日本を
訪れていたローマ・カトリック
教会のフランシスコ
教皇はバチカンに
帰国する
機中で
記者会見を
行い、
被爆地への
訪問について「
広島での
経験は
心を
動かされた」と
振り返りました。
今後、カトリックの
教えの
中で
核兵器の
使用と
保有が
倫理に
反すると
明記することを
明らかにし、
核兵器の
廃絶に
向けた
行動につなげたい
考えを
示しました。ローマ
教皇として38
年ぶりの
訪日を
果たしたフランシスコ
教皇は、26
日、バチカンに
帰国する
機中で
同行する
記者団に対し
会見を
行いました。
この中でフランシスコ教皇は被爆地の長崎と広島への訪問を振り返り、「ともに原爆の被害を受けていることでは同じだが、長崎は原爆だけでなくキリスト教徒の街ということで違いがある」と述べたうえで、数世紀にわたるキリスト教徒への迫害の歴史に「強く胸を打たれた」と明かしました。
そして、被爆者とことばを交わし証言を聞いた広島については「広島での経験は心を動かされた。だからこそ核兵器の使用は倫理に反すると強調した」と述べました。
そのうえで今後、カトリックの教えの中で核兵器の使用と保有が倫理に反すると明記することを明らかにし、核兵器の廃絶に向けた行動につなげたい考えを示しました。
一方で、原子力発電所については核兵器とは違うとしながらも「個人的な意見だが完全に安全性が確認されるまでは原子力は利用しない」と述べて利用していくには安全性を高めていく必要があると強調しました。
また、東京ドームでのミサに参加した、いわゆる「袴田事件」で死刑が確定し、無実を訴えている袴田巌さんとの面会が実現しなかったことについては、フランシスコ教皇は袴田さんのことをミサの後で知ったとしています。
ただ、死刑制度については安倍総理大臣との会談で取り上げたということで、全世界での死刑の廃止に取り組んでいく考えを改めて示しました。
「北京に行きたい」
フランシスコ教皇は中国にいつ行くのかと問われると「北京に行きたい。中国は大好きだ」と応じました。
中国では内政干渉を理由にローマ教皇が国内のカトリック教会の司教を任命することを拒否してきました。
このため中国では政府公認の教会と、教皇に忠誠を誓ういわゆる地下教会が対立してきましたが去年、司教の任命方法でバチカンと中国が暫定合意しています。
ただ、バチカンはヨーロッパで唯一、台湾と外交関係を維持する一方、中国とは結んでおらず、訪問の実現には多くの課題が残されています。