日本新闻: 袴田事件東京高裁は再審認めず釈放は取り消さず

袴田はかまだ事件じけん東京とうきょう高裁こうさいは再審さいしん認みとめず釈放しゃくほうは取り消とりけさず

Jun 11, 2018 13:06

Furigana

昭和しょうわ41年ねんに起おきたいわゆる「袴田はかまだ事件じけん」で、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは、死刑しけいが確定かくていし、その後そのご釈放しゃくほうされた袴田はかまだ巌いわおさんの再審さいしん・裁判さいばんのやり直やりなおしについて、弁護べんご側がわが行おこなったＤＮＡでぃ-えぬえい鑑定かんていは信用しんようできないとして、４よん年ねん前まえの静岡しずおか地裁ちさいとは逆ぎゃくに、認みとめない決定けっていを出だしました。一方いっぽう、地裁ちさいが認みとめた釈放しゃくほうについては、年齢ねんれいや健康けんこう状態じょうたいなどを踏ふまえ、取り消とりけしませんでした。昭和しょうわ41年ねんに今いまの静岡しずおか市し清水しみず区くで会社かいしゃ役員やくいんの一家いっか４よん人にんが殺害さつがいされた事件じけんでは、従業じゅうぎょう員いんだった袴田はかまだ巌いわおさん（82）の死刑しけいが確定かくていしましたが、袴田はかまださんは無実むじつを訴うったえ再審さいしんを申し立もうしたてました。

静岡しずおか地方ちほう裁判所さいばんしょは、４よん年ねん前まえ、犯人はんにんのものとされる衣類いるいの血痕けっこんのＤＮＡでぃ-えぬえい型がたが袴田はかまださんと一致いっちしなかったという弁護べんご側がわの鑑定かんてい結果けっかなどをもとに、再審さいしんとともに釈放しゃくほうも認みとめる異例いれいの決定けっていを出だしました。

決定けっていを不服ふふくとして検察けんさつが抗告こうこくしたため、東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょでＤＮＡでぃ-えぬえい鑑定かんていが信用しんようできるかどうかなどが改あらためて審理しんりされました。11日にちの決定けっていで東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょの大島おおしま隆明たかあき裁判さいばん長ちょうは、静岡しずおか地裁ちさいの決定けっていを取り消とりけし、再審さいしんを認みとめない判断はんだんをしました。

決定けっていでは「地裁ちさいが認みとめたＤＮＡでぃ-えぬえい鑑定かんていの手法しゅほうの科学かがく的てき原理げんりや有用ゆうよう性せいには深刻しんこくな疑問ぎもんが存在そんざいしている。血痕けっこんのＤＮＡでぃ-えぬえい型がたが本人ほんにんと一致いっちしないという結果けっかは信用しんようできない」という判断はんだんを示しめしました。

そのうえで、地裁ちさいとは逆ぎゃくに、犯人はんにんのものとされる衣類いるいは袴田はかまださんのものだと考かんがえて不合理ふごうりな点てんはないという判断はんだんを示しめし、「確定かくていした有罪ゆうざい判決はんけつの認定にんていに合理ごうり的てきな疑うたがいが生しょうじていないことは明あきらかだ」と結論けつろんづけました。

一方いっぽうで、地裁ちさいが認みとめた釈放しゃくほうについては、「本人ほんにんの年齢ねんれいや生活せいかつ状況じょうきょう、健康けんこう状態じょうたいなどに照てらすと、再審さいしんについての決定けっていが確定かくていする前まえに取り消とりけすのが相当そうとうとは言いいがたい」として、取り消とりけしませんでした。

弁護べんご団だんは再審さいしんを取り消とりけした決定けっていを不服ふふくとして最高さいこう裁判所さいばんしょに特別とくべつ抗告こうこくする方針ほうしんを明あきらかにしました。

支援しえん者しゃたち「えっ？」驚おどろいた声こえ

裁判所さいばんしょの前まえで袴田はかまださんを支援しえんする大勢たいせいの人ひとの前まえで弁護士べんごしが「不当ふとう決定けってい」と書かかれた旗はたを示しめすと、支援しえん者しゃたちは「えっ？」と驚おどろいた声こえを上あげたり、「ふざけるな」と大声おおごえを出だしたりするなど驚おどろきを隠かくせない様子ようすで、中なかには涙なみだをうかべる人ひとの姿すがたも見みられました。

姉あね「残念ざんねんでなりません」

袴田はかまだ巌いわおさんの再審さいしんを認みとめない決定けっていが出でたことを受うけて、裁判所さいばんしょの前まえでは袴田はかまださんの支援しえん者しゃたちが「袴田はかまださんは無実むじつだ」「不当ふとう決定けっていに私わたしたちは断固だんこ抗議こうぎする」などと強つよく訴うったえました。

支援しえん者しゃの前まえで、西嶋にしじま勝彦かつひこ弁護べんご団長だんちょうは「再審さいしんを認みとめないというとんでもない内容ないようで、とても承服しょうふくできません。巌いわおさんが再ふたたび拘束こうそくされることがないように最大さいだいの努力どりょくをしていきたい。直ただちに特別とくべつ抗告こうこくする」と述のべました。