グテーレス事務総長は、ロシア側に軍事侵攻の前から自制を求めてきたほか、軍事侵攻以降も市民の犠牲を食い止めるための人道的な停戦を繰り返し呼びかけてきました。
新たに公開されたのは、3月22日と29日、それに4月15日にマリウポリの東およそ12キロの場所を撮影した合わせて5枚の画像で、敷地の一角が掘られ、徐々に拡大していく様子が確認できます。 マリウポリ市議会は22日、SNSに投稿し、新たに見つかったとする集団墓地は「少なくとも1000人の市民の遺体を収容できる」と指摘していて、ウクライナ側はロシア軍が各地で多数の遺体を埋葬し、戦争犯罪を隠蔽しようとしているとして、非難を強めています。
そのうえで「軍に必要な武器を供給するのはわが国にとって最も重要な任務だ。私たちの声を聞き入れ、求めたものを提供してくれた、すべてのパートナーに感謝する。これらの武器によって何千もの人たちの命を救えると確信している。占領者たちに対し、ウクライナから立ち退きを迫られる日が近づいていると示すことができる」と述べ、各国からの軍事支援の意義を強調しました。 また、ゼレンスキー大統領は「ロシア軍の目的は、ウクライナ南部の支配を確立し、モルドバ国境に到達することだという報道が伝えられた。私がこれまで何回も言ってきたように、ロシアにとってウクライナへの侵攻は始まりにすぎず、彼らはこのあとほかの国々も占領しようとしている」と述べ、ロシアによる軍事侵攻をわがことと捉えるよう、国際社会に改めて警鐘を鳴らしました。
ロシア軍の中央軍管区の高官は22日、ウクライナ南部の完全掌握を目指しているとしたうえで「沿ドニエストル地方に新たにアクセスする方法を得ることになる」と述べました。 沿ドニエストル地方はウクライナの西部国境に接し、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言し、ロシア軍が駐留しています。 モルドバ政府は22日に発表した声明で「発言は根拠がなく、国際的に認められた国境内でのモルドバの主権と領土保全を支持するロシアの立場と矛盾している」と発言を批判しました。 そのうえで「モルドバは憲法にそって中立国であり、この原則はロシアを含むすべての国際社会によって尊重されなければならない」と、ロシア大使に懸念を示したとしています。
国防省の発表によりますと、巡洋艦「モスクワ」は今月13日に起きた火災によって艦内の弾薬が爆発して大破し、乗組員が消火を試みたものの、失敗したとしています。 その結果、兵士1人が死亡し、27人の行方が分からなくなっているということです。 また、残りの乗組員396人は別の船で避難し、ロシアが一方的に併合した南部クリミアの軍港セバストポリに戻ったと説明していて「死者や行方不明者の家族には必要な支援を行っている」としています。 ロシア国防省はこれまで「乗組員は完全に避難した」として、死者が出ているかどうかを明らかにしていませんでしたが、ヨーロッパやロシアを拠点とする独立系メディアは、数十人の死者が出ていると報じていて、国防省の発表を疑問視する声が広がっていました。 一方、「モスクワ」の沈没について、ウクライナ側は対艦ミサイル「ネプチューン」で攻撃したとし、アメリカ国防総省もウクライナ軍による攻撃を確認したとしていますが、今回の発表でもロシア国防省はウクライナ軍から攻撃を受けたかどうかは言及していません。
26日は、36年前にチョルノービリ原発で史上最悪の事故が起きた日で、専門家チームは、原発に関わる重要な機器を届けるとともに、原発の状況の調査などを行うということです。 また、侵攻後に途絶えてしまった原発からIAEAの本部にデータを送るシステムの復旧作業にもあたるとしています。 チョルノービリ原発は、ことし2月にロシアの軍事侵攻が始まった直後から先月末までロシア軍に占拠され、IAEAは繰り返し原発の安全への懸念を示していました。 グロッシ事務局長は声明で「この2か月間、最悪のシナリオは避けられている。今後もその状況を続けるためさらに努力を重ねなければならない」と支援の必要性を強調しました。
そして「台湾は海峡の対岸の権威主義政権の重大な脅威に直面しているため、ウクライナの現在の境遇はひと事ではない」と述べ、中国への警戒感をあらわにしました。 そのうえで、ウクライナ国内の6か所の医療施設や首都キーウにあわせて800万ドル、日本円でおよそ10億円を提供すると表明しました。 これは今月1日までの1か月間、外交部の呼びかけに応じた台湾の人たちの寄付金およそ3300万ドルの一部で、クリチコ市長は「ウクライナの人たちは台湾の思いやりをいつまでも忘れないだろう」と感謝の気持ちを表したということです。 ウクライナは台湾と外交関係がなく、キーウには台湾の出先機関もありませんが、クリチコ市長は「戦争が終わったら呉部長をキーウに招待し、復興後の街を案内するのを楽しみにしている」と述べたということです。 ※ショウは「かねへん」に「りっとう」。
EU高官によりますと、会談はおよそ1時間半にわたって行われ、ミシェル大統領は正教会の復活祭にあわせて停戦を求めるとともに、マリウポリなどから市民が避難できるよう「人道回廊」の必要性も強調したということです。 また、ウクライナのゼレンスキー大統領から要請があったとして、プーチン大統領に対し、ゼレンスキー大統領と直接、対話するよう促したとしています。 ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は、首脳間の直接対話は停戦交渉の進展しだいだというこれまでの考えを改めて強調しました。 そして、ウクライナ側の姿勢には一貫性がなく、双方が受け入れられる解決策を模索する用意がないと批判したということです。
