日本新聞: 広島で平和記念式典原爆投下から80年核兵器廃絶への思い訴え

広島ひろしまへの原爆げんばく投下とうかから、6日むいかで80年はちじゅうねんです。平和へいわ記念きねん式典しきてんの平和へいわ宣言せんげんで広島ひろしま市しの松井まつい市長しちょうは「『自国じこくを守まもるためには、核兵器かくへいきの保有ほゆうもやむを得えない』という考かんがえ方かたが各国かっこくで強つよまりつつある事態じたいは、過去かこの悲惨ひさんな歴史れきしから得えた教訓きょうくんを無むにするものだ」と述のべたうえで、核兵器かくへいき廃絶はいぜつへの思おもいを市民しみん社会しゃかいの総意そういにするよう訴うったえました。

広島ひろしま市しの平和へいわ公園こうえんで午前ごぜん8時はちじから行おこなわれた平和へいわ記念きねん式典しきてんには、被爆ひばく者しゃや遺族いぞくの代表だいひょうをはじめ、石破いしば総理そうり大臣だいじんのほか、過去かこ最多さいたとなる120ひゃくにじゅうの国くにと地域ちいきの大使たいしなどを含ふくむおよそ5万ごまん5000人ごせんにんが参列さんれつしました。

式典しきてんでは、広島ひろしまで被爆ひばくし、この1年いちねんに亡なくなった人ひとや死亡しぼうが確認かくにんされた人ひと、あわせて4940人よんせんきゅうひゃくよんじゅうにんの名前なまえが書かき加くわえられた34万さんじゅうよんまん9246人きゅうせんにひゃくよんじゅうろくにんの原爆げんばく死没しぼつ者しゃ名簿めいぼが、原爆げんばく慰霊いれい碑ひに納おさめられました。

そして、原爆げんばくが投下とうかされた午前ごぜん8時はちじ15分じゅうごふんに、参列さんれつ者しゃ全員ぜんいんが黙もくとうをささげました。

国際こくさい社会しゃかいでは、核かく保有ほゆう国こくによる威嚇いかくが繰くり返かえされたり、核かく抑止よくし力りょくを強化きょうかしようとする動うごきがみられたりするなど、核兵器かくへいきをめぐる情勢じょうせいは厳きびしさを増ましています。

広島ひろしま市しの松井まつい市長しちょうは平和へいわ宣言せんげんで「世界中せかいじゅうで軍備ぐんび増強ぞうきょうの動うごきが加速かそくし、各国かっこくの為政いせい者しゃの中なかでは、『自国じこくを守まもるためには、核兵器かくへいきの保有ほゆうもやむを得えない』という考かんがえ方かたが強つよまりつつあるが、こうした事態じたいは、国際こくさい社会しゃかいが過去かこの悲惨ひさんな歴史れきしから得えた教訓きょうくんを無むにすると同時どうじに、これまで築きずき上あげてきた平和へいわ構築こうちくのための枠組わくぐみを大おおきく揺ゆるがすものだ」と述のべて懸念けねんを示しめしました。

そして「核兵器かくへいき廃絶はいぜつへの思おもいを市民しみん社会しゃかいの総意そういにしていかなければならない。被爆ひばく者しゃをはじめ、先人せんじんがつくりあげた『平和へいわ文化ぶんか』が国境こっきょうを越こえて広ひろがっていけば、必かならずや核かく抑止よくし力りょくに依存いぞんする為政いせい者しゃの政策せいさく転換てんかんを促うながすことになる」と訴うったえたうえで、日本にっぽん政府せいふに対たいし、来年らいねん行おこなわれる核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎにオブザーバー参加さんかするよう求もとめました。

石破いしば総理そうり大臣だいじんはあいさつで「非核ひかく三さん原則げんそくを堅持けんじしながら、『核兵器かくへいきのない世界せかい』に向むけた国際こくさい社会しゃかいの取とり組くみを主導しゅどうすることは、唯一ゆいいつの戦争せんそう被爆ひばく国こくである我わが国くにの使命しめいだ」と述のべましたが、核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくにはふれませんでした。
また、地元じもとの小学生しょうがくせい2人ふたりは「本当ほんとうはつらくて思おもい出だしたくない記憶きおくを伝つたえてくださる被爆ひばく者しゃの方々かたがたから、直接ちょくせつ話はなしを聞きく機会きかいは少すくなくなっています。被爆ひばく者しゃの声こえを次つぎの世代せだいへ語かたり継ついでいく使命しめいが、私わたしたちにはあります」と、「平和へいわへの誓ちかい」を述のべました。
被爆ひばく者しゃの平均へいきん年齢ねんれいはことし86歳はちじゅうろくさいを超こえ、初はじめて10万じゅうまん人にんを下回したまわり、被爆ひばく体験たいけんを直接ちょくせつ聞きくことは次第しだいに難むずかしくなってきています。

