中米・メキシコで
1日、
任期満了にともなう
6年に
1度の
大統領選挙が
行われます。
対米強硬派で
新興政党のロペスオブラドール
氏が
世論調査でリードしていて、
およそ90
年にわたって
続いた
既成政党による
政治に
終止符が
打たれるのか
注目されます。メキシコでは
大統領の
再選が
禁止されていて
今回の
選挙は
左派系の
新興政党、「
国家再生運動」から
立候補した
元メキシコ
市長のロペスオブラドール
候補、
中道右派の
最大野党、「
国民行動党」などが
擁立したアナヤ
候補、
与党「
制度的革命党」などが
擁立した
前財務相のミード
候補の、
事実上3人の
争いとなっています。
メキシコでは麻薬組織と政府との対立が激化し、殺人事件の件数が去年、2万5000件と過去最悪となり、選挙戦では治安対策が大きな争点となっています。
有権者は、悪化の一途をたどる麻薬や治安の問題、それに汚職への不満から、既成政党への不信感を募らせていて世論調査では、新興政党のロペスオブラドール氏がリードしています。
ロペスオブラドール氏は、アメリカのトランプ大統領について「無礼な態度をやめなければ思い知らせてやる」と述べるなど、アメリカに強硬な姿勢を示していて当選すればアメリカとの関係が悪化するとの見方も出ています。
メキシコでは、1929年以降、2つの政党以外から大統領が選ばれたことはなく、今回初めて、新興政党による左派政権が誕生するのか注目されます。
ロペスオブラドール氏とは
ロペスオブラドール氏は、南部タバスコ州出身の64歳。1976年に与党の「制度的革命党」に入党し、その後、野党の「民主革命党」に移り、2000年から05年までメキシコ市長を務めました。
そして、2014年に新興政党、「国家再生運動」を立ち上げ2015年から去年まで党首を務めました。
2006年、2012年と続けて大統領選挙に立候補しましたがいずれも敗れ、今回が3回目の挑戦です。
ロペスオブラドール氏はメキシコ第一主義や大衆迎合的な政策を掲げ、「左派ポピュリスト」とも呼ばれていて、メキシコに対して貿易や入国管理で強硬な態度を続けるアメリカのトランプ大統領について「無礼な態度をやめなければ思い知らせてやる」と述べて人気を集めるなど、アメリカに対して強い姿勢をアピールしています。
また、NAFTA=北米自由協定については、メキシコの経済に利益をもたらすものとして枠組みの必要性は認める一方でアメリカ、カナダとの交渉は結論を急がず、12月に発足する新政権に判断を委ねるべきだと主張しています。
治安の悪化に歯止めがかからず、既成政党の政治家に相次いで汚職疑惑がかけられる中、ロペスオブラドール氏は、クリーンで庶民的なイメージをアピールし、国民の4割以上を占めると言われる貧困層を中心に支持を広げてきました。
経済政策では、現政権が進めて来たエネルギー改革や新空港の建設などを批判する一方で、汚職の撲滅で捻出した財源で最低賃金や年金支給額の引き上げを目指すなど社会福祉の充実を訴えています。
アナヤ氏とは
野党「国民行動党」「民主革命党」などが擁立したリカルド・アナヤ候補は1979年生まれの39歳。
33歳で連邦下院議長に就任し、2015年から国民行動党の党首などを務めました。
現ペニャニエト政権の構造改革路線を基本的に支持したうえで、政府がすべての人に無条件で一定額を支給する社会保障制度ベーシックインカムの導入を訴えています。
ミード氏とは
与党「制度的革命党」などが擁立したミード氏は、1969年生まれの49歳。
経済学者出身ですが、歴代の政権で外務大臣や大蔵公債大臣などを歴任するなど閣僚経験が豊富です。
経済政策については、現ペニャニエト政権の政策を継承するとしたうえで、汚職や治安の問題に対しては徹底した対策を取るとしています。