米べいロ高官こうかん会合かいごう 新あらたに交渉こうしょうチーム設置せっちで合意ごうい 停戦ていせん実現じつげんに向むけ

一方いっぽう、ウクライナはウクライナ抜ぬきで会合かいごうが行おこなわれたことに、改あらためて不快ふかい感かんを示しめしています。

サウジアラビアの首都しゅとリヤドで18日にち、行おこなわれた会合かいごうには、アメリカ側がわからルビオ国務こくむ長官ちょうかんや安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを担当たんとうするウォルツ大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんなどが、またロシア側がわからは、ラブロフ外相がいしょうや大統領だいとうりょう府ふで外交がいこう政策せいさくを担当たんとうするウシャコフ補佐ほさ官かんらが出席しゅっせきしました。

2022年ねん2月つきにロシアがウクライナに侵攻しんこうして以降いこう、アメリカとロシアの外相がいしょうが正式せいしきに会談かいだんしたのは初はじめてです。

それぞれの発表はっぴょうによりますと、会合かいごうでは停戦ていせんの実現じつげんに向むけた道筋みちすじを模索もさくするため、双方そうほうが新あらたに高官こうかん級きゅうの交渉こうしょうチームを設もうけることで合意ごういしました。

会談かいだん後ご、ウォルツ補佐ほさ官かんは今後こんご、領土りょうどやウクライナの安全あんぜん保障ほしょうについて議論ぎろんが行おこなわれることになるという見通みとおしを示しめした上うえで、最もっとも重要じゅうようなことは戦闘せんとうの終結しゅうけつだと改あらためて強調きょうちょうしました。

これに対にたいしてラブロフ外相がいしょうは、ロシア側がわは会合かいごうで「ウクライナのNATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうへの加盟かめいは、ロシアへの直接ちょくせつ的てきな脅威きょういとなる」と説明せつめいしたとしています。

一方いっぽう、今回こんかいの会合かいごうについて、ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうは「誰だれかが私わたしたちの知しらないところで何なにかを決きめるようなことがあってはならない。ウクライナ抜ぬきで、戦争せんそうを終結しゅうけつさせる方法ほうほうについて決定けっていを下くだすことはできない」と述のべ、改あらためて不快ふかい感かんを示しめしました。

また、今回こんかいの会合かいごうに先立さきだち、トランプ大統領だいとうりょうはプーチン大統領だいとうりょうとそう遠とおくない将来しょうらい、対面たいめんでの首脳しゅのう会談かいだんを行おこなう意向いこうを示しめしていましたが会談かいだんの日程にっていは決きまりませんでした。

米べい報道ほうどう官かん「協議きょうぎで4項目こうもくに合意ごうい」

アメリカ国務省こくむしょうのブルース報道ほうどう官かんは、アメリカとロシアの高官こうかんの協議きょうぎのあと声明せいめいを発表はっぴょうし、4つの項目こうもくについて両者りょうしゃが合意ごういしたと明あきらかにしました。

声明せいめいでは、まず米べいロ両国りょうこくの在外ざいがい公館こうかんの活動かつどうを正常せいじょう化かするために必要ひつような措置そちをとり、両国りょうこく関係かんけいを妨さまたげる要因よういんに対処たいしょする協議きょうぎの仕組しくみを設置せっちするとしています。

そしてウクライナでの戦闘せんとうについて、持続じぞく可能かのうで、すべての関係かんけい者しゃが受け入うけいれ可能かのうな形かたちでできるだけ早はやく終結しゅうけつさせるための作業さぎょうの開始かいしに向むけて、高官こうかん級きゅうのチームを任命にんめいするとしています。

またウクライナでの戦争せんそうを終おわらせることでもたらされる経済けいざいや投資とうしの機会きかい、さらに、地政学ちせいがく的てきな利害りがいをめぐる将来しょうらいの協力きょうりょくに向むけた基礎きそを築きずくとしています。

その上うえで「協議きょうぎに参加さんかしたすべての関係かんけい者しゃがこの過程かていが迅速じんそくかつ生産せいさん的てきに進すすむよう、引き続ひきつづき関与かんよしていくことを約束やくそくする」としています。

米べいルビオ国務こくむ長官ちょうかん「長ながく困難こんなんな道みちのりの第一歩だいいっぽ」

アメリカのルビオ国務こくむ長官ちょうかんは18日にち、ロシア側がわとの協議きょうぎのあと、同行どうこう記者きしゃ団だんの取材しゅざいに応おうじました。

この中なかでルビオ長官ちょうかんは、協議きょうぎについて「きょうの会合かいごうの目的もくてきは、トランプ大統領だいとうりょうが行おこなった電話でんわ会談かいだんを受うけて、意思いし疎通そつうの手段しゅだんの確立かくりつを始はじめることだった。作業さぎょうはまだ残のこっている。長ながく困難こんなんな道みちのりの第一歩だいいっぽだが、重要じゅうようなものだ」と述のべました。

