はなしました。

今回こんかい、訴うったえを起おこすことにした理由りゆうについて父親ちちおやは「なぜ娘むすめが短みじかい生涯しょうがいを終おえなければならなかったのか、その苦くるしみや、大切たいせつな家族かぞくを失うしなった辛つらさを学校がっこうや教育委員会きょういくいいんかい、いじめに加担かたんした生徒せいとに感かんじてほしいと思おもいました。学校がっこうには、一人ひとりひとりの生徒せいとにもっと目めを向むけてほしかったです」と述のべました。

そのうえで、女子じょし生徒せいとに対たいしては「生いきているときに、いろんな言葉ことばをかけてあげられなくてごめんねと謝あやまりたいです。もっと一緒いっしょにいたかったと伝つたえたいです。さみしいです」と話はなしていました。
相談そうだん窓口まどぐち
文部科学省もんぶかがくしょうはいじめの問題もんだいなどで悩なやみを抱かかえている子供こどもや保護者ほごしゃから、無料むりょうで相談そうだんを受うけ付つける「24にじゅうよ時間じかん子供こどもSOSダイヤル」を設置せっちしています。

電話番号でんわばんごうは、0120-0-78310で、夜間やかんや休日きゅうじつも含ふくめ、いつでも相談そうだんを受うけ付つけています。

また「子供こどものSOSの相談そうだん窓口まどぐち」というホームページで、SNSで相談そうだんする方法ほうほうも紹介しょうかいしています。

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