岩手いわて大船渡おおふなと大規模だいきぼ山林さんりん火災かさいから半年はんとし見みえてきた課題かだいとは…

平成へいせい以降いこうで最大さいだい規模きぼの面積めんせきが焼失しょうしつしたこの火災かさい。

“平成へいせい以降いこうで最大さいだい規模きぼ”

ことし2に月がつ26にじゅうろく日にちに大船渡おおふなと市しで発生はっせいした山林さんりん火災かさいは鎮火ちんかまで40よんじゅう日にちかかり、平成へいせい以降いこうで最大さいだい規模きぼとなるおよそ3370さんぜんななひゃくさんじゅうヘクタールが焼失しょうしつしたほか、226にひゃくにじゅうろく棟むねの建物たてものが被害ひがいを受うけ、90きゅうじゅう歳さいの男性だんせいが亡なくなりました。

＝＝あのとき、現場げんばで何なにが＝＝

1いち。

「80はちじゅう代だいの1ひと人にん暮くらしの女性じょせいが取とり残のこされているので助たすけてほしい」

大船渡おおふなと市し三陸さんりく町まち綾里りょうりの小路こうじ地区ちくでは、住民じゅうみんが避難ひなんしていた公民こうみん館かんの館長かんちょうに相談そうだんが寄よせられていました。

相談そうだんを受うけた館長かんちょうと消防しょうぼう団だん員いんが警察けいさつとともに車くるまで救助きゅうじょに向むかい、火ひの手てが迫せまる山道さんどうを抜ぬけ現場げんばにたどりついたところ、女性じょせいが煙けむりが立たちこめる中なかで家いえの近ちかくの畑はたけに立たっていたということです。

救出きゅうしゅつされた女性じょせいは「もしかしたらこれはダメなのかな、私わたしここで死しんじゃうのかしらと思おもいました。

綾里りょうり地区ちく公民こうみん館かんの村上むらかみ芳春よしはる館長かんちょうは「火ひの回まわりが非常ひじょうに速はやく、出動しゅつどうが15じゅうご分ふん遅おくれていたら救助きゅうじょに向むかえなかったかもしれないので、あとになってぞっとしました。

2に。

山林さんりん火災かさいの発生はっせいからおよそ1いち時間じかん後ごに避難ひなん指示しじが発表はっぴょうされた大船渡おおふなと市し三陸さんりく町まち綾里りょうりの石浜いしはま地区ちくでは、家族かぞくや住民じゅうみんどうしの助たすけ合あいによって高齢こうれい者しゃの命いのちが助たすかったケースもありました。

当時とうじ、実家じっかを訪おとずれていた及川おいかわ真実まなみさんは、避難ひなん指示しじが発表はっぴょうされる30さんじゅっ分ぷんほど前まえに、1ひと人にんでは避難ひなんが難むずかしい90きゅうじゅう代だいの祖母そぼを連つれて近所きんじょの人ひととともに車くるまで避難ひなんしました。

一方いっぽう、真実まなみさんの母親ははおやの山下やました祐子ゆうこさんは、近所きんじょの住民じゅうみんと協力きょうりょくして高齢こうれい者しゃなどに避難ひなんを呼よびかけ地区ちくの全員ぜんいんが無事ぶじに避難ひなんできたということです。

＝＝浮うかび上あがる課題かだい＝＝

今回こんかいの火災かさいでは、高齢こうれい者しゃが亡なくなったほか、命いのちの危険きけんにさらされるケースも多おおく見みられました。

1いち。

国くには14じゅうよん年ねん前まえに発生はっせいした東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいのあと、全国ぜんこくの市区しく町村ちょうそんに対たいし、自力じりきでの避難ひなんが難むずかしい高齢こうれい者しゃや障害しょうがい者しゃといった「要よう支援しえん者しゃ」の名簿めいぼの作成さくせいを義務ぎむづけました。