人類じんるい史上しじょう初はじめて核兵器かくへいきの惨禍さんかを経験けいけんした広島ひろしまは、犠牲ぎせい者しゃを追悼ついとうするとともに、被爆ひばく者しゃたちが一貫いっかんして繰くり返かえしてきた核兵器かくへいき廃絶はいぜつの声こえを改あらためて国内外こくないがいに強つよく訴うったえます。
石破いしば首相しゅしょう “「核兵器かくへいきのない世界せかい」実現じつげんへ全力ぜんりょく”
石破いしば総理そうり大臣だいじんは、平和へいわ記念きねん式典しきてんであいさつし「80年はちじゅうねん前まえのきょう、1発いっぱつの原子げんし爆弾ばくだんがさく裂れつし、十じゅう数すう万まんとも言いわれる貴とうとい命いのちが失うしなわれ、一命いちめいをとりとめた方々かたがたにも筆舌ひつぜつに尽つくし難がたい苦難くなんの日々ひびをもたらした。惨禍さんかを決けっして繰くり返かえしてはならない」と述のべました。

その上うえで、非核ひかく三さん原則げんそくを堅持けんじしながら国際こくさい社会しゃかいの取とり組くみを主導しゅどうすることは、唯一ゆいいつの戦争せんそう被爆ひばく国こくである日本にっぽんの使命しめいだと強調きょうちょうしました。

そして、イランの核かく開発かいはつをめぐる中東ちゅうとう情勢じょうせいなどを念頭ねんとうに「核軍縮かくぐんしゅくをめぐる国際こくさい社会しゃかいの分断ぶんだんは深ふかまり、安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうは厳きびしさを増ましている。NPT＝核かく拡散かくさん防止ぼうし条約じょうやくのもと『核かく戦争せんそうのない世界せかい』そして『核兵器かくへいきのない世界せかい』の実現じつげんに向むけ、全力ぜんりょくで取とり組くんでいく」と述のべました。

また、去年きょねん、日本にっぽん被団協ひだんきょう＝日本にっぽん原水爆げんすいばく被害ひがい者しゃ団体だんたい協議きょうぎ会かいがノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうしたことは極きわめて意義いぎ深ふかいとした上うえで「被爆ひばく者しゃの平均へいきん年齢ねんれいは86歳はちじゅうろくさいを超こえ、国民こくみんの多おおくは戦争せんそうを知しらない世代せだいとなった。耐たえ難がたい経験けいけんと記憶きおくを決けっして風化ふうかさせることなく、世代せだいを超こえて継承けいしょうしなければならない」と訴うったえました。

さらに「被爆ひばく者しゃ援護えんご法ほう」の施行しこうから30年さんじゅうねんとなったことを踏ふまえ、原爆げんばく症しょうの認定にんていについてできるかぎり迅速じんそくな審査しんさを行おこなうなど、高齢こうれい化かが進すすむ被爆ひばく者しゃに寄より添そいながら、総合そうごう的てきな援護えんご施策しさくを進すすめていく考かんがえを示しめしました。
維新いしん前原まえはら共同きょうどう代表だいひょう “安全あんぜん保障ほしょうと核兵器かくへいき廃絶はいぜつの取とり組くみも”
日本にっぽん維新いしんの会かいの前原まえはら共同きょうどう代表だいひょうは、平和へいわ記念きねん式典しきてんに出席しゅっせきしたあと記者きしゃ団だんに対たいし「核かくのない世界せかいと恒久こうきゅう平和へいわは求もとめ続つづけなければいけないが、日本にっぽんは、中国ちゅうごく、北朝鮮きたちょうせん、ロシアといった核かくを保有ほゆうし、力ちからによる現状げんじょう変更へんこうをいとわない国くにに囲かこまれていて、現実げんじつ的てきな対応たいおうも必要ひつようだ。政府せいふには、自国じこくの安全あんぜん保障ほしょうを守まもることに加くわえ、唯一ゆいいつの被爆ひばく国こくとして外交がいこう的てきな核兵器かくへいき廃絶はいぜつのための取とり組くみもしてもらいたい」と述のべました。

