西之にしの島とう 観測かんそく史上しじょう最もっとも高たかい4700メートルの噴煙ふんえん 活発かっぱつな活動かつどう

気象庁きしょうちょうの気象きしょう衛星えいせい「ひまわり8号ごう」の観測かんそくでは、噴煙ふんえんは３さん日にち午後ごご3時じの時点じてんで、観測かんそく史上しじょう最もっとも高たかい4700メートルに達たっしていることが確認かくにんされました。

先月せんげつ29日にちの海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きによる調査ちょうさでは、島しまの中心ちゅうしん部ぶの火口かこうで連続れんぞく的てきに高温こうおんのマグマを噴き出ふきだす「ストロンボリ式しき」の噴火ふんかが起おきているのが確認かくにんされています。

また、火口かこうの壁かべを壊こわして島しまの南西なんせい側がわに大量たいりょうの溶岩ようがんが流れ出ながれだして海うみにまで到達とうたつし、現在げんざいも島しまが拡大かくだいしている様子ようすが確認かくにんされました。

西之にしの島とうについて気象庁きしょうちょうは「火口かこう周辺しゅうへん警報けいほう」を継続けいぞくし、山頂さんちょう火口かこうからおおむね2.5キロの範囲はんいで、大おおきな噴石せきや溶岩ようがん流りゅうに警戒けいかいするよう呼よびかけています。

噴煙ふんえんの高たかさや風向かざむきによっては、父島ちちじまなどで火山灰かざんばいが降ふるおそれがあり、気象庁きしょうちょうが発表はっぴょうする「降灰こうかい予報よほう」など最新さいしんの情報じょうほうに注意ちゅういが必要ひつようです。

専門せんもん家か「最大さいだい級きゅうの活動かつどう 注意深ちゅういぶかく監視かんし」

西之にしの島とうの観測かんそくを続つづけている東京とうきょう工業こうぎょう大学だいがくの野上のがみ健治けんじ教授きょうじゅは、現在げんざいの活動かつどうについて、「地下ちかから非常ひじょうに多おおくのマグマが供給きょうきゅうされたことで山やま体たいの一部いちぶが崩くずれてしまい、大量たいりょうの溶岩ようがんが島しまの南側みなみがわに流れ出ながれだしている状態じょうたいだ。噴煙ふんえんも非常ひじょうに高たかく、噴火ふんかが確認かくにんされて以降いこうでは、最大さいだい級きゅうの活動かつどうであるのは間違まちがいない」と話はなしています。

今後こんごの活動かつどうについては、「見通みとおすのは難むずかしい」としていますが、海底かいていから出でる火山かざんガスなどで海水かいすいが変色へんしょくする範囲はんいが今いまも広ひろがるなど、活動かつどうが静穏せいおんになる兆候ちょうこうは見みられていないということです。

このため野上のがみ教授きょうじゅは「火山灰かざんばいや溶岩ようがんを大量たいりょうに出だすような活動かつどうは、今後こんごもしばらくは続つづく可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

そのうえで、「火山灰かざんばいの下したではＧＰＳやレーダーが使つかえなくなる可能かのう性せいがあり、航空こうくう機きだけでなく周辺しゅうへんを通とおる船舶せんぱくも注意ちゅういが必要ひつようだ。火山かざんガスの二に酸化さんか硫黄いおうが大量たいりょうに放出ほうしゅつされると、父島ちちじまや母島ははじまに漂ただよってくる可能かのう性せいがあり、今後こんごも注意深ちゅういぶかく監視かんしする必要ひつようがある」と話はなしていました。

西之にしの島とう 6年ねん半はんの活動かつどう経過けいか

西之にしの島とうの噴火ふんか活動かつどうは、今いまから6年ねん半はん前まえの2013年ねん11月つきに始はじまりました。

＜2013年ねん11月つきに噴火ふんか＞

それまでにあった元もとの西之にしの島とうの南東なんとうの海底かいていで噴火ふんかが発生はっせいして新あらたな島しまが誕生たんじょうすると、翌よく12月つきには元もとの島しまとつながって地続じつづきになりました。

その後そのごも噴火ふんか活動かつどうは続つづき、流れ出ながれだした溶岩ようがんで島しまは拡大かくだいを続つづけ、▽半年はんとし後ごの2014年ねん5月つきには元もとの西之にしの島とうの4.8倍ばい、▽1年ねん後ごの2014年ねん10月つきには8.6倍ばい、▽1年ねん半はん後ごの2015年ねん5月つきには12倍ばいにまで大おおきくなりました。

およそ2年ねんにわたって溶岩ようがんを流ながし続つづけるような噴火ふんかは世界せかい的てきにも珍めずらしい現象げんしょうで、島しまの拡大かくだいに伴ともなって、日本にっぽんの領海りょうかいや排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきが広ひろがりました。

その後そのご、いったん噴火ふんか活動かつどうは静穏せいおんになりましたが、2017年ねん4月つきに再ふたたび噴火ふんかが確認かくにんされ、活動かつどうが4か月かげつほど続つづきました。

そして、おととし（2018年ねん）7月つきのごく小規模しょうきぼな噴火ふんかを最後さいごに、1年ねん半はんほどは噴火ふんかは確認かくにんされていませんでした。

＜2019年ねん12月つき以降いこう再ふたたび活動かつどう活発かっぱつに＞

ところが、去年きょねん（2019年ねん）12月つきに再ふたたび噴火ふんかが確認かくにんされると、ことし（2020年ねん）に入はいっても活動かつどうが続つづきます。

6月つきからは噴煙ふんえんの高たかさが1900メートルを超こえる噴火ふんかが相次あいつぎ、さらに活動かつどうが活発かっぱつ化かし、溶岩ようがんの流出りゅうしゅつによる島しまの拡大かくだいも続つづいています。