そして「目標もくひょうは、公平こうへいかつ永続えいぞく的てきで、持続じぞく可能かのうな、すべての関係かんけい者しゃが受け入うけいれられる方法ほうほうで、この戦争せんそうを終おわらせることだ」と述のべて、ウクライナとロシア、そしてヨーロッパ各国かっこくが受け入うけいれ可能かのうな形かたちでの終結しゅうけつを目指めざすと強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、ルビオ長官ちょうかんは「戦争せんそうを終おわらせるためにはすべての関係かんけい者しゃが譲歩じょうほしなければならない」と述のべました。

また、ルビオ長官ちょうかんとともに記者きしゃ団だんの取材しゅざいに応おうじたホワイトハウスのウォルツ大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんは、トランプ大統領だいとうりょうとプーチン大統領だいとうりょうの対面たいめんでの首脳しゅのう会談かいだんについて「日付ひづけは決きめなかった」と述のべて、今回こんかいの協議きょうぎで会談かいだんの日程にっていについては決きめていないと説明せつめいしました。

ロシア ラブロフ外相がいしょう「米べい交渉こうしょうチーム分わかり次第しだい 参加さんか者しゃ決きめる」

ロシアのラブロフ外相がいしょうは会合かいごうの終了しゅうりょう後ご、記者きしゃ団だんに対にたいし、ウクライナでの早期そうきの停戦ていせんの実現じつげんに向むけて高官こうかんからなる交渉こうしょうのチームを任命にんめいすることでアメリカと合意ごういしたことについて「アメリカの交渉こうしょうチームの代表だいひょうの名前なまえと役職やくしょくが分わかりしだい、われわれの参加さんか者しゃを決きめる」と述のべ、アメリカ側がわの出方でかたを見極みきわめた上うえでロシア側がわの対応たいおうを決きめる方針ほうしんを明あきらかにしました。

また、ウクライナ情勢じょうせいをめぐりラブロフ外相がいしょうは、「アメリカ側がわはエネルギー施設しせつへの攻撃こうげきを停止ていしするよう提案ていあんした」と述のべました。

これに対にたいしロシア側がわは攻撃こうげき目標もくひょうとしているのはウクライナ軍ぐんに直接ちょくせつ、関係かんけいしているものだけで、住民じゅうみん向むけの施設しせつではないと主張しゅちょうしたとしています。

さらにロシア側がわはアメリカ側がわに対にたいし「ウクライナのNATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうへの加盟かめいは、ロシアへの直接ちょくせつ的てきな脅威きょういとなる」と説明せつめいしたとしています。

ゼレンスキー大統領だいとうりょう「ウクライナ抜ぬきで決定けってい下くだすことはできない」

ウクライナのゼレンスキー大統領だいとうりょうは、トルコで行おこなわれたエルドアン大統領だいとうりょうとの会談かいだん後ごの記者きしゃ会見かいけんで、サウジアラビアで行おこなわれたアメリカとロシアの会合かいごうについて「誰だれかが私わたしたちの知しらないところで何なにかを決きめるようなことがあってはならず、公平こうへいであるべきだ。ウクライナ抜ぬきで、戦争せんそうを終結しゅうけつさせる方法ほうほうについて決定けっていを下くだすことはできない。私わたしたちはこの会合かいごうに招待しょうたいされていなかった」と述のべ、改あらためて不快ふかい感かんをあらわにしました。

さらに、このあと予定よていしていたサウジアラビアへの訪問ほうもんを、来月らいげつ10日にちに延期えんきすることでサウジアラビアと合意ごういしたと明あきらかにしました。

ウクライナメディアなどはウクライナ抜ぬきの会合かいごうが行おこなわれたことを受うけて訪問ほうもんを延期えんきしたと伝つたえています。

フィンランド外相がいしょう“ウクライナ欧州おうしゅう抜ぬきで交渉こうしょう進すすめるべきでない”

協議きょうぎについて北欧ほくおうフィンランドのバルトネン外相がいしょうは「ウクライナとヨーロッパに関かかわることで、米べいロが合意ごういすることはあり得えない」と述のべ、ウクライナとヨーロッパ抜ぬきで停戦ていせん交渉こうしょうを進すすめるべきではないという考かんがえを示しめしました。

フィンランドのバルトネン外相がいしょうは18日にち、首都しゅとヘルシンキでNHKの単独たんどくインタビューに応おうじ、アメリカとロシアの外相がいしょうがウクライナ侵攻しんこうが始はじまってから初はじめて対面たいめんで正式せいしきに会談かいだんしたことについて「アメリカとロシアが話し合はなしあうことに反対はんたいするつもりはない。しかし、ウクライナとヨーロッパに関かかわることで、米べいロが合意ごういすることはあり得えない」と述のべ、ウクライナとヨーロッパ抜ぬきで停戦ていせん交渉こうしょうを進すすめるべきではないという考かんがえを示しめしました。

