「ゲーム依存いぞん」初はつの全国ぜんこく調査ちょうさ 長時間ちょうじかんほど仕事しごとや健康けんこうに悪あく影響えいきょう

全国ぜんこく調査ちょうさは、無む作為さくいに抽出ちゅうしゅつした10歳さいから29歳さいまでのうち過去かこ１いち年間ねんかんにゲームをしたと回答かいとうした4400人にん余あまりを対象たいしょうに行おこなわれました。

それによりますと、ゲームに費ついやす時間じかんは平日へいじつで１いち日にち当あたり、

▽１いち時間じかん未満みまんが40.1％ともっとも多おおかった一方いっぽう、

▽１いち時間じかん以上いじょう、２に時間じかん未満みまんが27.1％、

▽２に時間じかん以上いじょう、３さん時間じかん未満みまんが14.6％などとなっていて、

▽６ろく時間じかん以上いじょうと回答かいとうした人ひとも2.8％いました。

また、ゲームをする時間じかんが長ながいほど生活せいかつへの影響えいきょうが大おおきくなっていて、「ゲームをやめなければいけないときにやめられなかった」と回答かいとうした人ひとは、１いち日にちのゲームの時間じかんが１いち時間じかん未満みまんの人ひとでは21.9％だったのに対にたいし、６ろく時間じかん以上いじょうの人ひとでは45.5％でした。

このほか「学業がくぎょうに悪あく影響えいきょうがでたり、仕事しごとを失うしなったりしてもゲームを続つづけた」という人ひとは、１いち時間じかん未満みまんで1.7％でしたが、６ろく時間じかん以上いじょうでは24.8％。

「睡眠すいみん障害しょうがいや憂ゆううつなど心こころの問題もんだいが起おきてもゲームを続つづけた」人にんは、１いち時間じかん未満みまんで2.4％、６ろく時間じかん以上いじょうで37.2％でした。

「社会しゃかい全体ぜんたいで対策たいさくに取り組とりくむことが重要じゅうよう」

調査ちょうさを行おこなった国立こくりつ病院びょういん機構きこう久里浜くりはま医療いりょうセンターの樋口ひぐち進すすむ院長いんちょうは「ゲーム障害しょうがいや依存いぞん症しょうを治療ちりょうするためのガイドラインはほとんどなく、今後こんご、調査ちょうさ結果けっかを治療ちりょうに生いかしていきたい」と話はなしています。

また樋口ひぐち院長いんちょうは「ゲーム依存いぞんで治療ちりょうに来くる人ひとの数かずは急増きゅうぞうしていて問題もんだいは深刻しんこく化かしていると感かんじる。中なかには小学しょうがく２に年生ねんせいがゲーム依存いぞんになって昼夜ちゅうや逆転ぎゃくてんした生活せいかつになり学校がっこうに行いけなくなったケースもあった」と話はなしています。

そのうえで「睡眠すいみん不足ふそくや食事しょくじが不ふ規則きそくになることに加くわえ体たいを動うごかさないから体力たいりょくも低下ていかする。骨ほね密度みつども正常せいじょうよりも低ひくく体からだのあちこちに痛いたみがくる」と健康けんこうへのさまざまな影響えいきょうについても指摘してきしています。

さらに、海外かいがいでは長時間ちょうじかん、同おなじ姿勢しせいでゲームをし続つづけることで血管けっかんの中なかに血液けつえきの塊かたまりができる「エコノミークラス症候しょうこう群ぐん」になったケースもあるとして、深刻しんこくな場合ばあいは死亡しぼうすることもあると警鐘けいしょうを鳴ならしています。

樋口ひぐち院長いんちょうは「ゲーム関連かんれんの事業じぎょう者しゃも含ふくめて社会しゃかい全体ぜんたいで依存いぞん対策たいさくに取り組とりくむことが重要じゅうようだ」と話はなしています。

健康けんこう損そこなっても続つづけてしまう「ゲーム障害しょうがい」

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんは、ことし５月ごがつ、ゲームに依存いぞんしている状態じょうたいを「ゲーム障害しょうがい」として治療ちりょうが必要ひつようなけがや病気びょうきを分類ぶんるいするガイドライン＝「国際こくさい疾病しっぺい分類ぶんるい」に新あらたに加くわえました。

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-の定義ていぎする「ゲーム障害しょうがい」は、テレビやパソコンなどでゲームをしたい欲求よっきゅうを抑おさえられない状態じょうたいを指さし、具体ぐたい的てきには、ゲームをする頻度ひんどや長ながさ、やめるタイミングなどを自分じぶんでコントロールすることができず、健康けんこうを損そこなうなどの影響えいきょうが出でているにもかかわらずゲームを続つづけてしまう状態じょうたいが少すくなくとも１いち年ねん以上いじょう続つづいて、家族かぞく関係かんけいや社会しゃかい的てきな生活せいかつに影響えいきょうを及およぼしている状態じょうたいとしています。

ゲームへ依存いぞんする状態じょうたいが病気びょうきとしてガイドラインに加くわえられたことで世界せかい的てきに調査ちょうさや研究けんきゅうが進すすむことが期待きたいされるとともに、対策たいさくが求もとめられています。

ゲーム依存いぞんの男性だんせい「早はやく元もとの生活せいかつに」

神奈川かながわ県内けんないに住すむ滝沢たきざわ拳こぶし一いちさん（28）は、深刻しんこくなゲーム依存いぞんになり、現在げんざい、専門せんもんの医療いりょう機関きかんでカウンセリングなどの治療ちりょうを受うけています。

ゲームにのめり込のめりこむようになったきっかけは、職場しょくばでの人間にんげん関係かんけいに悩なやんだことだったといいます。

滝沢たきざわさんは「現実げんじつは嫌いやだなと思おもうようになってゲームをするようになり、仕事しごとをやめてからさらにのめり込のめりこんでしまった」と話はなしています。

次第しだいにゲームをする時間じかんが増ふえ、数すう日間にちかん寝ねずに食事しょくじをとることもせずゲームをし続つづけることもあったということです。

その時ときの状態じょうたいについて「寝ねているか起おきているのか分わからない感かんじで、ひどい時ときには幻覚げんかくや幻聴げんちょうがあった」と話はなしています。

その後そのご、体調たいちょうは日に日ひにひに悪化あっかし、いらいらして家いえの中なかの物ものを壊こわすこともあったということで、家族かぞくに連つれて行いかれて治療ちりょうを受うけるようになりました。

今いま、少すこしずつゲームをする時間じかんを減へらし、再ふたたび、就職しゅうしょくすることを目指めざしています。

滝沢たきざわさんは「まだ完全かんぜんには治なおっていなくて、自分じぶんをコントロールできない時ときもあるが、早はやく元もとの生活せいかつに戻もどれるようにしたい」と話はなしています。