自身初となるタイトル防衛をかけた「棋聖戦」の五番勝負で、現役最強と言われる渡辺明三冠(37)に連勝し、3日静岡県沼津市で行われた第3局でも最終盤の熱戦を制しました。
これによってタイトル防衛を果たすとともに、「タイトル3期獲得」の条件を満たして、将棋の段位で最上位の「九段」昇段をいずれも史上最年少で決めました。
対局後は、ふだんどおりの睡眠が取れたという藤井二冠は一夜明けた4日午前、記者会見に臨み、「去年はタイトル戦自体初めての経験でなかなか実感がわかないところがあったんですけど、今回は防衛戦ということで、タイトルの重みを感じながらの戦いでもあったので、その中で結果を出せたことは大きなことだったと感じています」と今の心境を語りました。
また、対局のあと、師匠の杉本昌隆八段から祝福のメールが届いたことを語ったほか、師匠の段位を越えたことについて尋ねられると「師匠以上の活躍をすることも恩返しとも言われるので、そういう意味では、いい報告になったのかなと思います」と笑顔で話していました。
会見の写真撮影では、「初心」と記した色紙を胸に掲げ、そのことばに込めた意味について「今回は防衛できましたが、結果に満足することなく、初心に戻って前を向いていきたいという気持ちを込めました」と思いを語っていました。
この夏は、タイトル防衛をかけた「王位戦」七番勝負と、挑戦者として臨む「叡王戦」五番勝負で豊島将之二冠との対戦が続きます。
この“十二番勝負”については、「最大12局を対戦できる機会をいただけたことは自分にとってもすごくいい機会をもらえたと思っています。その中で新たな発見や手応えが得られればと思います」と意気込んでいました。