そして、アメリカのトランプ政権せいけんがウクライナのNATO＝北大ほくだい西洋せいよう条約じょうやく機構きこうへの加盟かめいや、領土りょうどの回復かいふくに否定ひてい的てきな姿勢しせいを示しめしていることを念頭ねんとうに「ここ数すう日にち、モスクワでは多おおくのシャンパンがあけられたはずだ。ロシアが望のぞんでいたとおりの多おおくの譲歩じょうほがアメリカの発言はつげんから出でてきたからだ」と指摘してきしました。

その上うえで「私わたしたちのアメリカへのメッセージはトランプ大統領だいとうりょうが話はなす強つよさによる平和へいわをいまこそ行動こうどうで示しめすべきだということだ。残念ざんねんながらロシアの脅威きょういは譲歩じょうほするだけではなくならない」と訴うったえ、侵攻しんこうの終結しゅうけつに向むけてはウクライナへの軍事ぐんじ支援しえんやロシアへの制裁せいさいを続つづけることが欠かかせないと強調きょうちょうしました。

《解説かいせつ アメリカ・ロシア それぞれの思惑おもわくは》

モスクワ支局しきょく 野田のだ順子じゅんこ支局しきょく長ちょう

今回こんかいの会合かいごうについて、ラブロフ外相がいしょうは「有意義ゆういぎだった」と述のべました。

欧米おうべいを中心ちゅうしんに経済けいざい制裁せいさいが強化きょうかされ、プーチン大統領だいとうりょうにはICC＝国際こくさい刑事けいじ裁判所さいばんしょから戦争せんそう犯罪はんざいなどの疑うたがいで逮捕たいほ状じょうが出だされるなどロシアは国際こくさい社会しゃかいから孤立こりつしてきました。

そうした中なかで、先週せんしゅうのプーチン大統領だいとうりょうとトランプ大統領だいとうりょうによる電話でんわ会談かいだんに続つづいて、今回こんかい、外相がいしょうらによる会合かいごうが行おこなわれ、考かんがえています。

ただ、ウクライナ情勢じょうせいについては強硬きょうこうな姿勢しせいを崩くずしていません。

ラブロフ外相がいしょうは「ウクライナのNATO加盟かめいは認みとめられない」と述のべ、ロシアが掌握しょうあくしたウクライナの領土りょうどについても譲歩じょうほする考かんがえはないと強調きょうちょうしています。

背景はいけいには、ウクライナ軍ぐんに人員じんいんと兵器へいきで勝まさるロシア軍ぐんがウクライナ東部とうぶを中心ちゅうしんに掌握しょうあく地域ちいきを拡大かくだいしていることがあります。

ロシアとしては停戦ていせんを急いそぐ必要ひつようは無なく、協議きょうぎが長引ながびけば、その間そのかんもウクライナへの攻撃こうげきをゆるめず、圧力あつりょくをかけ続つづけていくとみられます。

ワシントン支局しきょく 根本ねもと幸太郎こうたろう記者きしゃ

アメリカとしてはロシアとの直接ちょくせつ協議きょうぎに踏み切ふみきることで、事態じたい打開だかいに向むけた一いち歩ほを踏み出ふみだしたいという狙ねらいがあったとみられます。

ルビオ長官ちょうかんは協議きょうぎ後ご、記者きしゃ団だんに対にたいし「この3年間ねんかん、ウクライナでの戦闘せんとうは激はげしさを増ますばかりで、誰だれも終結しゅうけつに向むけたプロセスを始はじめられなかった」と協議きょうぎの開催かいさい自体じたいを成果せいかとして強調きょうちょうしました。

今月こんげつ12日にちのトランプ大統領だいとうりょうとプーチン大統領だいとうりょうの電話でんわ会談かいだん、そしてそのわずか6日にち後ごの今回こんかいの高官こうかん協議きょうぎからは、ロシア側がわとの協議きょうぎを通をつうじて、いち早いちはやく、終結しゅうけつに向むけた道筋みちすじを探さぐりたいというトランプ政権せいけんの思惑おもわくが伺うかがえます。

一方いっぽう、侵攻しんこうを受うける側がわのウクライナは領土りょうどの一部いちぶがロシア側がわに掌握しょうあくされる中なか、自分じぶんたちの意向いこうが反映はんえいされず、頭あたま越ごしに協議きょうぎが進すすめられるのではと反発はんぱつしています。

ルビオ長官ちょうかんは「すべての関係かんけい者しゃが受け入うけいれ可能かのうな形かたちでの終結しゅうけつを目指めざす」と強調きょうちょうしましたが、アメリカとウクライナとの間まにはすでに溝みぞができている状況じょうきょうで、戦闘せんとうの終結しゅうけつに向むけ、トランプ政権せいけんの狙ねらいどおりに進すすむかはまだ見通みとおせていません。