日本新闻: なぜ？震災遺構が「グッドデザイン賞」受賞

なぜ？震災しんさい遺構いこうが「グッドデザイン賞しょう」受賞じゅしょう

Oct 28, 2020 12:10

Furigana

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの津波つなみで被災ひさいし、先月せんげつから震災しんさい遺構いこうとして公開こうかいされている宮城みやぎ県けん山元やまもと町まちの中浜なかはま小学校しょうがっこうが優すぐれたデザインの建築けんちく物ぶつなどに贈おくられる今年度こんねんどの『グッドデザイン賞しょう』に選えらばれました。『グッドデザイン賞しょう』は、日本にっぽんデザイン振興しんこう会かいがさまざまな分野ぶんやで暮くらしや社会しゃかいを豊ゆたかにする優すぐれたデザインや活動かつどうなどを毎年まいとし、表彰ひょうしょうしています。

今年度こんねんどは、宮城みやぎ県内けんないから18件けんが選えらばれ、先月せんげつ26日にちから震災しんさい遺構いこうとして一般いっぱん公開こうかいが始はじまった山元やまもと町まちの中浜なかはま小学校しょうがっこうも受賞じゅしょうしました。

平成へいせい元年がんねんに建たてられた校舎こうしゃは、住民じゅうみんの意見いけんをもとに、敷地しきち全体ぜんたいをおよそ2メートルかさ上あげしたほか、避難ひなん用ようの外そと階段かいだんを設もうけるなど津波つなみへの対策たいさくが事前じぜんに取とられていました。

震災しんさいでは高たかさ10メートルを超こえる津波つなみに襲おそわれましたが、屋上おくじょうの屋根裏やねうら倉庫そうこに避難ひなんした児童じどうや地域ちいきの住民じゅうみんなど90人にんは全員ぜんいん助たすかりました。

震災しんさい遺構いこうとなった校舎こうしゃは、津波つなみの爪痕つめあとをありのままに伝つたえようとほぼ被災ひさい直後ちょくごの状態じょうたいで保存ほぞんされていて、審査しんさ委員いいんからは「津波つなみの脅威きょういを示しめすにとどまらない学まなびの機会きかいを提供ていきょうしている」と評価ひょうかされました。

中浜なかはま小学校しょうがっこうには公開こうかいから1か月かげつでおよそ4600人にんが訪おとずれていて、町まちでは今後こんご、修学しゅうがく旅行りょこうを本格ほんかく的てきに受け入うけいれ、防災ぼうさい学習がくしゅうの場ばとして活用かつようしていきたいとしています。

審査しんさ委員いいん“この種たねの施設しせつ整備せいびのひとつのモデル提示ていじ」

日本にっぽんデザイン振興しんこう会かいのホームページによりますと、中浜なかはま小学校しょうがっこうへの審査しんさ委員いいんの評価ひょうかは以下いかのとおりです。

「震災しんさいの記憶きおくを後世こうせいに残のこすための施設しせつとしては、さまざまな点てんで他たに類るいを見みない特徴とくちょうを持もっているといえよう。整備せいびにあたって、役所やくしょや専門せんもん家かや教員きょういんや住民じゅうみんの意見いけん交換こうかんを重かさねたという丁寧ていねいなプロセス、新あらたな条例じょうれいによって震災しんさい文化財ぶんかざいをそのまま見みせることができるようにした制度せいど的てきな発想はっそう、役所やくしょの各課かくかが分掌ぶんしょうを超こえて協力きょうりょくしたプロジェクトである点てんなど、プロセスにおける柔軟じゅうなんな発想はっそうが出来上できあがった空間くうかんの質しつを格段かくだんに高たかめている。この種たねの施設しせつを整備せいびする際さいの、ひとつのモデルを提示ていじしたプロジェクトである」