逮捕されたのは、風俗スカウトグループ「アクセス」のリーダー、遠藤和真容疑者(33)と、幹部の平良直也容疑者(31)、それに石山大樹容疑者(29)です。
警視庁によりますと、3人は去年8月、24歳の女性を埼玉県内の性風俗店に紹介し雇用させたとして職業安定法違反の疑いが持たれています。
調べに対し、遠藤容疑者と平良容疑者は容疑を認め、石山容疑者は黙秘しているということです。
また、警視庁は、グループから女性およそ80人の紹介を受けていた石川県加賀市片山津温泉にある性風俗店を摘発し、従業員2人を逮捕しました。
これまでの調べで「アクセス」にはおよそ300人のスカウトが所属し、全国のおよそ350店舗から、去年までの5年間におよそ70億円を受け取っていたとみられています。
遠藤容疑者をリーダーに、3つのチームに分けてスカウトごとに報酬を競わせ、このうち石山容疑者は毎月600万円余りの報酬を受け取っていたということです。
警視庁は特別捜査本部を設置し、引き続きグループの実態解明を進めています。
相次ぐスカウトグループ摘発 背景は
警察庁によりますと、おととしと去年の2年間に、女性客に売春をさせるなど、悪質なホストクラブが関係する事件で検挙されたのは293人に上り、このうち15人は女性客を性風俗店に紹介するなどしたスカウトでした。
スカウトグループの摘発は、全国で相次いでいて、警視庁によりますと、「アクセス」は46の都道府県にあるおよそ350店舗の性風俗店と契約し、去年までの5年間におよそ70億円の「スカウトバック」と呼ばれる報酬を受け取っていたとみられています。
また、香川県警が摘発したスカウトグループ「ナイツ」はおよそ4年間で6000人以上の女性を全国の性風俗店に紹介し、13億円以上の「スカウトバック」を受け取っていたとみられています。
さらに、警視庁などの合同捜査本部が摘発した国内最大規模のスカウトグループ「ナチュラル」は「スカウトバック」など年間およそ50億円を得ていた疑いがあり、その一部は暴力団に流れていたとみて、実態の解明を進めています。
スカウトグループが台頭した背景について、捜査関係者は「地方の性風俗店の多くは自力で女性を集めることができないため、スカウトに頼らざるを得ず、ホストクラブで借金を負った女性を紹介してもらう見返りに、『スカウトバック』を支払っている」としています。
現在の法律では性風俗店に違法なあっせんをして「スカウトバック」を受け取った側は罪に問われますが、支払った性風俗店側への規制はないため、政府は「スカウトバック」の支払いを禁止することを盛り込んだ風俗営業法の改正案をいまの通常国会に提出する方針です。