日本新聞: 生ハムに異変！イタリア産輸入停止で広がる影響

生なまハムに異変いへん！イタリア産さん輸入ゆにゅう停止ていしで広ひろがる影響えいきょう

Jun 3, 2022 20:06

Furigana

イタリア産さんの生なまハムが輸入ゆにゅうできない異例いれいの事態じたいとなっています。

背景はいけいにあるのは、イタリアでことし1月つきに発生はっせいが確認かくにんされた豚ぶたの伝染でんせん病びょう、ASF＝アフリカ豚ぶた熱ねつ（ぶたねつ）。

これを受うけて、日本にっぽんは、イタリア産さんの生なまハムやサラミなどの輸入ゆにゅうを停止ていししています。

特とくに生なまハムは、イタリアからの輸入ゆにゅうが全体ぜんたいのおよそ7割わりを占しめたため影響えいきょうが大おおきく、ここに来きて在庫ざいこが少すくなくなってきた輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃや飲食いんしょく店てんなどは対応たいおうに追おわれています。

「コロナ禍かから回復かいふくしてきたのに…」飲食いんしょく店てんに打撃だげき

「コロナ禍かから回復かいふくしてきて、『さあこれから』というところで、イタリア産さんの生なまハムがなくなった時ときにどうするか困こまっています」

こう嘆なげくのは、大阪おおさか・都島みやこじま区くにあるイタリアンレストランのオーナーシェフの吉田よしだ誠まこと也さん。

この店みせでは、看板かんばんメニューのイタリア・パルマ産さんの生なまハムの食たべ放題ほうだいが存続そんぞくの危機ききに立たたされています。

今いまは、輸入ゆにゅうが停止ていしされる前まえに仕入しいれた生なまハムを提供ていきょうしていますが、3月つきごろから新あらたな仕入しいれが難むずかしくなり、在庫ざいこは徐々じょじょに少すくなくなってきているといいます。

このため、店みせでは、スペイン産さんの生なまハムに切り替きりかえることを考かんがえていますが、スペイン産さんはもともとイタリア産さんより価格かかくが高たかい上うえ、輸入ゆにゅう停止ていしをきっかけに注文ちゅうもんが集中しゅうちゅうし、例年れいねんと比くらべて価格かかくがさらに2割わりほど高たかくなっているということです。

「イタリアン酒場さかばORA」の吉田よしだ誠まこと也さんは「輸入ゆにゅう停止ていしと聞きいたときはショックでした。お客おきゃくさんに人気にんきの生なまハム食たべ放題ほうだいを今後こんごどうやっていくか、考かんがえていかなければなりません」と話はなしていました。

影響えいきょうは大手おおて外食がいしょくチェーンにも

影響えいきょうは、大手おおて外食がいしょくチェーンにも及およんでいます。

「サイゼリヤ」は、「熟成じゅくせいミラノサラミ」については在庫ざいこがなくなったため販売はんばいを終了しゅうりょうしたほか、「プロシュート」なども在庫ざいこがなくなりしだい、販売はんばいを終了しゅうりょうする予定よていだとしています。

イタリア産さん生せいハムの輸入ゆにゅう停止ていし背景はいけいにあるASFとは

イタリア産さんの生なまハムの輸入ゆにゅう停止ていしの背景はいけいにあるのは、豚ぶたの伝染でんせん病びょう、ASFです。

ASFは、日本にっぽんでは発生はっせいが確認かくにんされていませんが、これまでアフリカやヨーロッパのほか、アジアでも発生はっせいが確認かくにんされています。

人ひとには感染かんせんしないものの、豚ぶたが感染かんせんすると致死ちし率りつはほぼ100％とされ、国内こくないで発生はっせいした場合ばあい、畜産ちくさん業ぎょうに大おおきな打撃だげきとなることが懸念けねんされています。

イタリアでは、ことし1月つき、ASFの発生はっせいが確認かくにん。

これを受うけて、日本にっぽんは、豚肉ぶたにくや豚肉ぶたにくの加工かこう品ひんなどの輸入ゆにゅう停止ていしに踏み切ふみきったのです。

輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃの中なかには代替だいたい品ひんの確保かくほに追おわれるところも

このうち、特とくに影響えいきょうが顕在けんざい化かしつつあるのが生なまハムです。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、年としによってバラツキはあるものの、イタリア産さんは輸入ゆにゅう量りょうのおよそ7割わりを占しめていたため、輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃは代替だいたい品ひんの確保かくほなどの対応たいおうに追おわれています。

兵庫ひょうご県けん芦屋あしや市しにある輸入ゆにゅう会社かいしゃでは、毎年まいとし20トンから30トンほどの生なまハムをイタリアから輸入ゆにゅうしてきましたが、輸入ゆにゅう停止ていしによってことしはまったく仕入しいれができていないといいます。

会社かいしゃでは、飲食いんしょく店てんなどからの注文ちゅうもんに応こたえるためこれまで扱あつかってこなかった、スペイン産さんやフランス産さんの生なまハムを別べつの輸入ゆにゅう業者ぎょうしゃから購入こうにゅうして急場きゅうばをしのいできました。

新規しんき開拓かいたくに努つとめるもすぐに輸入ゆにゅうできるわけではなく…

そうした中なかで、会社かいしゃが今いま、新あらたに注目ちゅうもくしているのは、ヨーロッパ中部ちゅうぶの国くに、スロベニアです。

スロベニア産さんの生なまハムは、これまで日本にっぽん国内こくないではあまり流通りゅうつうしていませんでしたが、イタリア産さんと風味ふうみが似にていることなどから、輸入ゆにゅう開始かいしに向むけて担当たんとう者しゃが先月せんげつから現地げんちに飛とんで交渉こうしょうを行おこなっています。

ただ、新あらたに輸入ゆにゅうするには現地げんちでの衛生えいせい管理かんりの徹底てっていなどが求もとめられるため、すぐに輸入ゆにゅうできる訳わけではないといいますが、なんとか実現じつげんにこぎつけたいと考かんがえています。

「プログレス」アレクリア事業じぎょう部ぶの中川なかがわ涼すずか事業じぎょう本部ほんぶ長ちょうは「イタリア産さん生せいハムの輸入ゆにゅう停止ていしは正直しょうじき、経営けいえいに大だい打撃だげきです。スロベニア産さんなど、新あらたな製品せいひんを逆ぎゃくに日本にっぽんに売り込うりこむ好機こうきだと切り替きりかえてやっていくしかないです。これからはイタリア産さんの生なまハムが少すくなくなると思おもうので輸入ゆにゅう停止ていしの措置そちが早はやく解除かいじょされてほしいです」と話はなしていました。

今後こんごの見通みとおしは

気きになる今後こんごです。

農林水産省のうりんすいさんしょうによりますと、輸入ゆにゅうの再開さいかいには、ASFの発生はっせいが確認かくにんされたイタリアが「清浄せいじょう化か」を宣言せんげんした上うえで、日本にっぽん政府せいふの現地げんち調査ちょうさや専門せんもん家かによる審査しんさなどを経へて認みとめられるということです。