その上うえで「戦後せんご80年はちじゅうねんの節目ふしめで総理そうり大臣だいじんとしてメッセージを出だすべきだ。過去かこの反省はんせい、究極きゅうきょく的てきな恒久こうきゅう平和へいわや核かく廃絶はいぜつに向むけた思おもい、そして自分じぶんの国くには自分じぶんで守まもるという決意けついが盛もり込こまれればと願ねがっている」と述のべました。
国民こくみん玉木たまき代表だいひょう“日本にっぽんが果はたす役割やくわりさらに前まえに進すすめていくべき”
国民こくみん民主みんしゅ党とうの玉木たまき代表だいひょうは平和へいわ記念きねん式典しきてんに出席しゅっせきしたあと記者きしゃ団だんに対たいし「被爆ひばく80年はちじゅうねんの節目ふしめを迎むかえたが、核かく廃絶はいぜつに向むけた歩あゆみはいっそう厳きびしさを増ましている。日本にっぽんが被爆ひばくの実相じっそうを世界せかいに伝つたえることや、核かく保有ほゆう国こくと非ひ保有ほゆう国こくをつなぐ役割やくわりを果はたす重要じゅうよう性せいはより高たかまっている」と述のべました。

その上うえで「広島ひろしま市しの松井まつい市長しちょうから政府せいふに対たいし、来年らいねん行おこなわれる核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくの再さい検討けんとう会議かいぎにオブザーバー参加さんかするよう求もとめるあいさつがあったが、石破いしば総理そうりから主体しゅたい的てきな発信はっしんがなかったのは非常ひじょうに残念ざんねんだ。唯一ゆいいつの戦争せんそう被爆ひばく国こくとして、日本にっぽんが果はたす役割やくわりをさらに前まえに進すすめていくべきだし国民こくみん民主みんしゅ党とうもその役割やくわりを積極せっきょく的てきに果はたしたい」と述のべました。
式典しきてん会場かいじょうに高齢こうれい被爆ひばく者しゃなど向むけの優先ゆうせん入り口いりくち
平和へいわ記念きねん式典しきてんに参列さんれつする高齢こうれいの被爆ひばく者しゃや遺族いぞくなどが、炎天下えんてんかで長時間ちょうじかん待またされることがないよう、広島ひろしま市しは今回こんかい初はじめて優先ゆうせんの入り口いりくちを設もうけました。

式典しきてんの会場かいじょうの平和へいわ公園こうえんには、被爆ひばく者しゃや遺族いぞく、それに一般いっぱんの参列さんれつ者しゃなどのためにおよそ7000席ななせんせきが設もうけられ、周辺しゅうへんで多おおくの警察官けいさつかんが警戒けいかいにあたっているほか、入り口いりくちでは手荷物てにもつ検査けんさが行おこなわれています。

去年きょねんは参列さんれつ者しゃが炎天下えんてんかで長時間ちょうじかん待またされ、高齢こうれいの被爆ひばく者しゃなどが入場にゅうじょうをあきらめるケースもあったということで、広島ひろしま市しは今回こんかい初はじめて被爆ひばく者しゃや遺族いぞく、それに、高齢こうれい者しゃや障害しょうがいのある人ひとなどを対象たいしょうとした優先ゆうせん入り口いりくちを5か所ごかしょに設もうけました。

午前ごぜん6時ろくじに入場にゅうじょうが始はじまると、被爆ひばく者しゃや遺族いぞくなどはほとんど待まつことなく手荷物てにもつ検査けんさを受うけ、会場かいじょうに入はいっていきました。

82歳はちじゅうにさいの被爆ひばく者しゃの男性だんせいは、「去年きょねんは午前ごぜん6時ろくじの時点じてんですごい行列ぎょうれつができていて、1時間いちじかんから2時間にじかんほど待まって汗あせだくになりました。高齢こうれい者しゃや被爆ひばく者しゃには厳きびしかったので、改善かいぜんされてよかったです」と話はなしていました。

6日むいかの会場かいじょう周辺しゅうへんでは日ひ中ちゅうに気温きおんが上あがると予想よそうされていて、市しは去年きょねんに続つづいて霧きりを噴射ふんしゃする機器ききを設置せっちしたり、おしぼりを貸かし出だしたりしているほか、給水きゅうすい所しょを2か所にかしょに増ふやすなどして暑あつさ対策たいさくを取とっています。

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