日本新聞: 北朝鮮キム総書記“国防力強化急ぐ” 外相に初の女性起用発表

北朝鮮きたちょうせんキム総そう書記しょき“国防こくぼう力りょく強化きょうか急いそぐ” 外相がいしょうに初はつの女性じょせい起用きよう発表はっぴょう

Jun 11, 2022 11:06

Furigana

北朝鮮きたちょうせんのキム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきは、朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうの重要じゅうよう会議かいぎで演説えんぜつし「周辺しゅうへんの情勢じょうせいは極端きょくたんに激化げきかし得える危険きけん性せいを帯おびており、国防こくぼう力りょく強化きょうかの目標もくひょう達成たっせいをさらに繰り上くりあげることが求もとめられる」として、国防こくぼう力りょくの強化きょうかを前倒まえだおしで急いそぐ考かんがえを強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、外相がいしょうには初はじめての女性じょせいで、長年ながねん、アメリカとの交渉こうしょうに携たずさわってきたチェ・ソニ第だい1外務がいむ次官じかんを充あてると発表はっぴょうしました。

北朝鮮きたちょうせん国営こくえいの朝鮮ちょうせん中央ちゅうおうテレビは、重要じゅうよう政策せいさくを決きめる朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとうの中央ちゅうおう委員いいん会かい総会そうかいが、10日にちまでの3日間にちかん、首都しゅとピョンヤンで開ひらかれ、キム・ジョンウン総そう書記しょきが演説えんぜつしたもようを11日にちに放送ほうそうしました。

この中なかでキム総そう書記しょきは「わが国わがくにの安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうは極きわめて深刻しんこくで、周辺しゅうへんの情勢じょうせいは極端きょくたんに激化げきかし得える危険きけん性せいを帯おびており、国防こくぼう力りょく強化きょうかの目標もくひょう達成たっせいをさらに繰り上くりあげることが求もとめられる」と述のべ、国防こくぼう力りょくの強化きょうかを前倒まえだおしで急いそぐ考かんがえを強調きょうちょうしました。

そして「自衛じえい権けんは国家こっか権力けんりょくを守まもる問題もんだいだ」と述のべたうえで、日本にっぽんや韓国かんこくとともに、北朝鮮きたちょうせんへの抑止よくし力りょくの向上こうじょうを図はかるアメリカを念頭ねんとうに、強硬きょうこう姿勢しせいには強硬きょうこう姿勢しせいで対抗たいこうし真っ向まっこうから勝負しょうぶするのが原則げんそくだと主張しゅちょうしました。

ただ、核かく・ミサイル開発かいはつには具体ぐたい的てきに言及げんきゅうしませんでした。

一方いっぽう、総会そうかいでは党とうや国家こっか機関きかんの人事じんじも決定けっていされ、外相がいしょうには、初はじめての女性じょせいで、第だい1外務がいむ次官じかんを務つとめるチェ・ソニ氏しを充あてると発表はっぴょうしました。

英語えいごが堪能かんのうなチェ氏しは、長年ながねん、アメリカとの交渉こうしょうに携たずさわってきた「アメリカ通どおり」として知しられ、2018年ねんの史上しじょう初はつの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんの際さいに同行どうこうするなど、キム総そう書記しょきの信頼しんらいが厚あついとされていて、チェ氏しの今後こんごの動向どうこうにも注目ちゅうもくが集あつまりそうです。

チェ・ソニ氏しとは

北朝鮮きたちょうせんの新あたらしい外相がいしょうに起用きようされたチェ・ソニ氏しは、韓国かんこく統一とういつ省しょうの資料しりょうによりますと、1964年ねん生うまれでことしで58歳さいになるとみられます。

英語えいごと中国ちゅうごく語ごが堪能かんのうなチェ氏しは、アメリカとの交渉こうしょうや、核かく問題もんだいをめぐる6か国かこく協議きょうぎで通訳つうやくを務つとめるなど「アメリカ通どおり」の外交がいこう官かんとして存在そんざい感かんを高たかめ、北朝鮮きたちょうせん外務省がいむしょうでアメリカを担当たんとうする北米ほくべい局きょくの局長きょくちょうなどを経へて、2018年ねん2月つきに外務がいむ次官じかんに、2019年ねん4月つきには第だい1外務がいむ次官じかんに、それぞれ昇格しょうかくしたことが判明はんめいしました。

2018年ねん6月つきにシンガポールで行おこなわれた史上しじょう初はじめての米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんでは、事前じぜんに実務じつむ者しゃ協議きょうぎを重かさねた上うえでキム・ジョンウン総そう書記しょきに同行どうこうしました。

国営こくえいテレビが放送ほうそうした米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんの記録きろく映画えいがでは、共同きょうどう声明せいめいに署名しょめいする直前ちょくぜんのキム総そう書記しょきと、控え室ひかえしつで打ち合うちあわせを行おこなう姿すがたが確認かくにんされ、キム総そう書記しょきからの信頼しんらいの厚あつさもうかがわせました。

2回かい目めの米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんが物別ものわかれに終おわって両国りょうこく関係かんけいがこう着こうちゃくすると、チェ氏しはおととし7月つきに談話だんわを発表はっぴょうし「対話たいわを政治せいじ的てきな道具どうぐとしかみなさないアメリカと向き合むきあう必要ひつようはない」として、この年とし11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょの前まえに米べい朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんに応おうじる考かんがえはないと強調きょうちょうしていました。

また、無む条件じょうけんでの対話たいわを呼よびかけるバイデン政権せいけんに対にたいしても、チェ氏しは去年きょねん3月つきの談話だんわで「政権せいけんが代かわっても聞きこえてくるのは『完全かんぜんな非核ひかく化か』という口癖くちぐせばかりだ。敵視てきし政策せいさくを撤回てっかいしない限かぎり、今後こんごもアメリカからの接触せっしょくの試こころみを無視むしする」と主張しゅちょうするなど、強硬きょうこうな姿勢しせいを見みせていました。