それによりますとことし6月の給与総額は去年の同じ月を上回り、問題となった手法で調査した場合よりも高くなったことが分かりました。
「本来ルール」では約1000円高く
厚生労働省が全国のおよそ3万1000の事業所を対象に行った「毎月勤労統計調査」の速報値によりますと、ことし6月の給与総額は基本給やボーナス、それに残業代などをあわせた働く人1人あたりの平均で45万1918円でした。
これは去年の同じ月を0.4%上回り、去年12月以来6か月ぶりにプラスになっています。
一方、物価の変動分を反映した実質賃金は去年を0.5%下回りました。
この調査をめぐっては、従業員500人以上の大規模な事業所についてすべて調査することになっているにも関わらず平成16年以降、都内で3分の1を抽出する不正が行われていたことが分かり、今回の調査から本来のルールに改められました。
厚生労働省によりますと問題となった大規模事業所を抽出する手法で調査した場合と比べると、給与総額はおよそ1000円高くなったということです。
厚生労働省は「抽出調査では賃金の高い大規模事業所が対象から外れていたため、すべてを調査したことで給与総額が高くなったとみられる。今後も調査を続けて推移をみていきたい」としています。
“全数調査”と“抽出調査” 比較すると…
今回の調査では本来のルールにのっとって大規模事業所を全数調査した結果とは別に、東京にある大規模事業所のうち3分の1ほどを抽出する手法で調査した場合の結果も参考として公表されました。
2つの調査結果を詳しく比較してみます。
まず、調査対象となる事業所の数は▽大規模事業所を全数調査した場合、中小も含めて3万955。一方、▽抽出調査では824少ない3万131でした。
基本給やボーナス、それに残業代などをあわせたことし6月の給与総額は、全数調査では働く人1人あたりの平均で45万1918円で、去年の同じ月を0.4%上回りました。
このうち▽基本給など決まって支給される給与は26万6089円で去年の同じ月と同じ水準に、▽ボーナスなど特別に支払われた給与は18万5829円で0.9%上回っています。
一方、抽出調査では給与総額は45万934円で、全数調査と比べて984円低くなり、去年の同じ月と比べて0.1%の増加にとどまっています。
また、このうち▽決まって支給される給与は26万5588円(前年同月比マイナス0.2%)▽特別に支払われた給与は18万5346円で(前年同月比プラス0.6%)、いずれも本来のルールどおり大規模事業所をすべて調査した場合と比べて金額が低くなっています。
今回の調査結果は速報値のため、報告が遅れている事業所などのデータを加えた最終的な結果は数値が変動する可能性があります。
今回の結果について厚生労働省は、「抽出調査では例年1月に対象となる大規模事業所を入れ替えていて、ことし1月の入れ替えで給与の高い事業所が対象から外れたため、給与総額が先月まで5か月連続で去年の同じ月と比べてマイナスになっていた。しかし、今回から全数調査になったことで、給与が高い事業所が再び対象に含まれ、抽出調査より高い数値になったと考えられる」としています。
(1月:ー0.6、2月:ー0.7、3月:ー1.3、4月:ー0.3、5月:ー0.5)