女子シングルは4回転ジャンプの時代に本格的に突入し、紀平選手が今後、4回転ジャンプの習得など新しい時代にどう対応していくのか注目されます。紀平選手は今大会、ショートプログラム、フリーともに安定した演技で230.33という昨シーズンのグランプリファイナルで出した自己ベストに迫る高い得点を出しました。
しかし、ロシアの15歳、アレクサンドラ・トゥルソワ選手に10点以上の差をつけられて敗れました。
決定的な差を生んだのは、フリーの演技に組み込まれたジャンプです。
今大会のフリーで、紀平選手のジャンプによる基礎点は、最も高いトリプルアクセルの8点を含め7つのジャンプで合計49.67。
一方、トゥルソワ選手は4回転の連続ジャンプの15.73を含め同じ7つのジャンプで72.30と20点以上の大きな差がつきました。
フリーでトゥルソワ選手の後に演技した紀平選手は「圧倒され、今までにない感情で演技をスタートした。新時代だと感じた」と驚きを隠せませんでした。
グランプリシリーズの第1戦では同じロシアの15歳、アンナ・シェルバコワ選手が大技の4回転ルッツと3回転の連続ジャンプを成功させていて、女子も4回転時代に本格的に突入しました。
紀平選手はオフシーズンに、この“新時代”を予見して4回転サルコーの習得に時間を割きましたが、9月、左足をけがしたことなどからプログラムに組み込むまでには至っておらず、今シーズン中に取り入れるかどうかは不透明な状況です。
紀平選手を指導する濱田美栄コーチも「新時代がきた。男子がそうだったように、変わるときは一気に変わる。甘くはないが、取り残されないようについて行くしかない」と危機感をあらわにしました。
「いまはまだ4回転ジャンプを組み込めていないので、他の部分を磨いて完璧な演技を目指さないといけない」と話す紀平選手。
シニアデビューから一気に頂点に駆け上がった昨シーズンから状況は一変し、紀平選手が、この新時代にどう対応していくのか注目されます。