2に。

さらに「要よう支援しえん者しゃ」でない高齢こうれい者しゃは計画けいかく策定さくていの対象たいしょうになっていません。

亡なくなった90きゅうじゅう代だいの男性だんせいは1ひと人にんで歩あるいて避難ひなんしている途中とちゅうで火災かさいに巻まき込こまれたのではないかとみられています。

山林さんりん火災かさいでは進すすまない個別こべつ避難ひなん計画けいかくの策定さくていだけでなく「要よう支援しえん者しゃ」ではない高齢こうれい者しゃの避難ひなんという新あらたな課題かだいも浮うかび上あがり、誰だれひとり取とり残のこさない避難ひなんは可能かのうなのか模索もさくが続つづいています。

大船渡おおふなと市し長寿ちょうじゅ社会しゃかい課かの佐々木ささき卓也たくや課長かちょうは「想定そうてい外がいということではあるが、事実じじつとして起おきたことだ。

「セルフプランの避難ひなん計画けいかくを」

高齢こうれい者しゃの避難ひなんの課題かだいについて、福祉ふくし防災ぼうさいに詳くわしい同志どうし社しゃ大学だいがく社会しゃかい学部がくぶの立木たちき茂雄しげお教授きょうじゅは、山林さんりんのある地域ちいきでは土砂崩どしゃくずれや洪水こうずいだけでなく山林さんりん火災かさいも災害さいがいリスクと認識にんしきする必要ひつようがあるとしています。

「請制定自助方案的避難計畫」 關於高齡者避難的課題，熟悉福祉防災的同志社大學社會學部立木茂雄教授表示，在有山林的地區，不僅需認識到土石流或洪水，還必須將山林火災也視為災害風險。

そのうえで「人手ひとでが少すくなく地域ちいきの高齢こうれい化かも進すすむ中なかでは『セルフプラン』を作つくるという考かんがえ方かたもある。

在此基礎上，也有「在人手短缺且地區高齡化不斷加劇的情況下，提出製作『自助計畫』這種想法」。

まずは『ひやっとした経験けいけんがある人ひと』から計画けいかくを作つくってほしい。

首先，請從「有過驚險經驗的人」開始制定計畫。

1ひと人にん暮ぐらしとか高齢こうれい世帯せたいの方ほうなどで、自分じぶんがどう避難ひなんするのか自身じしんで計画けいかくを作つくり身みを守まもる。

像是獨居者或高齡家庭等，需要自己制定避難計畫，保護自身安全。

それが難むずかしい人ひとについては日常にちじょうの生活せいかつをサポートしている福祉ふくし関係かんけい者しゃや行政ぎょうせい、それに地域ちいきの人ひとなどの支ささえが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

對於那些感到困難的人，需要福祉相關人員、行政部門以及社區人士等在日常生活中的支持。

また立木たちき教授きょうじゅは、個別こべつ避難ひなん計画けいかくが進すすまない状況じょうきょうについて、全体ぜんたいの達成たっせい率りつだけで考かんがえるのではなく『本当ほんとうに放はなっておけない人ひと』の優先ゆうせん度どに応おうじて実効じっこう性せいのある計画けいかくを作つくっていくべきだとしています。

立木教授也指出，關於個別避難計畫進展緩慢的狀況，不應只以整體的達成率來考量，而是應該根據「真正無法被忽視的人」的優先順序，制定具有實效性的計畫。

立木たちき教授きょうじゅは「福祉ふくしや防災ぼうさいの担当たんとう者しゃらが部署ぶしょの垣根かきねを越こえてスクラムを組くむとともに、地域ちいきとも一体いったいとなって計画けいかく策定さくていに取とり組くんでいくことが重要じゅうようだ」と話はなしていました。

立木教授表示：「福祉及防災相關負責人應該跨越部門的界線攜手合作，並且與社區一體，共同致力於制定計畫，這一點非常重要。」

内閣ないかく府ふ “自治体じちたい職員しょくいんの人手ひとで不足ふそくが課題かだい”

一方いっぽう、内閣ないかく府ふの担当たんとう者しゃは自治体じちたい職員しょくいんの人手ひとで不足ふそくが課題かだいだという認識にんしきを示しめしています。