地域別でみると、 ▽キーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで1423人、 ▽東部のドネツク州とルハンシク州で1012人の死亡が確認されているということです。 また、けがをした市民は2946人にのぼるとしています。 しかし、東部のマリウポリなどでの死傷者の数について、国連人権高等弁務官事務所は、集計が遅れていたり、確認がまだ取れていなかったりして、今回の統計には含まれていないとしていて、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るとの見方を示しています。
また「さまざまな輸入部品や原料がなければ何も製造できない」と述べ、半導体や機械設備など、ロシアが輸入に頼っている製品が調達できないことで、ロシアの製造業に大きな影響が出るという見通しを示しました。こうした現状を踏まえモフチャン氏は「問題は、国際的な協力の枠組みの中で正常に発展させてきた国の経済を、たった一日で自給自足に変えてしまったことだ」と表現し、ロシア軍による侵攻開始を境にプーチン政権は、これまでの経済政策を大きく変更することを余儀なくされていると指摘しました。 一方、モフチャン氏は「ロシア経済にとって最も恐ろしいのは、ヨーロッパが『この供給国とは関係を持ってはいけない』と永遠に考えることだ」と述べ、ヨーロッパが、エネルギー分野でロシアへの依存から脱却を図る動きを進めることに強い危機感を示しました。 そして「いまロシアが軍を撤退させて『以前と同じようにしよう』と言ったとしても、もう元には戻せない」と述べ、プーチン政権と欧米との関係が回復できないレベルにまで悪化したことで、ロシアが経済の回復を目指す機会は、失われているという厳しい見方を示しました。
発言は今月13日の議会上院で、各国の輸出規制などを受けた対応を審議する中で出たもので、マトビエンコ議長は驚きの表情とともに「くぎまで輸入品だ」としたうえで「中小企業には、くぎを生産し、ロシア全土に供給するという課題を与える」と述べました。 そして「工作機械や電子機器など、重要な分野でも歯車が1つ足りないだけで生産を停止したところがある。われわれは今、『筋肉をつけて』より速く前へ進まなければならない」と危機感を表しました。 これに対してロシアの産業貿易省は「ロシアの企業は、くぎを十分に生産している」と反論しましたが、マトビエンコ議長はSNSで「華々しい発表をするよりも問題の分析に素早く取り組むべきだ」と批判しました。 中小企業の保護にあたる政府機関の代表が「課題を与える前に、国内で生産しても採算がとれるよう、条件を整備すべきだ」と発言するなど、くぎの生産をめぐって激しい議論になり、プーチン政権内で厳しい制裁に対するいらだちもうかがえます。 欧米側の制裁は失敗に終わったと、あくまで強気の姿勢を崩さないプーチン大統領は今月12日、ロシア極東で建設中の宇宙基地を訪れて新型ロケットの発射台などを視察し、ロシアは今も宇宙開発で世界をリードしているとアピールしました。
このうち、ロシア極東の中心都市ウラジオストクにある食料品などを扱う市場では、市民が商品を買い占めるなどの動きはないということです。 食料品店の店員は「商品の値段は一時とても上がりましたが、今は元に戻りました」と話し、パンの販売店の担当者も「値上げはしましたが、平均して4ルーブルから6ルーブル程度です。軍事作戦が始まった当初は少し不安がありましたが、いまは大丈夫です」と話していました。 買い物客の女性は「今は値上がりは感じません。今後も変わらないことを祈ります」と話していました。 一方、首都モスクワの中心部で市民に聞いたところ、20歳の女性は、「インフレの影響で、これまでよりずっと生活が苦しくなりました」と不満をもらしていました。 また、生活への影響について別の女性は、「マクドナルドがなくなり、うれしいです。子どもがフライドポテトではなく、私の手料理を食べるようになりました」と話すなど、外資系企業が相次いで撤退している影響はないと強調していました。 ただ、ロシア経済の専門家からは、ロシア政府がことしの経済成長率をマイナス10%程度、物価上昇率はおよそ20%に上るという見通しを示しているとして「かつてない危機だ」という見方が示されるなど、今後、市民の生活に影響が広がることも懸念されています。
そのうえで、一両日中にプーチン大統領とゼレンスキー大統領のそれぞれと電話会談する意向を示しました。 また、エルドアン大統領は、先月29日にイスタンブールで開かれた停戦交渉を引き合いに、双方の合意があれば、両国の大統領を招いた首脳会談の場を提供する考えを明らかにしました。
この中で「略奪者たちは、作戦の第2段階の目的がウクライナの東部と南部を占領することだと、もはや隠しもせず認めた。これこそ、まさに帝国主義だ」として、支配地域のさらなる拡大をめざすロシアを非難しました。
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ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
国連事務総長 プーチン大統領やゼレンスキー大統領と会談へ