「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で発生すると推計しているマグニチュード7クラスの大地震です。
内閣府の想定によりますと、東京が最大震度7の激しい揺れに襲われるなど関東南部で甚大な被害が発生し、最悪の場合、死者はおよそ2万3000人にのぼると想定されています。
▼今回の地震はマグニチュード5.9と推定され最大震度が5強だったのに対し、 ▼首都直下地震はマグニチュード7クラスで最大震度が7と想定され、一回り規模が小さくなっています。 今回の地震と首都直下地震との関係について気象庁の束田進也地震津波監視課長は「想定されている首都直下地震はもう少し浅くて大きな地震で、今回はそれより深い地震で規模も少し小さかったというふうに考えている」と述べました。
これについて気象庁の束田進也地震津波監視課長は、「特別な地震の仕組みで起こったというより地盤が昔の川沿いだったり、周囲に比べて地盤が軟らかい場所のため、震度が大きめに出た」と説明しています。 気象庁によりますと、今回の震源となった千葉県北西部では16年前の2005年7月にマグニチュード6.0の地震が発生していますが、この地震でも東京・足立区で最も大きい震度5強の揺れを観測していました。
「地盤しっかりしているから大したことなかった」 SNS上でこうした書き込みが相次いだ今回の地震。 揺れを左右したのは震源からの位置に加えて地盤、とくに、地表に近い「表層地盤」でした。 でも、地盤の“よしあし”は少し離れただけでも異なること、ご存じですか?最新の調査に基づく詳細なデータを確認してみてください。
一般に、地震は地震波が届く距離が近いほど大きく揺れます。 ただ、地盤の中でも地面に近い「表層地盤」に軟らかい粘土層などが堆積していると、揺れが増幅されやすいことがわかっています。
「微動アレイ」と呼ばれる高性能な地震計を使いました。
詳細なデータを反映させると、これまで見えてこなかった地域の特性が浮かび上がってきました。
今回震度5強を観測した足立区周辺も増幅率が大きいことが確認できます。 一方、川沿いであってもそこまで揺れやすくなかったり、一般的に地盤がかたいとされている台地であっても、揺れが増幅されたりすることもわかったということです。 東京の都心、文京区や台東区、荒川区の周辺では地域によって大きな違いが出ています。 防災科学技術研究所は、今後ほかの地域でも調査を進めていくことにしています。
建物には揺れやすい「周期」というものがあります。
地震の揺れにはさまざまな成分が含まれていて、地盤の性質によって、増幅される揺れが異なり、軟らかい地盤が厚いと、周期の長いゆっくりとした揺れが増幅されやすくなります。 つまり、固いとされる地盤だったとしても、揺れの周期と建物が持つ周期があう=共振が起きれば、建物の揺れは大きくなってしまうのです。 建物の特性を把握しておくことも重要です。
これらの地域の高層ビルの高層階などでは、物につかまらないと歩くことが難しく、棚にある食器類や本棚の本が落ちることがあるなど大きな揺れになった可能性があるということです。
盛り土によって造成された宅地です。 古い年代を中心に盛り土された宅地では、10年前の巨大地震を含め、これまで大地震で相次いで被害が確認されています。 大規模なものなど、一定の条件を満たす場合は自治体が調査し、公開されています。 盛り土だからといってすべて危険だというわけではありません。 また、マップに示されていない盛り土でも被害が起きていますので、限界があることに注意が必要です。 自宅や働いている場所、通っている学校の周辺がどうなっているのか、ぜひ一度確認してみてください。
気象庁は、今後1週間程度、特に2、3日は、今回と同程度の強い揺れを伴う 地震に注意し、倒れやすい家具を固定するなど対策をとるよう呼びかけています。 また、揺れの強かった地域では、落石や崖崩れの危険性が高まっている可能性があるので注意してください。
気象庁「首都直下地震はもう少し浅くて大きな地震」
プレート境界付近で起きた地震か
なぜ震源と離れた場所で震度5強
地盤の“よしあし”どう知る?
「表層地盤」軟らかい粘土層など堆積 揺れ増幅されやすい
関東で行われた調査で「揺れやすさ」明らかに
震度5強を観測した足立区周辺も増幅率が大きい
見方と注意点
「長周期地震動」 東京23区と千葉県北西部で階級2を観測
“盛り土”も被害に影響することも
気象庁「今後1週間程度 特に2、3日 地震に注意」