欧米おうべいの学術がくじゅつ機関きかんは政府せいふから独立どくりつ 日本にっぽんとの違ちがいは

アメリカの学術がくじゅつ機関きかんは

アメリカの学術がくじゅつ機関きかん、「アメリカ科学かがくアカデミー」は、南北なんぼく戦争せんそうのさなかの1863年ねん、政府せいふなどに対にたいして科学かがくや技術ぎじゅつに関にかんする専門せんもん的てきな助言じょげんを行おこなう組織そしきとして当時とうじのリンカーン大統領だいとうりょうが法律ほうりつに署名しょめいして設立せつりつされました。

政府せいふから独立どくりつした非ひ営利えいり組織そしきで、連邦れんぽう政府せいふや議会ぎかいなどから依頼いらいを受うけ、現在げんざいでは、同様どうようの組織そしきの「アメリカ工学こうがくアカデミー」と「アメリカ医学いがくアカデミー」とともに、科学かがくや技術ぎじゅつに関にかんする幅広はばひろい政策せいさく課題かだいに関にかんして、2019年ねんには7000人にん以上いじょうの会員かいいんの科学かがく者しゃや技術ぎじゅつ者しゃが無む報酬ほうしゅうで協力きょうりょくし、政策せいさく提言ていげんや助言じょげんを年間ねんかん数すう百ひゃく件けん行おこなっています。

財源ざいげんは、助成じょせい金きんや、助言じょげんを行おこなった際さいに支払しはらわれる対価たいか、それに寄付きふなどでウェブサイトによりますと、2018年ねんは3つのアカデミー合あわせて連邦れんぽう政府せいふからおよそ2億おくドル、日本にっぽん円えんで210億おく円えん余あまり、民間みんかんなどからおよそ5500万まんドル＝58億おく円えん近ちかい収入しゅうにゅうを得えています。

アメリカ科学かがくアカデミーは、およそ2900人にんいる会員かいいんのうち、およそ190人にんがノーベル賞しょう受賞じゅしょう者しゃで、世界せかい各国かっこくの研究けんきゅう者しゃが競きそって研究けんきゅう成果せいかを発表はっぴょうする、評価ひょうかの高たかい科学かがく雑誌ざっし、「アメリカ科学かがくアカデミー紀要きよう」を発行はっこうするなど、世界せかい有数ゆうすうの学術がくじゅつ団体だんたいとして国際こくさい的てきに認識にんしきされています。

イギリスの学術がくじゅつ機関きかんは

イギリスには、世界せかいで最もっとも伝統でんとうのある学術がくじゅつ機関きかん「王立おうりつ協会きょうかい」があり、当時とうじの国王こくおう、チャールズ2世せいから認可にんかを得えて、1660年ねんに設立せつりつされました。

1703年ねんには万有ばんゆう引力いんりょくの法則ほうそくを発見はっけんしたニュートンが会長かいちょうを務つとめています。

設立せつりつの経緯けいいから名称めいしょうは「王立おうりつ」となっていますが、民間みんかんの非ひ政府せいふ組織そしきとして活動かつどうしていて、ウェブサイトには、最初さいしょのページに「私わたしたちは、人類じんるいのために科学かがくの発展はってんに寄与きよする独立どくりつした科学かがくアカデミーです」と記しるされています。

およそ1600人にんの会員かいいんのうち、およそ70人にんがノーベル賞しょう受賞じゅしょう者しゃで、政府せいふや議会ぎかいなどから依頼いらいを受うけたり、団体だんたいみずからが働はたらきかけたりして、科学かがくや技術ぎじゅつに関にかんする政策せいさく提言ていげんを行おこなっています。

2018年ねんには政府せいふからの助成じょせい金きんや基金ききんからの収入しゅうにゅう、それに寄付きふなどで合あわせて年間ねんかん9830万まんポンド＝およそ135億おく円えんの収入しゅうにゅうを得えています。

海外かいがいの学術がくじゅつ機関きかんの動向どうこうに詳くわしい科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう研究けんきゅう開発かいはつ戦略せんりゃくセンターの永野ながの博ひろし特とく任にんフェローによりますと「アメリカ科学かがくアカデミー」や「王立おうりつ協会きょうかい」など先進せんしん国こくの学術がくじゅつ機関きかんはほとんどが民間みんかん団体だんたいで、「日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ」のように政府せいふ機関きかんとして設置せっちされ、全額ぜんがく国費こくひでまかなわれ、運営うんえいされているのは珍めずらしいということです。

日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎは

日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎの予算よさんは、およそ年間ねんかん10億おく円えんと欧米おうべいの学術がくじゅつ機関きかんに比くらべると大幅おおはばに少すくなくなっています。

また、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎは会員かいいんが210人にん、連携れんけい会員かいいんがおよそ2000人にんで、会員かいいんは任期にんきが6年ねんとなっていて、3年ねんごとに半数はんすうが入れ替いれかわるのに対にたいし、各国かっこくでは終身しゅうしん制せいを採用さいようしているところが大半たいはんだということです。

さらに、各国かっこくの学術がくじゅつ機関きかんは、議会ぎかいに対にたいしても、働はたらきかけたり、依頼いらいを受うけたりするなど、関係かんけいを持もちながら提言ていげんを行おこなっていますが、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎの場合ばあい、法律ほうりつの規定きていで「内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの所轄しょかつ」となっていて政府せいふ機関きかんとされていることから、国会こっかいとの関係かんけいが薄うすく、「政治せいじ家かが科学かがく者しゃの意見いけんを広ひろく聞きく体制たいせいになっていない」と指摘してきしています。

永野ながの特とく任にんフェローは、「先進せんしん国こくでは、科学かがくが社会しゃかいの中なかで地位ちいを高たかめていく中なかで、自然しぜん発生はっせい的てきに学術がくじゅつ団体だんたいが結成けっせいされ、政府せいふから独立どくりつした組織そしきとして存在そんざいしている。設置せっちの経緯けいいや組織そしきの形態けいたいの違ちがいはあるが、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎも運営うんえいの独立どくりつ性せいが『日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎ法ほう』に基もとづいて担保たんぽされるべきで、政府せいふは会員かいいんの候補こうほを任命にんめいしなかった理由りゆうをきちんと説明せつめいする必要ひつようがある」と話はなしています。