ｉＰＳ細胞さいぼう使つかった臨床りんしょう研究けんきゅう申請しんせい 血液けつえきの難病なんびょう患者かんじゃに 京大きょうだい

こうした中なか、京都大きょうとだい学がく医学部いがくぶ附属ふぞく病院びょういんの高折たかおり晃あきら史し教授きょうじゅと京都きょうと大学だいがくｉＰＳ細胞さいぼう研究所けんきゅうじょの江藤えとう浩之ひろゆき教授きょうじゅのグループは、「再生さいせい不良ふりょう性せい貧血ひんけつ」で拒絶きょぜつ反応はんのうを起おこしやすい体質たいしつの患者かんじゃを対象たいしょうにｉＰＳ細胞さいぼうを使つかった臨床りんしょう研究けんきゅうを国くにに申請しんせいしたことがわかりました。

対象たいしょうとなる患者かんじゃは１いち人にんで、患者かんじゃの血液けつえきから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうを元もとに血小板けっしょうばんを大量たいりょうに作つくり、３さん回かいにわたって徐々じょじょに量りょうを増ふやしながら投与とうよして安全あんぜん性せいと効果こうかを確認かくにんします。

患者かんじゃ自身じしんから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうを使つかうため拒絶きょぜつ反応はんのうはほとんどないと考かんがえられるということで、グループではｉＰＳ細胞さいぼうの特性とくせいをいかした臨床りんしょう研究けんきゅうだとしています。国くには近ちかく審議しんぎをはじめ、グループは了承りょうしょうされれば今年度こんねんど中ちゅうに患者かんじゃへの投与とうよを始はじめたいとしています。

課題かだいは血小板けっしょうばんの安全あんぜん性せい

今回こんかいの臨床りんしょう研究けんきゅうは「再生さいせい不良ふりょう性せい貧血ひんけつ」という難病なんびょうでしかも特殊とくしゅな体質たいしつの患者かんじゃ１いち人にんを対象たいしょうに行おこないます。

再生さいせい不良ふりょう性せい貧血ひんけつは、骨髄こつづいの中なかにある造血ぞうけつ幹みき細胞さいぼうという、血液けつえきの成分せいぶんや血球けっきゅうを作り出つくりだす細胞さいぼうが働はたらかなくなることで起おこります。

血液けつえき中ちゅうの血小板けっしょうばんなどの数かずが少すくなくなって出血しゅっけつしやすくなり、重症じゅうしょう化かすると脳のうなどでも出血しゅっけつを起おこす危険きけん性せいが高たかまるため、血小板けっしょうばんの輸血ゆけつをするなどして症状しょうじょうの改善かいぜんを図はかる治療ちりょうが行おこなわれます。

ところが、今回こんかいの臨床りんしょう研究けんきゅうの対象たいしょうとなる患者かんじゃは拒絶きょぜつ反応はんのうが起おきやすい体質たいしつがあり、血小板けっしょうばんの輸血ゆけつを受うけることができません。

京都大きょうとだい学がくのグループは患者かんじゃ自身じしんの血液けつえきから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうを元もとに血小板けっしょうばんを作り出つくりだし、３さん回かいにわけて徐々じょじょに量りょうを増ふやしながら投与とうよする計画けいかくで、最もっとも量りょうが多おおい３さん回かい目めには血小板けっしょうばんおよそ1000億おく個こを投与とうよして安全あんぜん性せいと効果こうかを検証けんしょうします。

グループでは、拒絶きょぜつ反応はんのうが起おきにくい患者かんじゃ自身じしんの細胞さいぼうから作り出つくりだすことができるｉＰＳ細胞さいぼうの特性とくせいを生いかした臨床りんしょう研究けんきゅうとしてこれまでにないものだとしています。

課題かだいは投与とうよした血小板けっしょうばんの安全あんぜん性せいです。

血小板けっしょうばんは血液けつえきを固かためる成分せいぶんなので適切てきせつに機能きのうしないと血管けっかんを詰つまらせる原因げんいんにもなるため、血液けつえきの中なかで正常せいじょうに機能きのうするか安全あんぜん性せいを十分じゅうぶんに確認かくにんすることが必要ひつようになります。

「拒絶きょぜつ反応はんのう起おきにくい」ｉＰＳ細胞さいぼうの特性とくせい生いかす

ｉＰＳ細胞さいぼうを使つかった再生さいせい医療いりょうの臨床りんしょう応用おうようは、４よん年ねん前まえから神戸こうべ市しにある理化りか学がく研究所けんきゅうじょなどのグループが、重おもい目めの病気びょうきの６ろく人にんの患者かんじゃに対にたいして臨床りんしょう研究けんきゅうを行おこなっています。

目めはヒトの組織そしきや臓器ぞうきの中なかでも拒絶きょぜつ反応はんのうが比較的ひかくてき起おきにくいとされていて、ｉＰＳ細胞さいぼうは患者かんじゃ自身じしんの細胞さいぼうだけでなく他人たにんの細胞さいぼうから作つくったものも使つかわれました。

その後そのご、重おもい心臓しんぞう病びょうや難病なんびょうのパーキンソン病びょうの臨床りんしょう応用おうようも続つづいていますが、計画けいかくではいずれも他人たにんの細胞さいぼうから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうを使つかうことにしています。

他人たにんの細胞さいぼうから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうは事前じぜんに必要ひつような検査けんさを行おこなって備蓄びちくされていて、患者かんじゃ本人ほんにんからｉＰＳ細胞さいぼうを作つくる場合ばあいに比くらべてコストを抑おさえることができるほか、治療ちりょうを開始かいしするまでの時間じかんも短みじかくすることができます。

しかし本人ほんにんの細胞さいぼうではないため、移植いしょくした際さいに起おきる免疫めんえきによる拒絶きょぜつ反応はんのうを薬くすりなどで抑おさえる必要ひつようがあるほか、拒絶きょぜつ反応はんのうが起おきやすい状況じょうきょうでは薬くすりでも完全かんぜんに抑おさえることは難むずかしいとされています。

今回こんかいの臨床りんしょう研究けんきゅうでは、対象たいしょうとなる患者かんじゃは拒絶きょぜつ反応はんのうを起おこしやすい体質たいしつのため、拒絶きょぜつ反応はんのうが起おきにくい患者かんじゃ自身じしんの細胞さいぼうから作つくったｉＰＳ細胞さいぼうを使つかう計画けいかくで、ｉＰＳ細胞さいぼうの特性とくせいをいかしたものになっています。