香港政府が
民主派の
議員4
人の
資格を
失効させたことについて、
欧米各国は、
香港の
高度な
自治を
約束した
一国二制度を
放棄するものだとして、
中国への
批判を
一斉に
強めています。
中国の
全人代=
全国人民代表大会の
常務委員会は、11
日、
香港の
議会にあたる
立法会の
議員について、「
国家の
安全に
危害を
加えた
場合」
などに
議員の
資格を
失うとする
新たな
基準を
示し、
これを
受けて
香港政府は
民主派の
議員4
人の
資格を
失効させました。
香港の民主派の議員団15人はこれに抗議し、12日、辞表を提出することにしています。
これについて、アメリカのホワイトハウスで安全保障問題を担当するオブライエン大統領補佐官は11日、声明を発表し、「中国政府が国際的な約束をあからさまに破ったことは疑いようがない。『一国二制度』は中国が一党独裁を香港に拡大するための隠れみのになっている」と強く批判しました。
また、イギリスのラーブ外相も声明で、「香港返還の際、中国との間で確認した香港の高度な自治や自由へのさらなる攻撃だ」と厳しく批判したほか、オーストラリアのペイン外相も非難声明を発表しています。
今回、新たに示された議員資格の剥奪に関する基準は、ことし6月末に施行された香港国家安全維持法に続く、中国による統制の強化で、欧米各国は中国が「一国二制度」を放棄しているとして一斉に批判を強めています。
中国政府「議員辞職は茶番劇」
中国政府で香港問題を担当する国務院香港マカオ事務弁公室の報道官は「中央の権力と香港基本法の権威に公然と挑戦するものであり、厳しく非難する」とする談話を出しました。
談話では、「この茶番劇は、一部の反対派議員が政治的な私欲のために市民の利益を顧みない本性を暴露したものだ」と指摘したうえで、「これによって抗争を扇動し、外部勢力の関与を求め、香港を再び混乱に引きずり込もうとするならばそれは間違いであり、中央政府と香港政府が混乱を収拾する決意はいささかも揺らぐことはない」と警告しています。
豪外相「民主化を深刻に傷つけるもの」
オーストラリアのペイン外相は12日、声明を発表し、「香港の民主化を深刻に傷つけるものだ」として中国を非難しました。そのうえでペイン外相は「立法会が、香港の人々にとっての政治的な表現の場であり続け、『一国二制度』の支えとしての役割を果たし続けられるよう、当局者に求める」としています。
加藤官房長官「重大な懸念 今後の動向を注視」
加藤官房長官は、午前の記者会見で、「昨今の香港情勢には重大な懸念を強めており、今後の動向を注視している。香港は、わが国にとって緊密な経済関係や人的交流を有する、極めて重要なパートナーであり、一国二制度のもとに自由で開かれた体制が維持され、民主的で安定的に発展していくことが重要だというのが、わが国の一貫した立場だ」と述べました。
そのうえで、「考え方を、中国側にもさまざまな機会に伝達してきているが、引き続き機会を捉えて、伝達していきたい。また、関係国とも連携し、適切な対応を図りたい」と述べました。